「MCU+アナログ」でカスタムSoCを迅速に開発、日本顧客のニーズに応えるNOVOSENSENOVOSENSE Microelectronics シグナルチェーン製品部部門長 葉健氏

中国のアナログ&ミックスドシグナル半導体メーカーNOVOSENSE Microelectronicsは2023年、日本に本格進出を果たした。以来、同社はターゲットとする自動車分野において日本の潜在顧客との距離を着実に縮めている。さらに、MCUとアナログ半導体技術を組み合わせたプラットフォーム「NovoGenius」の製品展開にも力を入れる。NovoGeniusによりカスタムSoCを迅速に開発し、日本の顧客の厳しい要求にも応えると強調する。

PR/EE Times Japan
» 2025年08月20日 10時00分 公開
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日本支社設立から2年、Tier 1と有意義な議論も

葉健(イェー・ジェン)氏

――2024年の業績はいかがでしたか?

葉健(イェー・ジェン)氏 売上高が前年比49.5%増の2億7300万米ドルと好調な業績を達成した。この成長をけん引したのは自動車分野で、同分野の売上高は全体の36.9%(前年比5.93ポイント増)を占める。2024年時点で、車載用チップの出荷個数は累計で約7億個に達した。

 自動車以外では、産業および再生可能エネルギー部門が売上高の49.5%を占め、引き続き堅調に推移した。業界全体の在庫調整を受けて、出荷台数は着実に回復している。

 2024年にはMagnTekを買収し、磁気センシング技術のポートフォリオと開発能力を大幅に強化した。この戦略的な動きは、さまざまな分野で差別化された高性能アナログおよび、ミックスドシグナルソリューションを提供するNOVOSENSE Microelectronics(以下、NOVOSENSE)の能力をさらに強化する。

――日本支社を設立して2年になります。日本でのビジネスはいかがですか。

葉氏 着実に日本での拠点を拡大し、いくつかの主要なTier 1メーカーと有意義な議論もできるようになった。日本支社のメンバーはパートナーと密に連携し、日本市場で期待される厳しい品質と性能基準を満たす製品を提供している。

 日本はNOVOSENSEにとって戦略的に重要な市場だ。展示会にも積極的に出展し、トレンドや顧客ニーズをつかむようにしている。横浜市で開催される「人とくるまのテクノロジー展」には2024年、2025年と連続して出展し、潜在顧客と直接やりとりする機会を増やしてきた。

 日本では自動車がメインターゲットだが、その他にも産業オートメーション、再生可能エネルギー、白物家電といった分野でのビジネス機会も模索している。

MCUとアナログ半導体技術を組み合わせる「MCU+」戦略

――MCU(Micro Controller Unit)関連の新しい製品戦略についてお聞かせください。

葉氏 MCUとアナログ半導体技術を組み合わせる「MCU+」戦略を展開し始めた。MCU分野に進出するという当社の決定は、戦略的な先見性とアプリケーション主導のイノベーションの両方に根ざしている。

 多くのアプリケーション、特に自動車において、顧客はスタンドアロンのMCUだけを必要としているわけではない。顧客が望んでいるのはアナログ、電源、制御を1パッケージに統合したコンパクトなソリューションだ。これが、MCU+戦略のきっかけになった。

 MCU+では、制御ロジックをパワードライバ、通信インタフェース、アナログ信号処理と組み合わせるカスタマイズされたSoC(System on Chip)の開発に焦点を当てる。これによってプリント基板(PCB)の面積の削減に加え、コスト効率や性能、信頼性を向上させられる。

 一例が車載用の小型モータードライバーSoC「NSUC1610」だ。従来のソリューションでは、1個のモーターを制御するために、MCUや電源管理IC(PMIC)、LINトランシーバー、MOSFET、MOSFETドライバなど5〜6個のディスクリートデバイスが必要になる。NSUC1610は、これら全てを1チップに統合することで、システム設計を大幅に簡素化し、BOMコストを削減してスペースを最適化する。これは特に、エアベントモーターやサーマルバルブのようなアプリケーションで重要になる。NSUC1610は量産中だ。

「NovoGenius」プラットフォームで迅速なカスタマイズSoCを開発

――MCU+のコンセプトを製品化したものが「NovoGenius*)」になりますね。

*)「NovoGenius」はNOVOSENSE Microelectronicsの登録商標です。

葉氏 MCU+では現在、「MCU+ドライバ」「MCU+照明」「MCU+センサー」の3つのポートフォリオがある。いずれにおいてもNovoGeniusとして製品を展開する。NSUC1610はMCU+ドライバのカテゴリーになる。MCU+照明用のNovoGeniusには「NSUC1500」がある。

 NovoGeniusは、迅速なカスタマイズのためのプラットフォームになる。アナログとデジタルをシームレスに融合させることで、自動車組み込みシステムの性能、効率、信頼性を確保しながら、顧客のイノベーションを加速させる。

 NovoGeniusの開発では、顧客の需要が明確な、ある程度規模のある市場セグメントに焦点を当てている。市場の需要に正確に合わせて高度にカスタマイズされたアプリケーション固有のSoCを迅速に開発し展開する計画だ。

「NovoGenius」の概要 提供:NOVOSENSE 「NovoGenius」の概要 提供:NOVOSENSE

――MCUを提供する競合他社は多数ありますが、NOVOSENSEの強みは何でしょうか。

葉氏 「アナログファースト」の視点を持っていることがわれわれの強みだ。MCUに、アナログ/ミックスドシグナル設計における当社の深い知見と豊富なIPポートフォリオを組み合わせることで、最適化したSoCを開発して提供できる。

 これにより、自動車など実際のユースケースに合わせてソリューションを調整できる。MCUは通常3.3V/5Vで動作し、電源管理やモーター駆動のために外部コンポーネントを必要とするが、NSUC1610は最大40V入力をサポートし、12Vロジックインタフェースを備えている。8つのMOSFETをオンチップに統合することで、直接モーターを駆動できる。特にスマートアクチュエーターや組み込みHVACモーターなどのスペースに制約のあるアプリケーションでは、システム設計を大幅に簡素化する。

 カスタマイズされたチップを顧客と共同開発できることは、戦略的な優位性をもたらす。機能を調整し、統合レベルを最適化し、顧客のワークフローに合わせることで、市場投入までの時間を短縮し、汎用MCUでは実現できない、より優れたソリューションを実現できるからだ。

NovoGeniusの製品例 提供:NOVOSENSE NovoGeniusの製品例 提供:NOVOSENSE

――日本での販売戦略をお聞かせください。

葉氏 時間をかけて信頼と認知度を獲得していく。日本の顧客は製品の品質に対する要求が非常に高いが、NOVOSENSEは、包括的な品質管理体制、豊富で信頼性のある製品、そして信頼できるサービスによって、顧客の信頼を得られると確信している。当社は中国国内と海外のファウンドリーおよび、パッケージ/テストハウスのオプションを所有しているので、安定したサプライチェーンを構築している。日本の拠点ではサポートチームやフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)に加え、品質管理の担当者もいる。さらに、中国拠点からも、国際的な視野を持ち、日本語を話せるサポートスタッフもバックアップ体制として配置している。当社は中国の自動車市場などで十分な実績を持っている企業だ。ぜひ気軽に相談してほしい。


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提供:Japan Novosense Microelectronics株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年9月19日

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