ガラス基板量産の壁 「見えない欠陥」を可視化 非破壊3D解析の新装置韓国Tomocube社

ガラス基板は、次世代半導体パッケージの有力材料として注目されている。しかし、レーザー加工やエッチングなどで生じるクラックや空隙などの内部欠陥は表面検査だけでは把握しにくく、量産時の歩留まりを左右する課題となっている。韓国Tomocube社は、この課題に対応する非破壊3D解析装置「HT-T1 Desktop(HT-T1D)」を投入した。本稿では、その技術的な特徴と、ガラス基板の量産にどのように貢献するのかを紹介する。

PR/EE Times Japan
» 2026年08月04日 10時00分 公開
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 AIアクセラレーターや広帯域メモリ(HBM)を支える先端パッケージング技術が進化する中、次世代の基板材料として注目が集まっているのが「ガラス」だ。ガラスコア基板やガラスインターポーザーは、寸法安定性や平たん性、電気的特性などの面で優位性が期待されている。しかし、一方で量産化への最大の障壁は、製造工程で発生する微小欠陥の検出と、その根本原因の特定が大きな課題となっている。

 特に、TGV(Through Glass Via:ガラス貫通電極)形成に用いられるレーザー加工やエッチング、その後の金属化、基板を個片化するシンギュレーションなどでは、ガラス内部にクラックや空隙、局所的な変質が生じる可能性がある。こうした微小欠陥は表面からの観察だけでは捉えにくく、最終工程まで進んだ後に不良として顕在化すれば、製造コストや歩留まりへの影響も大きい。

圧倒的な分解能と撮像深度で「真の姿」を捉える

 こうしたガラス基板の量産に向けた課題に対応する製品として非破壊3次元(3D)検査/計測技術を手掛ける韓国Tomocube社が2026年7月、デスクトップ型ホロトモグラフィーシステム「HT-T1 Desktop(HT-T1D)」を発売した。本装置は、可視光を用いてガラス内部の3D屈折率分布を可視化し、透明材料内部に存在する欠陥の位置や形状、深さ方向の特性を非破壊で解析。従来は数日〜数週間を要していた解析フローを数分に短縮するという。本稿ではその詳細を紹介する。

Tomocube社のデスクトップ型ホロトモグラフィーシステム「HT-T1 Desktop(HT-T1D)」 Tomocube社のデスクトップ型ホロトモグラフィーシステム「HT-T1 Desktop(HT-T1D)」[クリックで拡大] 出所:株式会社 新興精機

表面検査だけでは分からない欠陥を、3Dで捉える

 HT-T1Dは、高解像度3D欠陥解析を実現するデスクトップ型ホロトモグラフィーシステムで、ガラス基板の検査/計測ワークフローに最適化された製品だ。

 自動光学検査(AOI)などの従来型インライン基板検査装置を用いると、表面の異常や欠陥候補を検出できるが、ガラス内部で発生したクラックや空隙、レーザー加工による改質領域の状態まで詳細に評価することは難しい。これに対してHT-T1Dは、既存の検査装置が検出した欠陥候補の座標情報を取得し、対象領域の内部構造を3Dで再構築する。これによって欠陥の有無だけでなく、基板内のどの深さに存在し、どのような形状や広がりを持つのか、周囲の構造とどのような位置関係にあるのかが把握できるようになるのだという。

 例えばTGVの形成工程では、レーザー照射によってガラス内部を改質した後、エッチングによって貫通穴を形成する。レーザーの照射条件やガラス材料の状態によっては、改質領域の形状にばらつきが生じたり、微細なクラックが発生したりする可能性がある。HT-T1Dを利用すれば、レーザー改質部の3D形状を観察し、その後のエッチングによって形成されたビアの状態と比較できるのだ。

TGVエッチング工程における3D視覚化イメージおよびTGV側壁粗さ条件比較2D、TGV側壁粗さ条件比較3D TGVエッチング工程における3D視覚化イメージおよびTGV側壁粗さ条件比較2D、TGV側壁粗さ条件比較3D[クリックで拡大] 出所:株式会社 新興精機

 さらにエッチング後のTGVについても、単に穴が開いているかを確認するだけではない。ビアの入口と出口の径、ウエスト(最小径部)の寸法・位置、深さ方向の形状変化、テーパー角、内壁の粗さなどを3Dデータに基づいて定量的に評価できる。これによって、メタライゼーション工程へ進む前に形状上の異常を把握でき、めっき不良や接続信頼性低下につながる要因を早期に取り除くことが可能になるという。

TGV側壁全域における非破壊粗さ測定について TGV側壁全域における非破壊粗さ測定について[クリックで拡大] 出所:株式会社 新興精機

解析時間を数日〜数週間から数分に短縮

 HT-T1Dの中核となるのが、Tomocube社が開発してきた独自のホロトモグラフィー技術だ。試料にさまざまな角度から低出力の可視光を照射し、透過光の位相遅延を測定することで、試料内部の3D屈折率分布を再構築する。

 ホロトモグラフィーは、ホログラフィーとトモグラフィーを組み合わせた技術で、屈折率を画像のコントラストとして利用。一般的な観察では捉えにくい透明材料内部の構造も、周囲との屈折率差に基づいて3Dで可視化できる。このためHT-T1Dでは、ガラス内部のクラックやボイド、レーザー加工による改質部などを非破壊で解析できる。

 HT-T1Dは10−4の屈折率感度を備え、ガラス内部の微小な変化を3Dで可視化できる。また、非破壊測定であるため、同一箇所を製造工程の進行に合わせて繰り返し測定でき、欠陥がいつ、どのように発生/進展/拡大するかも追跡可能だ。従来の破壊解析では、断面観察を行った時点で試料を後の工程へ流すことができなくなる。また、レーザー加工後、エッチング後、メタライズ後といった各段階で別々の試料を観察する場合、個体差の影響を受けやすく、欠陥がどの工程で発生したかを正確に追跡することも難しかった。

 HT-T1Dを用いれば、従来、破壊的な故障解析に依存していた欠陥解析サイクルを大幅に短縮し、対象ワークフローにおいて解析時間を数日〜数週間から数分へ短縮するとともに、コストの高い後工程に入る前の早期対応を検討できるという。重大な欠陥が1つでも存在すればユニット全体が不良となり得るなかで、検査データを迅速に工程改善へつなげる能力は量産ラインの安定稼働にとって不可欠となっている。

研究開発分析と量産ライン評価をつなぐ専用ソフトウェアも

 Tomocube社はHT-T1Dに加え、計測/検査に特化した専用3D解析ソフトウェアプラットフォーム「TomoAnalysis MI(TAMI)」も提供する。

 TAMIは、HT-T1Dが取得した3D屈折率ボリュームデータを定量的に解析し、エンジニアリングレビュー向けの構造化レポートを生成する。3D画像を目視で確認するだけでは、評価結果が担当者の経験や判断に左右される可能性がある。定量指標を用いて複数の試料や製造条件を比較できれば、レーザー出力や照射条件、エッチング時間などの工程パラメーターと欠陥発生の関係を把握しやすくなる。

 TAMIは、HT-T1Dだけでなく、Tomocube社がシステムインテグレーションパートナーを通じて展開を計画しているインラインモジュール「HT-T1M」のデータも同一形式で処理する。これによって研究開発段階で構築した解析手法や判定基準を、将来の量産ライン評価へつなげられる設計となっている。

 研究開発用装置と量産用検査装置でデータ形式や評価方法が異なる場合、開発時に蓄積した知見を量産現場へ移行する際に再検証が必要になる。Tomocube社のソリューションでは、HT-T1D、HT-T1M、TAMIを共通基盤として利用することで、開発から量産まで一貫した欠陥解析と歩留まり学習のワークフローを構築できるとしている。

CPO向けガラスフォトニック集積基板にも対応

 なお、HT-T1Dの適用対象は、TGVやガラスコア基板の欠陥解析にとどまらず、コパッケージドオプティクス(CPO)向けのガラスフォトニック集積基板などにも対応できるという。CPOでは、光導波路や光学素子の特性に屈折率が直接影響する。屈折率分布を3D的かつ定量的に測定できるホロトモグラフィーは、クラックやボイドなどの欠陥検出だけでなく、光学機能に関わる材料状態の評価にも応用できる可能性がある。

 Tomocube社のCEOであるパク・ヨングン氏は「ガラス基板は次世代半導体パッケージングにとって重要な材料になりつつあるが、量産段階での真の競争力は、メーカーが欠陥をいかに迅速に理解し、その知見を工程改善へと結び付けられるかにかかっている」と説明。HT-T1Dは、欠陥検出にとどまらず、根本原因の特定や工程条件の最適化を支援し、ガラス基板製造における歩留まり学習を加速する計測プラットフォームになると強調している。

日本での販売/導入支援も強化

 Tomocube社は、日本国内におけるHT-T1DおよびTAMIの販売を、正規代理店である「(株)新興精機」を通じて行う。新興精機は、ガラス基板メーカーや先端パッケージング関連企業に向け、製品の提案、システムデモンストレーション、評価導入などを行う。

 ガラス基板の製造技術は、材料開発や加工条件の検討が進む一方、量産時の欠陥解析や品質管理については、今後さらに高度な手法が求められる。表面検査による欠陥候補の検出と、HT-T1Dによる非破壊3D解析を組み合わせることで、欠陥の発見から根本原因解析、工程改善までのサイクルを短縮できる。

 Tomocube社は今後、ガラス基板メーカーや先端パッケージング企業、システムインテグレーションパートナーとの連携を進める。研究開発向けのデスクトップシステムから将来のインライン展開まで、ガラス基板の3D欠陥解析と歩留まり改善を支える製品ポートフォリオを拡充していく方針だ。

※本稿は、株式会社 新興精機より寄稿された記事を再構成したものです。

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提供:株式会社新興精機
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月3日