部品調達と技術力を生かし、設計から量産まで全方位で支援――マルツエレックマルツエレック 代表取締役社長 土谷耕作氏

半導体/電子部品の販売調達サービスを手掛けるマルツエレックは、ユーザー登録者数66万人のECサイトと実店舗の両方を持つユニークな商社だ。DigiKeyの総代理店でもある。近年は、回路/基板設計から実装、量産までを一気通貫で担う受託開発サービスの強化や代理調達の展開、SPICEモデルの配信サービス立ち上げなど、幅広い販売網や商社としてのノウハウ、技術力を生かした戦略を強化している。マルツエレックの代表取締役社長を務める土谷耕作氏に、同社の強みや戦略を聞いた。

PR/EE Times Japan
» 2025年08月20日 10時00分 公開
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実店舗と通販の両方を展開

マルツエレックの代表取締役社長を務める土谷耕作氏

――マルツエレックの概要をお聞かせください。

土谷耕作氏 2025年で創業78年を迎えたマルツグループの1社で、ECサイト「マルツオンライン」および12カ所の営業拠点を通じて、半導体/電子部品の販売調達サービスを提供している。営業拠点のうち8カ所は実店舗を兼ねていて、部品を手に取って購入できる。オンラインとオフラインの両方に注力し、部品の販売を手掛けていることが大きな特徴だ。国内唯一のDigiKey総代理店でもあり、全国の大学生活協同組合(生協)と連携し、教育や研究用の部品を提供していることもユニークな点ではないか。

調達力を生かす、一気通貫の受託開発サービス

――受託開発サービス「ものづくり一貫サービス」も展開していますね。

土谷氏 回路設計、基板設計から部品調達、製造、実装までワンストップで提供していることが特徴だ。特に設計分野については、全て内製化している。顧客の中には、回路は自社で設計し、基板設計や実装はそれぞれ外注する企業も多い。一連の工程の中で最も負担が大きいのが部品の調達だ。そこを、部品調達のプロであるわれわれが、回路/基板設計から実装も含めて一気通貫で引き受ける。ものづくり一貫サービスは、1台の試作から月産数百台規模の産業機器などの量産に対応できる。自動車やヘルスケア、航空宇宙、インフラなど幅広い分野で既に多くの実績があり、顧客からは大幅な工数削減や生産性向上につながったとの評価をいただいている。

「ものづくり一貫サービス」の概要 提供:マルツエレック 「ものづくり一貫サービス」の概要 提供:マルツエレック

 近年は、省エネに関わる依頼も多い。パワーMOSFETをシリコンからGaN FETに変更するなど、高効率を意識した機器設計の受託が増えている。電子回路シミュレーターのSPICEを用いて、どの程度損失を低減できるかを示しながら提案することもある。

さらに当社は独自の環境データベースを導入しているので、RoHSやREACHなどの環境資料を適切なタイミングで提供することも可能だ。環境規制は厳しくなっており、エンジニアはそうした規制に準拠した部品を調達しなければならない。

――調達ビジネスについてのマルツエレックの強みをお聞かせください。

土谷氏 「評価用にEOL(生産終了)品を入手したい」「EOL品の代替部品を探したい」といった要望も多くいただく。そうしたケースではわれわれが市場調査を行い、入手できれば顧客に提供する。あるいは、すぐに欲しい部品が市場では見つからない場合に、緊急調達、代替品提案という形でご利用いただくこともある。代理調達では、通常では購入しにくいAmazonやAliExpressなどのサイトから当社が代理で購入して提供する。欧米系のサイトから購入することもある。顧客の手間を省くのが、われわれの役割だ。

 顧客の負担を軽減する別の取り組みとして、顧客の調達システムとマルツオンラインを連携させるパンチアウトも展開する。昨今は、MRO(メンテナンス、リペア、オペレーション)の考え方が、消耗品だけでなく電子部品の購入にも広がりつつある。それに伴い、大手企業を中心にマルツオンラインとの連携も増えている。

パンチアウトの概要 提供:マルツエレック パンチアウトの概要 提供:マルツエレック

――サプライヤーとの連携についてはいかがでしょうか。

土谷氏 半導体サプライヤーとの協業を強化する取り組みを進めている。拡販活動の一例として、新製品の情報を事前に共有いただき、当社が評価ボードを製造してデバイスと同時に販売する。直近では、u-bloxのGNSS(全球測位衛星システム)デバイス「ZED-X20P」の評価ボードを製造した。

 半導体サプライヤーが提供する評価ボードはリファレンスボードに近い。一方で、われわれが製造する評価ボードでは、さまざまなメーカーのマイコンを使用できるようにインタフェースを搭載するなど、より汎用性を高めている。当社が製造した評価ボードを、そのまま機器に組み込む顧客もいるほどだ。

サプライヤーとの連携の一例 提供:マルツエレック サプライヤーとの連携の一例 提供:マルツエレック

SPICEを活用した電池シミュレーションサービス

――注力している新たな取り組みはありますか。

土谷氏 日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力を得て、パワーデバイスや2次電池といった社会インフラ系のSPICEモデルを配信する米国向けのサービスを立ち上げている。AIの普及で、サーバやデータセンターなどインフラの電力設計がますます重要になっている。当社は、SPICEを使って太陽電池や全固体電池などをシミュレーションする技術を持っている。それを活用し、インフラ分野のシミュレーションに特化したSPICEモデルのサブスクリプションサービスの展開を狙う。2025年内にも専用サイトを立ち上げてサービスを開始し、いずれはインフラ用SPICEモデルのカスタマイズの受注につなげる戦略だ。

――大学生協ともつながりがありますね。学生を対象にアイデアコンテストも主催されています。

土谷氏 ちょうど第4回コンテストの結果を発表したところだ。このコンテストでは、回路図とBOMを提供してもらって審査する。若手エンジニアの開発意欲向上にも貢献したいと考えている。

――調達が多様化する中で、マルツエレックが果たす役割についてどうお考えですか。

土谷氏 実店舗とECサイトの両方を持っている点で、当社はユニークな立ち位置にいる。この利点を、DigiKeyとのジョイントで幅広い部品を調達できる点や、ものづくり一貫サービスの提供と組み合わせて、価値を高めていく。こうしたワンストップサービスにわれわれの成長のチャンスがある。

 マルツオンラインのユーザー登録者数は現在、66万人に上る。オンライン、オフラインでの部品販売だけでなく、より深いサービスを提供していることも訴求していきたい。

マルツエレックの代表取締役社長を務める土谷耕作氏

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提供:マルツエレック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年9月19日

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