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EV普及の3つの課題を一挙に解決するパワーデバイス「EliteSiC」

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 二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減に向け、電気自動車(EV)の普及が期待されている。だがEVの販売台数の伸びが鈍化傾向に陥るなど、思うようにEVシフトが進んでいないのが実情だ。

 EVシフトを妨げる理由として挙げられるのが「充電」に関する課題だ。数分で給油できるエンジン車に対して、EVの充電には数十分〜数時間かかる。充電設備も不足しており、ガソリン車にとってのガソリンスタンドのような気軽なアクセス性を実現するには設備を数倍以上増やさなければならない。

 EV普及のためには「急速充電」と「充電設備の拡充」が急務だが、仮に急速充電と充電設備の拡充が実現すると新たな課題も浮上する。EVによって電力需要が急拡大し、電力網に大きな負荷が掛かることだ。この課題には、EVのバッテリーにためた電力を家庭などの電力網に供給する「V2G」(Vehicle-to-Grid)が有効とされる。

 そのため、EVの普及には「急速充電」と「充電設備の拡充」、EVをエネルギー貯蔵システムとして使うための「双方向充電」を実現する必要がある。

 この「急速充電」「充電設備の拡充」「双方向充電」を実現するための新しいパワーデバイスソリューションが登場した。オンセミの「EliteSiCパワー統合モジュール」(以下、EliteSiC PIM)だ。

EliteSiCパワー統合モジュールの写真
EliteSiCパワー統合モジュール(PIM)

15分で80%充電できるシステムを低コストに

 急速充電には、充電電圧を高め、充電電流を増やす必要がある。そのためには電力網の電力を充電電圧に変換するパワーデバイスの高耐圧、大容量化が必要だ。EliteSiC PIMは、従来のシリコンよりも耐圧が高くて大容量の電力を扱える次世代パワーデバイス素材であるSiCによる高効率MOSFETを搭載する。これにより「わずか15分でEVのバッテリーを最大80%充電できる」(オンセミ)とする。

 高効率のため、シリコンIGBTベースのモジュールに対して冷却機構のサイズを最大40%、重量を最大52%削減でき、充電システムの低コスト化にも貢献する。

 シミュレーションベースの設計環境として、「Eliteパワーシミュレータ」と「セルフサービスPLECSモデルジェネレータ」を用意している。この2つのツールを使用すれば、EliteSiC PIMが実際のアプリケーション環境でどのように動作するかを正確にシミュレーションできる。「充電システム設計者は設計サイクルを加速することができ、充電システムのあらゆる面での低コスト化に貢献する」(オンセミ)

 EliteSiC PIMのラインアップは、マルチレベルTタイプ中性点クランプ(TNPC)、ハーフブリッジ、フルブリッジなどの主要トポロジーをカバーする9種類がある。出力電力も25kWから100kWまでサポートし、双方向充電用途にも対応している。パッケージは、熱界面材料(TIM)の事前塗布および圧入ピンのオプションを備えた業界標準のF1、F2パッケージを採用している。

EliteパワーシミュレータとセルフサービスPLECSモデルジェネレータのイメージ
EliteパワーシミュレータとセルフサービスPLECSモデルジェネレータのイメージ

同一ウエハーのダイで構成

 急速充電と双方向充電に対応し、EV充電システム普及に欠かせない低コスト化にも貢献するEliteSiC PIMには、高い信頼性という特徴もある。

 オンセミは、SiCパワーデバイスの原料であるSiCパウダーからSiCブール(SiCインゴット)を作製し、ウエハーを切り出してデバイス、モジュールに仕上げる完全な一貫生産体制を構築している。この生産体制を生かし、EliteSiC PIMのモジュール内のSiCパワーデバイスは同一ウエハーから切り出したダイを使用している。これによってSiCパワーデバイス間の微妙な性能のばらつきが解消される。「これまで設計者は、信頼性を確保するためにディスクリートデバイスでばらつきを調整する必要があったが、そうした手間なしで低コストかつ高い信頼性を実現できる」(オンセミ)

完全一貫生産体制のイメージ
SiCパウダーからデバイス、モジュールまでの完全一貫生産体制のイメージ

長期安定供給でEV普及を後押し

 オンセミは、将来的なSiCパワーデバイスの需要拡大に対応するためSiCブールメーカーのGT Advanced Technologies(GTAT)を2021年に買収するなど、完全一貫生産体制をさらに強化するための投資も継続している。EliteSiC PIMについても、EV普及に貢献すべく安定供給体制を構築する計画だ。


提供:オンセミ
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年6月28日

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