ファンドライバの多様な要求に応える――「後発」MPSが製品拡大で攻勢「競合の隙間」を突いてシェア拡大

MPS(Monolithic Power Systems)が、車載用ファンや産業用ファン向けのドライバICのラインアップ拡充に力を入れている。ファンドライバICのプレイヤーとしては後発ながら、他社製品の空白を埋める品種や、豊富な機能を備えた品種など、多岐にわたるニーズに応える製品開発を加速させている。

PR/EE Times Japan
» 2026年07月31日 10時00分 公開
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DC-DCコンバーターだけではない、多様なファンドライバICをそろえるMPS

 サーバから産業用機器、PC、自動車など、さまざまな機器で使われているファンモーター。特に近年は、バッテリー冷却用やLED冷却用、シートクーラー用など自動車においてファンの搭載数が増えている。それに伴い、ファンモーター市場は堅調な成長が予測されている。

MPSジャパン シニアFAEマネージャー 岩本純一氏

 こうしたトレンドをいち早く捉え、アナログ半導体メーカーであるMPS(Monolithic Power Systems)は、ファンドライバICの品種拡大に力を入れている。MPSはDC-DCコンバーターICを中心に、高度な集積技術を生かした電源ICなど、幅広いパワー系ソリューションを展開するファブレスのメーカーだ。電源ICの開発で蓄積したアナログ/パワー技術のノウハウを生かし、ファンドライバICの開発を加速させている。

 MPSジャパンでシニアFAEマネージャーを務める岩本純一氏は「2020年くらいまでは、シングルフェーズのファンドライバICを中心に、展開しているのは10〜14製品程度で、品種が非常に少なかった。だが、産業用ファンや車載用ファンの市場成長を見据え、製品群の拡張に注力し始めた。ここ数年は年間6〜10製品をリリースするなど積極的にラインアップを強化している」と語る。

 約10年をかけて着実に品種を拡充し、現在は200種類以上をそろえるまでになった。出荷個数は年間で2億7000個以上に上る。特にラインアップの増強に力を入れているのが、モーター制御アルゴリズム付きファンドライバICだ。

 このカテゴリーでは現在、単相BLDCファンモーター向けと3相BLDCファンモーター向けに、ホールセンサー内蔵品とセンサーレス品を提供している。さらに、「単相BLDC用から3相BLDC用へ」「基本機能のみから多機能化へ」という2軸の戦略で拡張中だ。

アルゴリズム付きファンドライバICの主要な製品群 提供:MPSジャパン

競合の「隙間」狙う戦略で単相BLDC品が大ヒット 次は3相BLDC向けへ

 アルゴリズム付きファンドライバICとして、MPSは、まず単相BLDC用から市場に参入した。理由はシンプルで、競合ではこの分野の製品ラインアップが少なかったからだ。

 もともとステッピングモーターが主流だったアプリケーションでは、ノイズを低減したい、振動を抑えてスムーズに回転させたい、といったニーズから、3相BLDCモーターへの置き換えが進んでいた。そのため、ファンドライバICも、単相ではなく3相BLDC用の製品の方が多かった。

 一方で市場には「ブラシ付DCモーターやステッピングモーターは、寿命やノイズの点で多少の課題があるが、3相BLDCモーターにするまでもない」というニッチな領域があった。「そうした“隙間”を狙って、MPSが単相BLDC用ドライバICを市場に投入したところ、ヒットして一気にシェアが伸びた」(岩本氏)

 「シートクーラーをはじめ、サーバ用ローエンドファン、冷蔵庫用ファンなど、われわれの単相BLDC用ドライバICがうまく適合するアプリケーションが少しずつ増えていった。そこで、3相BLDC向けの製品へ拡張しているのが現在のフェーズだ」

 ただし、3相BLDC用ファンドライバICは競合製品が多い領域のため、強みを持つFETで差異化を図る。MPSは、低オン抵抗で小型のFETを開発し、それをコントローラーICに統合することで、高効率かつ高性能な小型の電源ICソリューションを開発してきた。そのFETの技術を生かして、ファンドライバICでもFETを内蔵し、出力電流を上げた品種のラインアップを拡充していく。「競合品と同等の価格帯で、オン抵抗が低く温度上昇が少ないという特徴を打ち出す。加えて、追加機能を増やし“かゆい所に手が届く”製品を増やしていく計画だ」(岩本氏)

車載用ファンのアプリケーション例 提供:MPSジャパン

「多機能化」で設計の自由度を高める

 2つ目の軸となるのが「多機能化」だ。初期のファンドライバICは基本機能のみを備えたものが多かったが、より新しい製品ではさまざまな機能を統合している。正弦波駆動や矩形波駆動への対応、加速時間の調整、ソフト整流(ソフトコミュテーション)が可能、などがそうした機能の一例だ。

 ファンは民生品から産業機器、自動車まで多様な用途で使われる。アプリケーションが幅広い分、ドライバICには非常に多くの要求がある。岩本氏は「10ミリ秒で立ち上げたい、加速時間はできるだけ短くしたい、RD(Rotor Dead-Lock Protection)のロジックを自由に設定したいなど、開発者からの要求は多岐にわたる。そうしたニーズにきめ細かく対応できるよう、さまざまな機能を追加した品種を増やしてきた」と語る。

 そうした高い柔軟性を備えた製品の一例が、3相BLDC用の「MP6642」だ。最大入力電圧が35V/最大ピーク出力電流が5Aで、既にサンプル出荷を開始している。大きな特徴が、柔軟に設定できる速度カーブ(速度曲線)だ。リニア、ステップ、ジャンプと3つのモードを備え、速度曲線上の6カ所で設定を変更できる。

「MP6642」の特徴と、回路の構成例 提供:MPSジャパン
MP6642の3つのモードと曲線コンフィギュレーション 提供:MPSジャパン

 MP6642は、量産中の既存品「MP6634」の後継製品となる。MP6634で得た多数の要望に応える機能を可能な限り搭載した。これらの機能はOTPで設定できる。「MPSはファンドライバIC分野では後発のプレイヤーだが、多機能化についてはかなりスピーディに進めている」と岩本氏は述べる。

 MP6642はセンサーレスであることも特徴だ。「従来、自動車メーカーは信頼性の観点から、ホールセンサーを内蔵したファンドライバICを採用することが多かった。だが2025年ごろから、センサーレス品でも十分に信頼性があるという認識に変わってきている。それに伴い、MPSのセンサーレス品もかなりの数が出荷されるようになっている」(岩本氏)

 3相BLDC用の「MP6630E」もサンプル出荷を進めている。最大入力電圧が16V/最大ピーク出力電流が1.4Aで、主な用途は家電を想定する。これまで家電向けでは、単相BLDC向けの従来品「MP6616B」「MP6517B」が使われることが多かった。だが最近は、特にハイエンド家電で、振動を抑えるために単相BLDCから3相BLDCに置き換えるケースが増えている。そうした用途を想定して開発したのがMP6630Eだ。MP6616B/MP6517Bはホールセンサーを内蔵しているので、MP6630Eも使い勝手が大きく変わらないようホールセンサー内蔵品となっている。

単相BLDC用では、多様な出力電流を用意

 単相BLDC用では、出力電流の異なる製品をきめ細かくそろえていく。サンプル出荷中の最新製品が、36V/1.6Aの「MP6657」だ。従来品である35V/1.2Aの「MP6653A」、32V/2.7Aの「MP6658」の空白を埋める製品となる。

80V/100V品の開発が進む

 MPSは今後、単相BLDC用と3相BLDC用の両方で、80Vや100Vなど、最大入力電圧がより高い製品の開発を進めていく。自動車や通信機器で、48V電源アーキテクチャの採用が進み始めているからだ。「これまでのアプリケーションでは32〜35Vで十分に対応できていたが、48Vシステムでは80Vや100Vが必要になる。今後は高電圧のラインアップの準備に力を入れていく」(岩本氏)

 将来的には、MCUを搭載したラインアップも増やし、サーバなどでの採用を狙う。

 岩本氏は「普及価格帯の自動車にもシートクーラーが搭載され始めるといったトレンドから、ファンドライバIC市場には追い風が吹いている。MPSが高いシェアを持つ車載用シートクーラーに加え、サーバ用ファンや産業用の24V DCファンなどでの採用も増え始めた」と語り、設計自由度が高いファンドライバICの開発を精力的に進めていくと強調した。

 なお、MPSのサポートサイト「MPS Now」では、ファンドライバICの製品や設計について日本語で相談できる。サポートを含め、豊富な品種と機能がそろうMPSのファンドライバICなら、設計者の「こうしたい」という要望に、きめ細かく応えてくれるはずだ。

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提供:MPSジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年8月30日