「コイン1枚に5トンのゾウ4頭分」の応力を制御、300mm GaNウエハーの量産近づく:電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記
300mmウエハーでの量産が始まれば、大幅なコスト低減が期待できます。
この記事は、2025年8月18日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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「コイン1枚に5トンのゾウ4頭分」の応力を制御、300mm GaNウエハーの量産近づく
TSMCの窒化ガリウム(GaN)ファウンドリー事業撤退という決定は、半導体業界に衝撃をもたらしました。TSMCは撤退の理由について「市場ダイナミクスに基づくもので、当社の長期事業戦略に沿ったものだ」と説明。業界観測筋は、この決定の背景に中国のGaNファブからの価格圧力の高まりがあると分析しています。
先端ノードと先進パッケージング技術に集中する姿勢を強めるTSMCは、2025年8月にも6インチウエハー製造を段階的に停止することを発表。こちらの決定でも中国勢の成熟ノードの生産能力拡大による価格圧力が要因の1つと見られています。こうしたリソースの再分配を進めるTSMCの戦略については、下記記事で考察しています。
さて、中国勢の攻勢などによって価格競争が加速することが見込まれるGaNパワー半導体市場ですが、この点で大きな優位性を発揮する「300mm化」を加速している一社がInfineon Technologies(以下、Infineon)です。TSMCのGaNファウンドリー事業撤退が報じられるきっかけとなったのは、Navitas Semiconductorの2025年7月1日(米国時間)の発表ですが、Infineonはほぼ同タイミングである2025年7月2日(ドイツ時間)に「300mmウエハーでのGaN製造が順調に進んでいる」とリリースを出し、そのメリットを強くアピールしました。
「IDM戦略の強み」訴えるInfineon
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