システム要求を理解し、日本企業の世界展開を支援:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン 代表取締役社長 森康明氏
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、世界市場で高い競争力を発揮する「車載半導体」「パワー半導体」「セキュリティ」の3分野でさらにハイレベルな価値提案を実施する。社長の森康明氏は「システム要求を理解した提案ができる体制、人材がそろった。2014年は信頼できるグローバルパートナーとして、日本企業の世界展開を支援する」と語る。
信頼を得るための体制作りの次は、「信頼できるグローバル パートナー」に
――早速ですが、2014年の抱負をお聞かせください。
森康明氏 ひと言で表すなら「信頼できるグローバルパートナーとして、“Product to System” (製品単体からシステム要求を理解した提案)を提供する」ということになる。そのための体制づくりは、2013年までに一定程度、終えることができた。
――これまで進めてこられた体制づくりとはどのようなものでしょうか。
森氏 4年程前から全社レベルで「ハイパフォーマンスカンパニー」を掲げ、より速く、社員1人1人が行動し、市場変化、お客さまの要求に対応できるように体制を改めてきた。
2013年は、前半は苦しい経済環境でブレーキを踏みながらの事業となったが、後半は一転して回復基調に向かった。その際、これまで以上に素早く適切にアクセルを踏み込むことができ、そのことが業績にも反映された。目指してきたハイパフォーマンスカンパニーとしての成果が表れたといえる。
多様な価値観を持つ人材が新たな価値を生む
――日本法人としても従来と体制が変わりましたか。
森氏 全社と歩調を合わせ、強化を進めてきた。その中で日本法人は、(ドイツ本社と比べ)さまざまなバックグラウンドを持っている人達が集まった組織であるという特色がある。そのため、日本法人としては、異なる企業文化で育ち、異なる考えを持つ社員間でもうまくコラボレーションし、新たなアイデア、価値を生み出せる組織作りを実施し、それがうまく機能し始めている。価値観が異なる中でも互いを尊重し、柔軟に連携して新しい価値を生み出せる仕組みが作れたことは、われわれの大きな強みだ。このことは、お客さまとのコラボレーションや、海外拠点と連携したサポート/サービスの提供といった面でも生きてきている。
――ハイパフォーマンスカンパニーとともに、“Product to System”を掲げ、より統合化された提案活動を強化されています。
森氏 戦略的プロジェクトとして掲げる“Product to System”は、単に高集積なSoC(System on Chip)を提供するという意味合いではない。どのような最終製品を作るのかというコンセプト段階からお客さまと密に連携しながら、デバイスだけでは実現できないシステムレベルでの価値を生み出そうというものだ。そのためには、お客さまからの高い信頼を得る必要がある。
着実に成長してきた日本企業向けビジネス
――信頼を得る方法とは。
森氏 短期間で信頼を得ることは極めて難しく、デバイス1つ1つの提供を通じ、信頼を積み上げていくものだ。
当社は、十数年前に、日本での自動車向けビジネスに着手した。これは、(競合他社に比べ)遅い方だ。なぜ、遅かったかというと、高い品質が要求される市場であり、その要求に十分に応えられる体制ができるまで参入しなかった、ということ。加えて、ビジネス展開してきたのも、センサー関連やパワーデバイスといった得意製品であり、なおかつ、自信のあるものに絞った。そこから、お客さまの要望に応じ日々、改善を進めつつ、コツコツとお客さまからの信頼を高めてきた。十数年前は3〜4%に過ぎなかった全社売上高に占める日本のお客さま向け売上比率がずいぶん伸びたことも成果の表れだろう。
これからは、お客さまからの信頼に応える意味でも、より大きな価値を生む“Product to System”をお客さまと連携しながら生み出していきたいと考えている。
――自動車向け半導体ビジネスと同様に注力される「パワー半導体」「セキュリティ」といったビジネスでのシステムプロダクトの展開状況はいかがですか。
森氏 パワー半導体に関しては、低耐圧から高耐圧まで幅広くフルラインアップで提供できる点は、他にない強みだ。加えて、民生機器向けから、産業機器、通信機器そして車載機器向けまで用途も広くカバーし、各用途/製品のノウハウをベースにさまざまな価値提案が行える。例えば、サーバやノートPC向けのDC-DCレギュレータ「DrBlade」や、LED照明を制御する規格をサポートするためのマイコン(XMCファミリ)などをそろえたLED開発、評価キットなど、システムレベルでの価値を提供できる製品が充実している。販売代理店も含めて、技術提案力を高めてシステムプロダクトの拡販を展開する。
各国のパスポートなどに採用されるセキュリティICでも、自動車や産業機器など幅広いところでデータ保護の必要性が高まっている。そのため、車載向けビジネス、パワー半導体ビジネスのシステムプロダクトの一部として提供するケースも増えている。今後は、より一層、車載半導体、パワー半導体、セキュリティの各事業が連携したインフィニオンとしてのシステムプロダクトを充実させていく。
――パワー半導体事業では、ドイツ・ドレスデン工場で300mmウエハーラインでの製造立ち上げを行われていますが、状況はいかがでしょうか。
森氏 パワー半導体の製造は、ウエハーを薄くする必要があり、大口径化が難しい。その中で、業界に先駆け、300mmの大口径ウエハーの生産を立ち上げ、量産を開始できる見込み。難しいウエハーのハンドリングも含め、かなり自動化できており、今まで以上にパワー半導体分野での競争力が高まる見通しだ。立ち上げ当初は、産業機器、通信機器などに向けた「CoolMOS」など低〜中耐圧パワーデバイスの製造から行い、その後、IGBTなど高耐圧品、車載グレード品の生産を行うことになるだろう。
注力市場の着実な成長とともに
――最後に、2014年の事業の見通しをお聞かせください。
森氏 車載向け半導体や高耐圧パワー半導体といった分野は、デザインインから売り上げまでに時間がかかるため、2014年に急速に売り上げが伸長するといったことはない。ただ、自動車は販売台数自体の伸びに加え、1台当たりの搭載点数も伸びており、着実に成長する。パワー半導体も、再生可能エネルギー関連需要や機器の省エネ化ニーズは中長期で伸長するのも、間違いないだろう。品質やグローバルでのサポート、製品/技術など、あらゆる面で信頼を得るための体制/人材はそろっている。2014年は、その体制/人材を生かして、日本のお客さまの世界展開を支援し、着実にお客さまからの信頼を高めることで、ビジネスの成長を目指したい。
提供:インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年2月13日
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