今こそ3Dビジュアライゼーションを「攻めの設計開発ツール」に!:製品のレビューや検証がスムーズに
設計開発におけるリスク解消のカギを握る3Dビジュアライゼーション。その価値が見直されようとしている今、オートデスクの「VRED」とデル・テクノロジーズのモバイルワークステーション「Dell Precision 7680」がその可能性を大きく広げる。
設計開発の現場において、これまで3Dビジュアライゼーションといえば3D CADのおまけ的な機能として捉えられてきた節がある。それも設計者の余力があるときにだけ起動する程度で、本格的な活用に至っていない現場が大半だろう。もっとも、設計者の手が空くこと自体がまれであり、3Dビジュアライゼーションが活躍するデザインレビューやプレゼンテーションの場では試作品やモックアップを用いることがほとんどだ。
「設計段階で品質やコストの80%が決まる」といわれる通り、設計完了後に実施されるデザインレビューには、設計部門の関係者だけでなく製造部門や品質部門といった関連部門の担当者も参加し、それぞれの立場で厳しい目を光らせて評価を下す。ここでのダメ出しは製品の製造性や安全性に関わる重要な意見であり、決して無視することはできない。だが設計者の立場からすると、この段階での設計変更は大きな痛手だ。その手戻りによって、ただでさえ厳しい開発スケジュールや予算がさらに逼迫(ひっぱく)することになる。
実は、設計開発に多大なリスクを及ぼしかねないこのようなコミュニケーションギャップを解消し、他部門の関係者や顧客、取引先とのスムーズな意思疎通と連携を実現する、設計者にとっての“攻めのツール”となり得るのが3Dビジュアライゼーションなのだ。3D CADで作成した3Dデータから素早く実製品レベルのフォトリアルなデジタルプロトタイプを生み出せれば、設計の初期段階から製造性や安全性に関する意見を求めることができる。
このように、単なるおまけ的な位置付けではなく設計開発に欠かせないツールとして機能し、3Dビジュアライゼーションによる“真の価値”をもたらすのがオートデスクの「VRED」だ。
自動車業界以外でも採用が拡大するオートデスクの「VRED」
VREDは、インタラクティブなGPUレイトレーシングに対応し、リアルな表現が施されたデジタルプロトタイプによるレビューや検証、プレゼンテーションなどを実現するプロフェッショナル向けの3Dビジュアライゼーションソフトウェアだ。VREDの特徴について、オートデスク WWFO/技術営業本部 ソリューションエンジニア/インダストリアルデザイン&ビジュアライゼーションスペシャリストの佐々木秀成氏は次のように語る。
「一言で言えば、3D CADで作成した3Dデータに加工の手間を掛けることなく、見たいタイミングで、見たい部分を、好きなように見られるようにするのがVREDです。ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)やタブレット端末で、見たい部分に自由に視点を移すことができます。元データが3D CADで修正されるとVREDでも自動的に最新データに更新されるので、レビューと設計変更を同時並行で進めるといった使い方も可能です。VREDで付加した3Dアノテーションを3D CADに取り込むといった相互運用にも対応しています」(佐々木氏)
VREDといえば自動車業界での普及が有名だが、現在はコンシューマー製品や土木/建築、プラントなどに採用が拡大しているという。
VREDの使用には、一定の性能以上のGPUを搭載したマシン環境が望ましい。そういう意味ではゲーミングPCでも運用可能だが、VRED本来のメリットを享受するにはワークステーションでの利用が適している。「VREDはマシン環境のリソースを余すことなく使い切るのが得意なソフトウェアです。パワフルなCPUやGPU、メモリなどを備えたワークステーションであれば、数億ポリゴンといった大規模な3Dデータも簡単に取り込めて、すぐにレビューすることが可能です」と佐々木氏は語る。
場所を限定せず、外出先でのデザインレビューや検証、プレゼンテーションを行うといった利用を想定するならば、性能と可搬性が高いモバイルワークステーションとVREDの組み合わせがベストだ。世の中にはモバイルワークステーションと銘打つ製品は多数ある。その中でVREDのメリットを最大限に引き出せる環境としてお薦めしたいのが、デル・テクノロジーズのモバイルワークステーション「Dell Precision 7680」だ。
「VRED」のメリットを最大限に引き出せる「Dell Precision 7680」
Dell Precision 7680の特徴について、デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 ビジネスディベロップメント事業部 アウトサイドスペシャリスト マネージャーの二宮利人氏は次のように説明する。
「VREDと組み合わせる際に肝となるのはGPUです。Dell Precision 7680は『NVIDIA RTX 5000 Ada』というモバイルワークステーション向けとしては最上位のGPUを搭載できます。CPUには第13世代の『インテル® Core™ プロセッサー』を採用し、メインメモリも最大で128GB搭載可能です。Dell Precision 7680はモバイルワークステーションでありながら、タワー型ワークステーションに匹敵する性能を発揮し、『Dell Precisionシリーズ』のモバイルワークステーションのフラグシップモデルに位置付けられています」(二宮氏)
第13世代のインテル® Core™ プロセッサーは、「Windows 11 Pro」との組み合わせによってパフォーマンスのさらなる向上が見込める(※注1)。その結果、「VREDを活用した3Dビジュアライゼーションだけでなく、3D CADで大規模アセンブリを扱ったりCAEでシミュレーションを実施したり、AI(人工知能)開発や深層学習に利用したりするなど、幅広い用途で優れた性能を発揮します」と二宮氏は説明する。
※注1:Dell Precisionシリーズに搭載されている第13世代のインテル® Core™ プロセッサーはPコア/Eコアに効率的にタスクを割り当てることでシステム全体のパフォーマンスを向上させる「ハイブリッドアーキテクチャ」を採用しており、「Windows 11」との組み合わせによってその性能を最大化できる。
モバイルワークステーションの信頼性と安定性を支えるDell Precisionシリーズの強みとして特筆しておきたいのが、卓越した冷却機構だ。GPUが高温になるとサーマルスロットリング機能が働いて意図的に性能を下げてしまうことから、GPU本来の性能を引き出し続けるためにはGPUを含めた筐体内部の効率的かつ効果的な冷却が求められる。「Dell Precisionシリーズのモバイルワークステーションは、2つのファンが逆方向に回転する独自の二重対向送風ファンやユーザーが選択可能なサーマルテーブルなどの高度な排熱機能を備えており、常に安定したパフォーマンスを提供します」と二宮氏は強調する。
Dell Precision 7680の使用感について、オートデスクの佐々木氏は「訪問先でVREDのデモンストレーションなどを行っていますが、旧機種よりも処理性能が圧倒的に高いのはもちろんのこと、優れた熱管理、電力管理の効果を実感できます。リアルタイムレイトレーシングなどの負荷の高い処理でもタワー型ワークステーション並みの速度で安定して動作します。重たい処理を実行してもパームレストがほとんど熱くならないのもいいですね」と太鼓判を押す。
想定外のリクエストにもフレキシブルに対応できる
佐々木氏はVREDとDell Precision 7680の組み合わせで得られた最大の効果として、優れたフレキシビリティー(変化に対する柔軟性)を挙げる。「訪問先で想定外の操作やリクエストを受けた際にも、その場でフレキシブルに対応できるようになりました」
訪問先で3Dビジュアライゼーションの結果をHMDに出力するデモンストレーションを実施する場合、通常はHMDの台数と同じ数の人しか出力結果を閲覧できず、急な人数変更に対応しにくい。しかし、VRED+Dell Precision 7680環境であればHMDへの出力と同時にタブレット端末や外付けのディスプレイにも出力できるため、HMDを装着していない人たちにも3Dビジュアライゼーションの結果を共有できる。
デモンストレーション用に用意しておいた3Dデータではなく、訪問先から突然「うちの製品だとどう見えるか知りたいから、この3Dデータを試してほしい」と頼まれるケースもある。「旧機種を使っていたころは、データを持ち帰って準備してからあらためて訪問するということも珍しくありませんでした。しかし、Dell Precision 7680を相棒として持ち歩くようになってからはそうした必要もなく、大規模な3Dデータでもその場で取り込んで3Dビジュアライゼーションの結果をすぐに提示できるようになりました。商談の場でお客さまにお待ちいただくことはご法度ですから、非常に助かっています」(佐々木氏)
フレキシブルな対応が求められる場面はデモンストレーションに限らず、レビューや検証の過程でも数多く発生する。そんなときにもVREDとDell Precision 7680の環境ならば慌てる必要はない。むちゃ振りとも取れるような急なリクエストにも「ではやってみましょうか」と臨機応変に対応できる。
「VREDとDell Precision 7680の組み合わせであれば、レビューや検証に参加している全員の思考を中断させることなく、議論をスムーズに進めることができます。当然これは設計開発の効率化やスピードアップにもつながります」(佐々木氏)
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アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2024年7月12日