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マイコンをひと言で説明しなさいっ!魔法の部品“マイコン“を使いこなそう!(2)

前回はマイコンの外見(パッケージ)と中身(基本的な構成)について説明しました。今回はマイコンで何ができるかを知るために、その中身をもう少し詳しく見てみましょう。さらに、後半ではARM(アーム)と呼ばれるマイコンの種類について説明します。

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 さて、突然ですが、「マイコン」をひと言で説明するとしたら、あなたはどう答えますか?

 人によっていろいろな答えがあると思いますが、私は、こう答えるようにしています。

マイコンは、

計算機(頭脳)と周辺機能(手足)からなる電子部品

 ひと言というわりには、少し難しい説明ですね。でも、これには3つの大事なポイントがあります。1つずつ解き明かしていきましょう。

 1つ目に、マイコンの最も特徴的な機能は、計算をするということです。先ほどのマイコンの説明が難しければ、「マイコンは計算機である」と言ってもいいくらい重要です。これなら友達に聞かれても説明できそうですね。では、計算機とは何でしょうか。そろばん?電卓?つまり、算数や数学のような計算をする機械のこと?実は、それでおおよそ正解です!実際に、マイコンは加減乗除の計算ができます。ただし、もう少し単純な仕事もたくさんあります。例えば、「2つの数値が同じかどうか調べる」ことや、「ある数値をコピーする」などです。計算と呼ぶにはちょっと単純すぎるかもしれませんね。とにかく、マイコンには多くの種類の計算をこなすことができます。すごいですよね。これをどう使うかを知ることが、マイコンを使いこなすためのヒントになりそうですね。ちなみに、マイコンの計算を行う部分のことを、CPU(シーピーユー)と呼ぶことがあります。

 2つ目のマイコンの特徴として、周辺機能があります。これは、計算機としての機能がマイコンの中心的な役割を果たすとすると、それ以外の機能、ということです。周辺機能は、実にたくさんの種類があり、その説明だけで本一冊分になるほどです!しかも、マイコンは日々進化していて、周辺機能の種類は増え続け、その性能も進化し続けています。これではマイコンを使いこなすのは難しそう、と不安になりますね。ですが心配はいりません。周辺機能は、「あなたがマイコンを使ってやりたいこと」をサポートしてくれる便利なものなのです! 例えば、「赤外線リモコンを作りたい」、「キッチンタイマーを作りたい」など、電子工作でやりたいことがあるとします。実は、それぞれの「やりたいこと」に応じた便利な周辺機能が、マイコンに入っていることが多いのです。つまり、周辺機能をすべてマスターする必要はなく、目的に合った周辺機能だけについて調べればよいのです。そして、例外もありますが、周辺機能にはある法則があります。

  1. 周辺機能は、計算機の部分(CPU)を使って操ることができる
  2. 周辺機能は、マイコンの端子につながっている

 つまり、1つ目の特徴である、計算機の部分(CPU)を使うことができれば、周辺機能も使うことができるのです。そして、周辺機能はマイコンの端子につながっているので、その動きを実際に確かめやすいのです。周辺機能は、あなたがマイコンを使って何かしたいときに、より身近な存在になるでしょう。ぜひお気に入りの周辺機能を見つけてください。

 3つ目に、マイコンは電子部品です。これは、理科の実験などで作った電気回路の部品とは少し目的が違う、ということなのです。例えば、電気回路は、電池で豆電球を点灯させるような「実際に電気エネルギーを消費して仕事をする」回路のことです。これに対してマイコンは、確かに電気を使うことには変わりはありませんが、主な役割は、「電気をデジタル信号として扱い、情報を処理する」ことだと言えます。この違いは、実際に使ってみた方が分かりやすいので、別の機会に説明することにします。

 ここまでの説明を簡単にまとめましょう。

  • まとめ
    • マイコンを一言でいうと、「計算機」です。
    • 計算をする中心的な部分を、CPUと呼びます。
    • マイコンでやりたいことのヒントは、「周辺機能」にあります。
    • マイコンは電子部品であり、主に「デジタル信号」を扱います。

【図1】マイコンの特徴

「ARMマイコン」とは?

 これまでの説明で、マイコンの中心的な機能はCPUであること、CPUができる計算の種類がたくさんあることは、お分かりいただけたと思います。そして、マイコンを勉強するには、このCPUをどう使いこなすかがカギとなります。ところで、マイコンを製造・販売している会社(メーカー)はたくさんありますが、かつてはメーカーごとに独自のCPUを作っていました。電子工作を始めたい私たちにとっては、どのメーカーのマイコンを使うか、悩みどころだと思いますが、CPUにもたくさんの種類があっては、勉強するのが大変ですね。ところが、最近は、CPUは同じで、周辺回路だけメーカー独自のもの、というマイコンが増えてきました。その代表的なCPUは、ARM(アーム)社という会社が設計したものです。つまり、ARM社は、CPUの設計図だけを作り、マイコンメーカーは、CPU以外の全ての設計図を作り、マイコンとして製造するのです。こうすることによって、ARM社はより優れたCPUを設計することに専念し、マイコンメーカーも、CPU以外の周辺機能をよりよくすることに専念できるわけです。では、私たちにとって、ARMマイコンを使うメリットは何でしょうか。主なメリットを3つ挙げてみました。

  • 主なメリット
    1. 多くのメーカーが作っているので、比較的入手しやすい
    2. CPUの使い方は同じなので、いろいろなマイコンで同じ知識が使える
    3. 同じマイコン開発環境が使えることが多い

 「1.」「2.」については、さきほど説明したARMマイコンの成り立ちを考えると、納得できるかと思います。では、「3.」の「マイコン開発環境」とは何でしょうか。「マイコン開発」とは、あなたがマイコンの動作の内容を考えて作ったり、実際に動作を確認したりする全ての作業のことです。「マイコン開発環境」は、一般的にはPCにインストールする、マイコン開発用のソフトウェアのことを指します。つまり、マイコンを使って何かしようとすると、マイコンが必要なのはもちろんですが、それに合わせた「マイコン開発環境」が必要になるのです。実は、ARMマイコン用の開発環境はいくつかありますが、たくさんの種類のARMマイコンをサポートしている開発環境があります。つまり、1つのマイコン開発環境のソフトをインストールすれば、いくつものARMマイコンに対応できるので、開発環境の使い方も1つ覚えればいいというわけです。


【図2】ARMマイコンの特徴

 今回は、「マイコン」を簡単に言いかえることで、使いこなしのヒントを探ってみました。また、ARMマイコンのメリットについて考えてみました。次回は、ARMマイコンの1つ、「FMマイコン」を例に挙げ、具体的な使い方について考えていきましょう。


※この記事は電波新聞社発行の電子工作マガジンの2013秋号に掲載されたものです。許可を得て転載しています。




提供:Spansion Inc.(スパンション)
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月15日

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