産業用センサーAFE ICの決定版が登場――日清紡マイクロデバイス市場のニーズを網羅しながら小型!

日清紡マイクロデバイスは、センサー用AFE(アナログフロントエンド)ICとして「NA2200」「NA2202/03/04」を相次いで発売した。産業機器市場でセンサー用AFE ICのあらゆるニーズに対応する機能を盛り込んだという。

» 2024年09月24日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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10年以上の歴史を持つ日清紡マイクロデバイスのADC/AFE

 産業機器市場でセンサー用AFE(アナログフロントエンド)ICに求められる機能を網羅して、なおかつ小さい――。

 日清紡マイクロデバイスは2024年、産業機器向けのセンサー用AFE ICの製品ラインアップを大幅に強化した。今後も新製品投入を継続し、グローバルでセンサー用AFE ICの事業規模を拡大する方針だ。

 日清紡マイクロデバイスは、2022年に新日本無線とリコー電子デバイスが経営統合して誕生したアナログ半導体メーカーだ。主力製品は、新日本無線が得意にしたオペアンプやリコー電子デバイスが得意にしたレギュレータなどの電源ICであり、AFE ICを展開しているというイメージを持つ方は少ないかもしれない。

日清紡マイクロデバイス 営業本部 商品企画部 SP商品企画二課 高度専門課長 大渕教央氏

 日清紡マイクロデバイスのAFE ICの歴史は2010年ごろにさかのぼる。当時の新日本無線が、オペアンプなどで培ったアナログ回路技術をベースにA-Dコンバータ(以下、ADC)の開発に着手した時点から始まった。2016年ごろには16ビット分解能のΔΣ型ADC技術を確立した。日清紡マイクロデバイスでAFE IC製品の商品企画を担当する大渕教央氏は「ADCはオペアンプと並んでアナログ信号処理に不可欠なデバイスであり、センサー需要が拡大する中で開発を急いだ」と当時を振り返る。ただ、開発した技術でADC製品は発売していない。「後発のわれわれがADC単体製品で高いシェアを獲得するのは簡単ではない。開発当初から、ADCはオペアンプやフィルタなどと組み合わせたAFE ICとして製品化することを念頭に置いていた」とし、2016年にAFE ICの製品展開を開始した。

カスタムビジネスで進化してきたAFE IC

 AFE ICは、各種センサーとマイコン(MCU)の間に位置するデバイスだ。センサーが出力する微小なアナログ信号を増幅した後、ADCでデジタル信号に変換し、マイコンが読み取りやすい信号に処理して出力する。従来は、増幅用のオペアンプ、ゲインやオフセット調整用の回路、A-D変換用のADCという個別のICでAFE回路を構成するディスクリート構成が一般的だった。だがサイズや設計の手間を省くため、オペアンプやADC、信号処理回路を一体化したAFE ICが登場。多くのセンサーを使用する産業機器をはじめ、民生機器、車載機器など幅広い用途で普及しつつある。

 ADCコアを開発したばかりの旧新日本無線が2016〜2017年に発売したAFE ICは、単にオペアンプやADCの機能を集積するだけでなく使いやすさを追求。マイコンからSPI経由でコマンドを一つ送るだけでゲイン調整とオフセット補正ができる機能を搭載した。2017年に発売したAFE IC「NJU9103」は、温度センサーや圧力センサー、流量センサーなど多くのセンサーのAFEとして使える分解能が16ビット、サンプリング速度が0.814ksps〜最大6.51ksps(以下、1ksps)クラスのAFE ICとしては最大級の512倍のゲイン倍率を持つプログラマブルゲインアンプ(PGA)を搭載した。「ゲイン倍率が大きくなると誤差も増幅され、オフセット補正の必要性も高まる。それまでは外付け部品でゲイン調整やオフセット補正をするケースが多く、サイズや手間の増大につながっていた。そこで、NJU9103などではマイコンからのコマンド設定を実現した」(大渕氏)

AFE ICのイメージと、日清紡マイクロデバイスの主なAFE IC製品[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 高ゲインで使いやすいNJU9103は、産業機器や民生機器を中心に採用数を順調に伸ばしたが、2016〜2017年に発売した製品以降、新日本無線/日清紡マイクロデバイスは2024年までAFE IC製品をリリースしなかった。

 「NJU9103の発売から5年以上経過してしまったが、AFE ICの開発をやめていたわけではない。NJU9103をベースに特定顧客の要望に沿ったカスタムAFE ICを中心にビジネスを展開してきた」(大渕氏)

 そして「カスタムビジネスを通じて応えてきた産業機器でのAFEへのニーズの全てを詰め込んだAFE ICを汎用(はんよう)品として製品化しようということになった」とし、2024年に約7年ぶりのAFE ICの新製品「NA2200」の発売に至った。

温度センサーでのニーズに対応した「NA2200」

 NA2200はNJU9103と同じく分解能16ビット/サンプリング速度1kspsクラス(0.814ksps〜最大6.51ksps)のAFE ICで、「NJU9103は電源電圧3V対応だったが、産業機器市場で根強いニーズがある5V電源に対応した」(大渕氏)。NJU9103と同様に1コマンドでのオフセット補正、ゲイン調整に対応するだけでなく、産業機器でのニーズがある機能を多数搭載する。代表的な新機能が「励起電流供給機能」と「通信エラー検出機能」だ。

NA2200の概要[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 同クラスのAFE ICは温調器が主要な用途の一つであり、センサーとして白金(Pt100)を用いた3線式の測温抵抗体(RTD)が接続されることが多い。Pt100のRTDはその構造上、励起には1mAの電流を供給する必要がある。そこで「AFE内に2系統の励起用電流源を内蔵し、任意の定電流を供給できる機能を搭載した」(大渕氏)。これにより、従来は外付けで構成した電流源を省ける。内蔵励起用電流源はPt100用の1mA以外に0.1mA、0.25mA、0.5mAを供給でき、Pt1000など他のセンサーにも対応する。

 温調器は高温環境で使用される場合が多いなど、NA2200がターゲットにする産業機器用途では強いノイズにさらされる。AFE ICとマイコン間の通信がノイズの影響でエラーを起こす可能性は否定できない。そのためNA2200は出力データにCRC8やCheck Sumといったエラーチェックバイトを付加する「通信エラー検出機能」を搭載しており、マイコン側で手軽に通信エラーを検出できる。

1kspsクラスのセンサーAFEの決定版「NA2202/03/04」

 日清紡マイクロデバイスは「NA2202」「NA2203」「NA2204」という3つのAFE ICもリリースした。NA2202/03/04はNA2200に機能を追加した、1kspsクラスの“センサーAFEの決定版”とも言える製品だ。

NA2202/03/04の概要[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

 3品種の違いは搭載するADCの分解能で、NA2204は新開発のADCコアによって24ビット分解能を実現。NA2203は20ビット分解能品、NA2202は16ビット分解能品だ。3品種ともに4.0×4.0×0.7mmのQFN4040-24-NBパッケージを採用し、ピン互換になっている。

 NA2202/03/04も1コマンドでのオフセット補正/ゲイン調整機能、励起電流供給機能、通信エラー検出機能を備える。電源電圧範囲は2.7〜5.5Vに加えてアナログ部は±2.5Vにも対応し、負電圧入力に対応する。

 差動2入力(シングルエンド入力時4入力)のNA2200に対し、差動4入力(シングルエンド入力時8入力)と接続できるセンサー数は2倍に拡張されている。「『RTDと圧力センサーを接続したい』というように複数種類のセンサーをつなげたいというニーズが増えており、入力数を増やすことで対応した」(大渕氏)

 NA2202/03/04には「商用電源周波数ノイズ除去機能」や「断線検知機能」も搭載した。商用電源周波数ノイズ除去機能は、50Hzないし60Hzという周波数を持つ世界各地の商用電源からのノイズをデジタルフィルタで除去する。バッテリーで動作する機器では不要な機能だが「商用電源を使う機器には不可欠であり、AFE ICに内蔵することでシステムの小型化、設計の手間の削減を実現する」(大渕氏)

 熱電対などのセンサーの内部断線やセンサーの誤取り付けなどの検知に役立つ断線検知機能も「複数センサーを取り付けるケースが増える中でニーズが高まっており、搭載を決めた」(大渕氏)とする。

日清紡マイクロデバイス 営業本部 営業統括部 プロモーション推進課 金子出氏

 日清紡マイクロデバイス 営業本部 営業統括部の金子出氏は「NA2200、NA2202/03/04で新たに搭載した機能は、いずれも“世界初”をうたえるような革新的な機能ではなく、既に搭載しているAFE ICも少なくない。ただ、これらの機能を全て網羅しているAFE ICは少ない。産業機器のユーザーは、一度その機能を使うと後継機種でも同じ機能を搭載したAFE ICを採用したいという要求が強く、そうした要求に応えるAFE ICとして製品化した」と語る。

 「NA2202/03/04は多くの機能を網羅した上で4mm角の超小型パッケージに収めることができたという点で、日清紡マイクロデバイスの特長を示せた」(金子氏)

開発環境も充実 グローバルで攻勢へ

 日清紡マイクロデバイスはAFE ICの拡販を全世界で強化する。NA2200、NA2202/03/04、NJU9103を手軽に評価できる評価ボードを用意。各評価ボードはAFE IC搭載ボード(=孫ボード)とAFE IC搭載ボードや各種マイコンボード、センサーを接続できるI/O拡張ボード(=子ボード)で構成。孫ボード、子ボードとマイコンボード(STM32F411RE/STMicroelectronics製)をセットにした無償貸与サービスを実施している。

NA2200、NA2202/03/04、NJU9103の評価ボード[クリックで拡大] 提供:日清紡マイクロデバイス

NA2204 評価ボードをプレゼント!

 日清紡マイクロデバイスでは、AFE IC「NA2202/03/04」の発売を記念して、抽選で30名さまにNA2204の評価ボードが当たるプレゼントキャンペーンを実施しています。ご応募は、特設サイトで2024年10月23日まで受け付けています。

 キャンペーンの詳細、ご応募は特設サイトをご覧ください。

【キャンペーンの詳細、ご応募はこちらから】

 ゲイン調整/オフセット補正などの定数設定を行う開発用ソフトウェアも評価ボードを貸与した方々に対して無償配布中。同ソフトウェアはPGAやADCなどの回路記号が記載されたブロック図形式のGUI(Graphical User Interface:開発用ソフトウェア)で、直感的に操作・設定できる。

 日清紡マイクロデバイスは、評価ボード/開発用ソフトウェアの提供や各種販売キャンペーンなどを通じて国内外でAFE IC製品を拡販する。同時に「よりサンプリング速度が速いAFE ICの開発を実施し、より幅広いAFE ICニーズに応える」(大渕氏)としている。

日清紡マイクロデバイス 大渕教央氏と金子出氏

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提供:日清紡マイクロデバイス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年10月23日

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