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電源システム設計に変革をもたらし成長を遂げるVicorVicor グローバルセールス&マーケティング担当副社長 Philip D. Davies氏

Vicor(ヴァイコー)は、あらゆる入力ソースから負荷ポイントまでの電源システムチェーンをカバーするパワーコンポーネントを用意し、短時間で電源システム設計が行える「パワーコンポーネントデザイン手法」(PCDM)の提案を強める。複雑な電源システム設計が短時間で容易に行える利点があり、Vicor グローバルセールス&マーケティング担当副社長 Philip D. Davies氏「多くのユーザーに受け入れられつつある」と語る。「2018年はデータセンター市場などに向けて、48V直接給電ソリューションの提案などに注力したい」という同氏に事業戦略を聞いた。

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2年以上にわたり受注増が続く

――2017年のビジネスを振り返ってください。

Philip D. Davies氏 2017年は、Vicorにとって非常に良い1年だった。

 2015年第3四半期(7〜9月)以降、2年以上にわたり、四半期ベースの受注額は増加し続け、順調に事業成長を続けている。顧客数についても、ここ2年間で3割ほど増え、1万1000社以上を数えるまでになった。

――好調な事業成長の要因はどの辺りにありますか。

Davies氏 Vicorは、5年前に大きく事業戦略を転換したことが功を奏している。

 5年前、Vicorは、いわゆるブリックと呼ばれる従来型の電源モジュールの提供から、電源システムを構成する要素を最小化したモジュールである“パワーコンポーネント”の提供へと舵を大きくきった。

 電源設計は、数多くのコントローラとパワーディスクリートを組み合わせて設計する従来手法では、複雑性が増し、非常に難しくなっている。そこでVicorでは、パワーコンポーネントを組み合わせることで、ACやDCといった入力ソースから、負荷ポイントまでの電源システム全体のチェーンを構築できる「パワーコンポーネントデザイン手法」(PCDM)を提唱している。

 2年ほど前から、さまざまな入力電圧/出力電圧、絶縁型/非絶縁型などのさまざまな電源仕様を問わず対応できるコンポーネントの製品ラインアップが整った。ユーザーは、パワーコンポーネントのこのラインアップから、好きなコンポーネントを選ぶだけで電源システムを設計できるようになった。


電源システムチェーン全体をカバーするパワーコンポーネント製品の一部。数百ワット容量のパワーコンポーネントから、負荷ポイント近傍に配置する表面実装対応小型パッケージのパワーコンポーネントがそろう

  Vicorでは、実際にユーザーが製品を選択し、電源を容易に設計できるツール「Power System Designer」(PSD)をWebサイトに公開している。PSDを使えば、入力電圧/出力電圧、絶縁型/非絶縁型などの要件を入力するだけで、電源システムを設計できるようになっている。設計に費やす時間はたった3分であり、ぜひ試してほしい。

電源設計ツール「Power System Designer」の紹介動画

受け入れられる電源設計手法「PCDM」

――コンポーネントを組み合わせた新たな設計手法である「PCDM」が特に受け入れられているアプリケーション市場はどこですか。

Davies氏 Vicorのアプローチは、インダストリアル市場、コミュニケーション市場、宇宙航空市場など、幅広い市場に受け入れられている。もちろん、非常に電源システムへの要求が厳しいスーパーコンピュータ(スパコン)、データセンター領域でも受け入れられ、大きな注目を集めている。

――スパコン、データセンター市場で大きな注目を集めている理由は何ですか。

Davies氏 スパコン、データセンター市場では、人工知能(AI)への対応などより高い処理性能を実現するため、電力密度を高める必要性が生じている。ここ3年ほどで、サーバーラックの電力は、5kWから20kW以上へと大きくなっている。そこで、より大きな電力、電流を扱うために、これまでの12V系配電システムから、48V系配電システムへの移行が迫られている。12Vから48Vへ電圧を4倍に高めれば、電流値は4分の1に低減でき、電力損失は16分の1に低減できるなどの大きなメリットがある。ただ、48Vで給電される電力を、CPUを動作させるために必要な1Vに変換することは容易ではない。

 そうした中で、48Vの電力を1Vに変換するVicorの「プロセッサーへの48V直接給電ソリューション」が大きな注目を集めている。

データセンター市場で広がる48V→1Vへの直接変換

――プロセッサーへの48V直接給電ソリューションについて教えてください。

Davies氏 プロセッサーへの48V直接給電ソリューションは、10年前にIBMのスパコン向けに開発した技術であり、既に多くの実績を持つ。

 通常のPWM制御のスイッチングコンバータで、48Vから1Vへの直接変換を行った場合、ノイズが大きくなるという課題がある。これに対し、Vicorはソフトスイッチング技術を応用した独自のサインアンプリチュードコンバーター(SAC)を用い、小さな面積で、かつ、高効率に、直接変換できるようになっている。


プロセッサーへの48V直接給電の利点

 48Vラック配電の採用を決定したGoogleも、Vicorのソリューションの採用を決め発表を行っている。

――データセンター市場やコミュニケーション市場では、より大きな電力、電流を扱うようになっていきます。

Davies氏 大電力、大電流化に対応する新たな技術の開発も進めている。

 現状の48V直接給電ソリューションは、いったんPRMと呼ぶパワーコンポーネントで入力ソースを安定化した後に、CPUやGPUなどの負荷ポイント近傍に配置するVTMと呼ぶパワーコンポーネントで、1Vへと変換している。

 しかし、400Aを上回るような大電流を扱うようになると、VTMと、CPUやGPUなどの負荷ポイントまでのおおよそ1インチ程度の長さの配線の抵抗が大きな損失を生むことになる。大電流に対応するには、この“ラストインチ”を解消する必要があるのだが、VicorではCPUやGPUなどの負荷デバイス上に、変換コンポーネント(MCM)を配置できるPoP(Power-on-Package)技術を開発した。これによりラストインチが解消される。2018年には、PoPを使用しているさまざまなパートナーから発表があるだろう。


CPUやGPUなどの負荷デバイス上に、変換コンポーネント(MCM)を配置できるPoP(Power-on-Package)技術のイメージ

2018〜2019年も、成長を確信

――2018年のビジネス展望をお聞かせください。

Davies氏 過去2年間にわたって成長してきたように、2018〜2019年以降も成長を遂げることができると確信している。

 データセンターや5G、電気自動車、自動運転車、インダストリアル、宇宙航空など幅広い分野で、高性能、高密度、高効率の電源システムが求められ、従来型の設計手法では対応できなくなることは明白。われわれのPCDMが、確実に受け入れられていくだろう。

 Vicorは今後も継続してパワーコンポーネントライブラリを強化し、そうした電源システムへのニーズに応えていく。

――日本での事業戦略について教えてください。

Davies氏 Vicorにとって日本は重要な地域であり、ワールドワイド同様に事業を大きく成長させられるビジネスチャンスが多くあると思っている。

 2017年には、日本法人を株式会社化し、「Vicor KK」と名称を変更し、販売サポート機能を一層、強化した。さらに販売代理店としては、マクニカ(テクスターカンパニー)が加わった。マクニカは、日本でも有数のエレクトロニクス商社であり、認知度、技術力も高く、早くも多くの成果を生み出している。

 日本市場への投資も継続し、事業拡大を積極的に図っていく。



提供:Vicor KK
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年2月15日

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