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「AppleがSamsungから半導体調達」報道、ソニーの反応は25年Q1決算は増収増益(1/2 ページ)

ソニーグループ(以下、ソニー)が2025年度第1四半期(2025年4月〜6月)業績を発表した。会見では、「AppleがSamsung Electronicsからイメージセンサーを調達する予定」という一部報道に関連する質問が上がった。

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 ソニーグループ(以下、ソニー)は2025年8月7日、2026年3月期(2025年度)第1四半期(2025年4月〜6月)の連結業績を発表した。イメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の売上高は前年度比15%増の4082億円、営業利益は同48%増の543億円となった。スマートフォン向けおよびデジタルカメラ向けが好調だった。

「Appleが米国内でデバイス調達」について

 2025年8月6日(米国時間)、米国のトランプ大統領が半導体に約100%の関税を課すと表明したことが報じられ、同時にAppleが米国への投資を6000億米ドルに増額する計画を発表した。

ソニーの執行役員 経営企画管理、ディスク製造事業、ストレージメディア事業担当の堀井直也氏
ソニーの執行役員 経営企画管理、ディスク製造事業、ストレージメディア事業担当の堀井直也氏 出所:ソニーグループ

 Appleは発表の中で「米国テキサス州オースティンのSamsung Electronics(以下、Samsung)の工場でSamsungと協力し、これまで使用されたことのない革新的な新技術を用いたチップ製造技術の開発を進めている」「同技術を最初に米国に導入することで、この施設は世界中に出荷されるiPhoneを含むApple製品の電力効率と性能を最適化するチップを供給することになる」と言及。同日、複数メディアが2026年に発売が見込まれるAppleの「iPhone 18(仮称)」にSamsungがイメージセンサーを供給する見込みだと報じた。

 ソニーが独占的にイメージセンサーを供給し、同社にとって最大の顧客とされるAppleが米国内でのデバイス調達を進め、近く競合メーカーが参入してくる可能性も報じられた形だ。今回の決算会見でもこの件に関連した質問が上がった。

 顧客が米国内に生産能力を有するパートナーを重視するリスクについて、ソニーの執行役員 経営企画管理、ディスク製造事業、ストレージメディア事業担当の堀井直也氏は「特定の顧客にかかる直接的な質問には答えられない」と回答。そのうえで、事業全般のリスクとその対応といった観点での説明として「当社は米国内に半導体製造拠点を有しておらず、短期的に米国内での生産対応をすることは現実的には難しい。一方、どこの原産地であるかということと併せ、いかに優れたデバイスを顧客に提供し、顧客の最終製品を魅力的にするかについては、これまでも力を入れて取り組んできており、今後もその部分は競合を上回るデバイスを提供していける。こうしたリスクは常に存在するが、デバイスメーカーとしては、この部分に製品の競争力と品質をもってしっかりと立ち向かっていきたい」と語った。

 また、こうした状況に関して、以前から存在しうるリスクとして想定していたのかという質問には「一部検討、想定はしていた部分はあるが、それに対する全ての答えを持ち合わせているわけでない。ただ、今朝報道が出た内容であり、真偽の程も含めて、これから社内でよく議論していく内容と認識している」と語った。

スマホ製品市場は回復基調、過去最高更新の見通し維持

2025年度第1四半期のI&SS分野業績と通期業績予想
2025年度第1四半期のI&SS分野業績と通期業績予想[クリックで拡大] 出所:ソニーグループ

 第1四半期の業績は、為替のマイナス影響はあったが、モバイル機器向けイメージセンサーが出荷数量の増加と製品ミックスの改善で堅調に推移。デジタルカメラ向けイメージセンサーも増収となり、結果として前年度比547億円の増収となった。営業利益は、為替の悪影響を増収の影響が大きく上回り、176億円増で着地した。

 I&SS分野の2025年度の通期見通しは従来のものを据え置いた。同社は売上高が前年度比9%増の1兆9600億円、営業利益が同7%増の2800億円で過去最高を更新することを予想している。

ソニーの執行役CFO(最高財務責任者)である陶琳氏
ソニーの執行役CFO(最高財務責任者)である陶琳氏 出所:ソニーグループ

 ソニーによると、スマホ製品市場は引き続きグローバルで緩やかに回復。第1四半期のモバイルセンサー売上高は、センサー出荷数量の増加とドルベースでの単価上昇によって、為替の影響を除くと顕著に成長したという。

 足元の出荷数量も前年度比で増加しているというが、ソニーの執行役CFO(最高財務責任者)である陶琳氏は「追加関税に起因して顧客による発注時期が前倒しとなっている可能性も踏まえ、年間ベースの出荷数量見通しは前年度並みとしている」と説明した。第2四半期以降は、センサーサイズの大盤化と高付加価値化のさらなる進展による単価上昇によって、前年度からの為替悪化を踏まえても順調な売り上げ成長を見込んでいるという。

 また、同社は今回、コンシューマー向けカメラの領域について、一眼カメラの顕著な需要に加え、動画ニーズの高まりから、ハンドヘルドなど新しい動画撮影カメラ向けセンサーの需要が増えていることも強調。「このような市場の広がりを捉え、新たな収益機会につなげていく」とした。

 稼働率は、2025年度第1四半期、設営ベースで月産15万9000枚(3カ月の平均値)で、ウエハー投入枚数は1カ月当たり15万6000枚(同)だった。2025年度第2四半期は設営ベースは月産15万9000枚(同)、投入枚数は1カ月当たり15万7000枚(同)を見込んでいる。

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