AIと話すだけで「自分専用の計測器」――Liquid Instrumentsが仕掛けるパラダイムシフトLiquid Instruments 共同設立者兼CEO Daniel Shaddock氏

Liquid Instrumentsは、15種類以上の計測機能を1台に集約したソフトウェア定義型計測器「Moku(モク)」を展開する企業だ。同社は2026年7月、AIとの対話だけで独自の計測機能を短時間で構築できるツール「Generative Instrumentation Studio」を発表した。既存品では対応が難しい計測要件を満たす「自分専用の計測器」を、簡単に構築できるようになる。製品の詳細を、共同設立者兼CEOであるDaniel Shaddock氏に聞いた。

PR/EE Times Japan
» 2026年08月18日 10時00分 公開
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15種類以上の計測機能を1台に集約した「ソフトウェア定義型」計測器

Daniel Shaddock氏

――Liquid Instrumentsの概要を教えてください。

Daniel Shaddock氏 2014年にオーストラリアで設立した計測機器メーカーで、米国に本拠地を置く。オーストラリア、アジア、欧州、北米に約100人の従業員が在籍している。主力の製品はソフトウェア定義型(Software-Defined)のモジュール型計測器「Moku(モク)」で、現在、1000を超える企業や大学などの組織で使用されている。

――Mokuについて詳しくお聞かせください。ソフトウェア定義型とはどのような計測器なのでしょうか。

Shaddock氏 Mokuはオシロスコープやスペクトラムアナライザ、ロックインアンプ、信号発生器といった15種類以上の計測機能を1つのハードウェアに統合したプラットフォームだ。強力なFPGAが搭載されていて、使用する計測機能のソフトウェアを選択すると、FPGAが即座に再構成されてその機能を実現する。さらに、ソフトウェアの定期的な無償アップデートによって、計測機能の追加や既存機能の性能向上も行われる。これらが「ソフトウェア定義型」と呼ばれる理由だ。

 電話やカメラ、ゲーム機、懐中電灯などの機能は今や1台のスマートフォンに集約されている。Mokuはまさに“スマートフォンの計測器版”といえるだろう。目的に合わせて何台もの計測器を用意する必要がなく、スペースとコストを大幅に削減できる。複数の計測機能を同時に立ち上げ、ブロック図を描くように接続して連携させるモードも備えている。これにより、個々の計測機能を単独で使用する以上の価値を引き出せる。

ソフトウェア定義型計測器「Moku」のイメージ 提供:Liquid Instruments ソフトウェア定義型計測器「Moku」のイメージ 提供:Liquid Instruments

 現在は「Moku:Go」「Moku:Pro」「Moku:Delta」の3製品を展開している。最も新しい製品が2025年9月に発売したMoku:Deltaだ。帯域幅は2GHzで、アナログ入出力をそれぞれ8チャンネル備え、入力サンプリングレートは5GSa/s(ギガサンプル/秒)になっている。ノイズフロアを10nV/√Hz以下(100Hz時)と非常に低く抑えていることも特徴だ。

 価格はローエンドのMoku:Goが800米ドル、Moku:Deltaは6万〜9万5000米ドルだ。日本では2017年に販売を開始しており、丸文とオプトサイエンスが販売代理店を務めている。

AIとの会話で「自分専用の計測機能」を即座に実現

――2026年7月には「Generative Instrumentation Studio(GenInst Studio)」を発表しました。

Shaddock氏 GenInst Studioは、シンプルなプロンプトによって、ユーザーが必要とする計測機能を短時間で実現するためのツールだ。ユーザーがAIシステムと会話するだけで、自身のニーズに適した独自の計測機能を構築できるようになる。

 具体的には、ユーザーとの対話内容を基に、AIが必要な信号処理を設計し、コードを記述する。その後、自動テストによって信号処理の動作を検証し、必要に応じてコードを修正した上で、MokuのFPGAに実装するという仕組みだ。FPGAへの実装はわずか10分程度で完了する。

「Generative Instrumentation Studio(GenInst Studio)」概要 「Generative Instrumentation Studio(GenInst Studio)」は、簡単なプロンプトだけで必要な計測機能を実現できる 提供:Liquid Instruments

――GenInst Studioは、計測器業界にどのような影響をもたらすとお考えですか。

Shaddock氏 業界では、計測器市場の約25%を、特殊な要件への対応が求められるコーナーケースが占めるとも指摘されている。計測の世界には多種多様な課題が存在するが、市場や計測機器が用途ごとに細分化されているため、個々の課題を解決できる既存品が存在しないことも多い。それ故、エンジニアが独自に計測システムを構築したり、十分とはいえない測定方法や結果で妥協したりせざるを得ないというのが現状なのだ。

 GenInst Studioはこうした状況を打破できる。MokuとGenInst Studioを組み合わせることで、あらゆるエンジニアが「要件を満たす自分専用の計測システム」をわずか1時間程度で構築できるようになる。

 われわれはこれを「パーソナライズド計測器」と呼び、新たな時代の到来を意味する。専門チームが、エンジニア一人一人のために計測ソリューションを構築してくれるようなものだ。しかも、それがAIシステムと短い会話だけで可能になる。

 必要に応じて、計測機能の設定を日々変更することもできる。GenInst Studioは、高度な研究開発の現場において、非常に大きな変化をもたらすだろう。

 GenInst Studioは、Liquid Instrumentsのエンジニアチームが10年かけて蓄積したノウハウを体系化し、あらゆるユーザーが利用できるようにしたものでもある。その点にも大きな価値があると考えている。

14日間の無償トライアルも可能

――料金体系について教えてください。

Shaddock氏 基本的にはサブスクリプションサービスとして提供する。Mokuのユーザー向けには、登録後1年間試用できるプランを用意している。Mokuを所有していない方に対しても14日間の無償トライアルを提供する。ぜひ、AIシステムと会話してみたり、操作してみたりしてその性能を試してほしい。初年度に最大100種類の計測機能を構築できる上位プランも用意している。こちらは年間5000米ドルとなっている。

 将来的には、さまざまな計測機能をダウンロードして利用できるGenInst Studio向けのアプリストアのような仕組みを提供することも検討している。

――GenInst Studioは日本語でも使えますか。

Shaddock氏 日本語でのプロンプト入力は可能だ。間もなく、完全な日本語対応も実現できる見込みになっている。日本は、Liquid Instrumentsにとって4番目に大きな市場だ。当社が提供する既存のMokuのインタフェースやアプリ、計測器については既に日本語に対応している。

――GenInst StudioとMokuの展開に当たり、意気込みをお聞かせください。

Shaddock氏 多くの顧客は、計測器に対して多様で高度なニーズを持っている。Mokuは、ソフトウェアによって実現した柔軟性と、強力なFPGAを搭載するハードウェアによって実現した高い性能を兼ね備えている。この組み合わせにAIコーディングを掛け合わせたわれわれのソリューションは、従来は解決が困難だった測定上の課題を解消する、真のブレークスルーになると確信している。


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提供:Liquid Instruments Inc.
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月17日

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