システム設計をメモリ制約から解き放つ――125℃で10年使用しても「データ保持を保証」するFeRAMRAMXEEDの新ブランド「RAMXEED ULTIMATE」

RAMXEEDが、強誘電体メモリ(FeRAM)を新ブランド「RAMXEED ULTIMATE」の下で展開する。125℃の環境で10年使用してもデータリテンション性能を維持するという、連続125℃曝露で10年間のデータ保持を保証する製品だ。これにより、自動車や工場設備など、高温環境で長期間のデータ保持が必要なシステム設計において、メモリ起因の制約が大幅に取り除かれる。設計者の負担を大きく削減するはずだ。

PR/EE Times Japan
» 2026年08月17日 10時00分 公開
PR

「125℃で10年間のデータ保持」を保証するFeRAM

 「125℃の環境に10年さらされてもデータ保持を保証」――。過酷な温度環境で使用し続けても、10年のデータリテンション性能を保証する不揮発性メモリが登場した。RAMXEEDが新たなブランド「RAMXEED ULTIMATE」として展開する強誘電体メモリ(FeRAM)だ。自動車、工場設備、インフラ機器など、高温環境で長期間のデータ保持が求められる用途で、高温環境下でも長期のデータ保持を前提に設計しやすくなる。

 AIの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、データの重要性は一段と高まっている。近年は、工場設備や自動車をはじめ、さまざまなシステムにセンサーが搭載され、センサーから収集されたデータを活用して予知保全やモニタリング、自動化などに生かす取り組みが加速している。

RAMXEED デバイス技術統括部 FeRAM技術部 部長 彦坂幸信氏 RAMXEED デバイス技術統括部 FeRAM技術部 部長 彦坂幸信氏

 こうした中、高頻度でデータを記録するニーズが急速に拡大し、FeRAMへの需要が高まっている。RAMXEED デバイス技術統括部 FeRAM技術部 部長の彦坂幸信氏は「従来、センサーのメモリというのは、電力メーターや計測器など、比較的穏やかな環境下で使われることが多く、フラッシュメモリでも十分に対応できていた」と語る。「だが、工場設備や自動車などでは、よりきめ細かく高頻度でデータを記録することが求められる。書き換え回数が100兆回と多く、かつ数十ナノ秒オーダーで高速にデータを書き換えられるFeRAMの強みを生かせる分野が徐々に拡大している」

 FeRAMの活用が工場や自動車などに拡大する中、重要になるのが、高温環境下において長時間のデータ保持を確実に実現できるかどうかだ。「特に、車載や産業用途で実際に求められる高温信頼性の象徴である125℃で、何年データを保持できるかが、メモリの実力を問う指標になっている」と彦坂氏は語る。

 「RAMXEED ULTIMATE」のブランド下で展開するFeRAMはAEC-Q100に準拠している車載用グレードと、産業用グレードの両品種において、この125℃でのデータリテンション性能を10年「保証していること」が最大の特徴だ。

RAMXEED ULTIMATEのデータリテンション性能 提供:RAMXEED RAMXEED ULTIMATEのデータリテンション性能 提供:RAMXEED
RAMXEED ULTIMATE

「125℃対応」でも、実際の保持時間は1年程度の場合も

 「データの保持」はFeRAMなど不揮発性メモリの最も基本的な特性だが、高温環境での長期にわたるデータ保持は、多くの不揮発性メモリにとって大きな技術的課題の一つでもある。FeRAMでいえば、温度が高いほど強誘電体の分極状態が劣化しやすくなり、データ保持年数は短くなってしまう。

 データシートの記載にも注意が必要だ。「125℃で10年以上のデータ保持が可能」とうたっていても、その性能は「125℃の環境にさらされる時間は製品寿命の1割程度」などの想定が前提になっていることも多い。「そのため、実際に125℃の環境で使用し続けると、データの保持時間ははるかに短くなり、1年程度にとどまる場合もある」(彦坂氏)

 「125℃で10年以上のデータ保持」という記載があったとしても、その「125℃」の意味をよく理解することが重要になると彦坂氏は指摘する。「評価条件や前提条件は、メモリ製品によって大きく異なる。メモリメーカーはもちろん、メモリを使うお客さま自身も、どのような前提での『125℃/10年』なのか、その意味をしっかり理解することが重要になる」

 それに対し、RAMXEED ULTIMATEは連続125℃の曝露を前提として、10年のデータリテンション性能を保証していることが、一般的な125℃対応品とは大きな違いになる。

データリテンション性能の比較 実質的なデータリテンション性能の比較 提供:RAMXEED

高温環境下の長時間データ保持を支える2つの技術

 RAMXEED ULTIMATEでは、2つの中核技術によってこのデータリテンション性能を実現した。1つ目が強誘電体キャパシタの製造プロセス技術、2つ目が高精度なSPICEモデルの構築だ。

 RAMXEEDは25年以上、FeRAMを量産する中で、強誘電体キャパシタの性能改善を継続的に進めてきた。「強誘電体キャパシタは、FeRAMにおいてデータを記憶する“心臓部”に相当する。われわれは、この心臓部に関わる材料品質や層構成、電極界面を常に最適化し、改善してきた」(彦坂氏)

 今回、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いた強誘電体膜の品質を向上させることと、強誘電体膜と電極の界面の構造を改良することで、高温でのデータ保持特性を大幅に向上させることに成功した。

 FeRAMは、高温で使用され続けると強誘電体キャパシタが劣化し、データの書き換えが難しくなる「インプリント」が発生する。「1」のデータを長く保持し続けると、「0」に書き換えるために相当な電圧が必要になる、つまり書き換えにくくなるという現象だ。RAMXEEDは製造プロセスを最適化することで、インプリントなどへの耐性を大幅に上げた。これにより、−40〜125℃の温度範囲においてデータを保持して読み出せるだけでなく、別のデータに書き換えることも保証できるようになった。

FeRAMを形成したウエハーとその断面の電子顕微鏡画像 提供:RAMXEED

 ただし、製造プロセスの改善だけでは、製品として必要な動作マージンを十分に確保するには至らない。そこで重要になるのが、FeRAMを使う際の回路設計の改善だ。

 RAMXEEDは、強誘電体キャパシタの電気特性の実測値を高精度にモデル化した、独自の強誘電体SPICEモデルを構築した。このSPICEモデルは、ある電圧における強誘電体キャパシタの分極量が、実測値と非常に高い精度で合致している。さらに、FeRAMの製造ばらつきをはじめ、あらゆるデータのばらつきを考慮した上でモデルが構築されている。

 「ばらつきまで加味されたSPICEモデルを用いて回路を設計することで、125℃の環境下で10年使用しても、安定して1と0を判定できる、つまり市場での不良リスクを抑えたデバイス設計が可能になる」(彦坂氏)

システム設計者をメモリ起因の制約から解放する

 RAMXEED ULTIMATEを用いることで、顧客はシステム設計を簡素化できるようになる。従来は、長時間のデータ保持をできるだけ確実にするために、機器の使用温度を制限する、動作時間を短縮する、バックアップシステムを追加するなど、設計の手間やコストの点でさまざまな制約があった。RAMXEED ULTIMATEなら「連続125℃曝露で10年間のデータ保持」を前提として設計できるので、メモリ起因のこうした制約の多くを取り除ける。システム設計者や機器設計者の負担は大幅に軽減されることになる。

 例えば機器の熱設計で大きな利点がある。FeRAMは、高性能なSoC(System on Chip)やマイコンなど、高性能な半導体ICの近傍に実装されることも多い。処理中にICの温度が上昇すると、FeRAMは一気に高温環境にさらされることになる。RAMXEED ULTIMATEであれば、発熱しているICの熱が伝わっても問題なくデータを保持できるので、従来よりも熱設計の難易度が大きく下がる。

 「高温でも長期間データを保持できるということは、単にメモリの信頼性が高いというだけではない。システム設計全体に余裕が生まれ、長期運用でも安心して使用できるシステムを構築しやすくなるということだ。これが、RAMXEED ULTIMATEが設計者や、その先のエンドユーザーにもたらす大きな価値だと確信している」(彦坂氏)

FeRAMを手掛けて四半世紀

 RAMXEEDは、富士通の半導体部門が分社化して設立された富士通セミコンダクターメモリソリューションを前身とする。富士通時代にFeRAMの開発に着手し、1999年からFeRAMの量産を開始。以来、四半世紀にわたり、FeRAMを世界中に提供してきた。60を超える国/地域に出荷され、200種類以上のアプリケーションに採用されている。累計出荷数は44億個に上る。「不揮発性メモリの種類としてはニッチではあるが、ビジネスとしてしっかり成立させている。FeRAMは既に社会のインフラに入り込んでいる。RAMXEEDは、ベンチャーではなく、FeRAMを量産し、技術を磨き上げている半導体メーカーだと自負している」(彦坂氏)

真の意味で「125℃対応」を実現

 25年以上、RAMXEEDが地道に磨き上げてきた高度な設計技術、製造技術の大きな成果がRAMXEED ULTIMATEなのだ。「前述したような、強誘電体キャパシタの材料技術、それを高温で安定化させるプロセス技術、特性を正確に表現し、ばらつきまで考慮したSPICEモデルの構築と回路設計、そして製品保証につなげる評価技術。これらを有機的に組み合わせ、連携させて初めて125℃、10年間のデータ保持という保証ができる」。彦坂氏はこう強調する。

 10年間にわたり125℃という高温環境にさらされてもデータを保持できる性能を保証したRAMXEED ULTIMATEは、真の意味で「125℃対応」を実現したといえるだろう。システム設計者を多くの制約から解放し、機器設計を加速することに大きく貢献する。

RAMXEED デバイス技術統括部 FeRAM技術部 部長 彦坂幸信氏

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:RAMXEED株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月16日