「明日すぐ欲しい」に応える サプライチェーンの変化に打ち勝つ継続供給を実現するRochesterRochester Electronics 日本オフィス代表 藤川博之氏

生産終了となった「EOL(End of Life)品」を供給するRochester Electronics。コロナ禍は落ち着いたものの、国際情勢や世界経済で不確実性が増す中、EOL品の需要はさらに高まっている。同社は、こうした需要増やサプライチェーンの変化にどう対応しようとしているのか。日本オフィス代表の藤川博之氏に聞いた。

PR/EE Times Japan
» 2025年08月20日 10時00分 公開
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製品戦略の先鋭化が進む

Rochester Electronics 日本オフィス代表 藤川博之氏

――直近1年間のビジネスを振り返ってください。

藤川博之氏 2025年に入っても依然として半導体の市況は厳しい状況だ。コロナ禍後、特に現行品が供給過剰になり、顧客の買い控えが続いていた。2024年内に解消されると見込んでいたが、それが今も継続している。さらに、米トランプ政権による関税政策などを含めた不透明な国際情勢が加わり、今後も楽観視できないと思っている。

――製造中止品(EOL品)の需要についてはいかがでしょう。

藤川氏 EOL品についてはやや状況が異なり、グローバルで需要が伸びている。半導体メーカーのM&Aが続いており、それに伴いPDN(Product Discontinuation Notice:生産終了の通知)も増えている。当社の顧客もリソースの最適化を進めていて、基本的には新製品の開発へとシフトしている。ただし量産中の製品についてもメンテナンスが必要になるので、製品戦略を先鋭化させているのが実情だ。

――そのような背景を受けて、Rochester Electronics(ロチェスターエレクトロニクス)はどのような戦略を進めていくのでしょうか。

藤川氏 EOL品を供給する当社への期待値は確実に高まっているという手応えを感じている。戦略面では3つの柱を掲げている。取り扱いメーカーおよび製品の継続的な拡張、サプライチェーンの管理、そして販売網の多様化だ。

 取り扱いメーカーや製品の拡張は、しっかりと投資し、さらに加速させている。2024年にスイスu-bloxや米MaxLinearとパートナーシップを締結した他、2025年はBroadcom、タイミングデバイスやRFソリューションを手掛ける米Abraconとも戦略的パートナーシップを結んだ。その他、Infineon Technologiesのマイコン「HOTLink」やNXP Semiconductorsの「QorIQ」マイコンなども、戦略的な継続供給ソリューションとして提案できるようになっている。日系メーカーではロームと新たなパートナーシップを締結し、初めての製品移管を進めているさなかだ。日本では2024年度に、日系メーカーとの関係強化に向けたチームを発足させた。それが奏功し始めている。

従来とは異なる「出口戦略」が必要に

――サプライチェーンの管理についてはどうでしょうか。

藤川氏 この戦略の狙いは、当社の顧客が調達準備に少しでも早く着手できるようにすることだ。顧客から「明日すぐにでも製品を入手したい」という問い合わせをいただいた際に、もう少しタイミングが早ければ何とか対応できたというケースもあり、歯がゆい思いをした。完成品の在庫で対応できればベストだが、それだけでは難しい場合もあるので、移管中の製品あるいは、今後移管される予定の製品を含めて提案できるような体制に変えていく。

 加えて、代替品の提案も引き続き強化する。EOL品に対して、より古いEOL品や、異なるメーカーのEOL品も積極的に提案する。再生産も中長期的には間違いなくサプライチェーン管理戦略の肝になるので、数カ月前あるいは数年前から話を進めることで盤石な体制を構築できるようにする。

――コロナ禍を経て顧客の意識が変わり、サプライチェーンについては常に危機感を持って対応しようとしているのがよく分かります。

藤川氏 日本では中長期的な視点で調達戦略を立てなくても十分にサプライチェーンを維持できていたころもあった。

 だが昨今、半導体メーカーだけでなくエレクトロニクス商社のM&Aも進む中、従来のサプライチェーンを維持することは難しくなりつつある。半導体サプライヤーはこれまでとは異なる出口戦略を見つけなくてはならず、その一つとして当社を頼っていただいているのではないか。われわれとしても、まさにその出口戦略をサポートしていきたい。グローバルのレベルで新たな要望が出てくるはずなので、しっかりとフィードバックを聞きながら対応する。

「継続供給」が最優先

――3つ目の柱である販売網の多様化というのは、直販も行うということでしょうか。

藤川氏 もちろん、顧客への直接的なアプローチも含む。ここは少し面白い現象があり、これまでは購買担当や技術部門からの問い合わせがほとんどだったものが、最近は品質管理や環境管理部門などからのコンタクトが増えている。問い合わせ元が多様化しているので、オンラインミーティングやウェビナーも駆使しながら対応している。代理店とのパートナーシップも深めつつ、直販への要望も増えているので、そうしたニーズに対応できるよう“多様化する力”を鍛えたい。

――冒頭でも米政権の関税の話が出てきましたが、部品の調達戦略はますます難しい判断や見極めが必要になりそうです。

藤川氏 コロナ禍以降も紛争や関税などの問題に直面する中、半導体サプライヤーも機器メーカーも多方面に備えてさまざまな体制を整え、検討している。顧客にとっては「継続供給される」ということが最も重要で、それは当社の使命でもある。そのためにも、後工程のEOL対応や、「半導体製品のライフサイクル」など当社ならではのテーマでのウェビナー開催、Webサイトの刷新なども含めて、精力的に取り組みを進めている。

 Webサイトは、日本の顧客にも快適な購買体験を提供できるよう、大幅なリニューアルを図った。Eコマース機能に加え、購入管理、部品リスト(BOM)の一括照合ができるポータル機能、日本円の表記を追加した。製品検索時に、関連する製品が表示されるので、代替品も検索しやすくなる。従来の代理店経由の販売だけでなく、販売網を広げ購買方法の選択肢を増やすことで、顧客の要望に柔軟に対応する。


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提供:Rochester Electronics, Ltd.
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年9月19日

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