TSMCがGaN事業撤退へ、ロームは「さまざまな可能性を協議」:「現時点で大きな影響は無い」
TSMCが2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退すると決定した。同社と協業するロームは「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく」と述べている。
TSMCが2027年7月までにGaN(窒化ガリウム)ファウンドリー事業から撤退すると決定した。同社と協業し、一部製品の製造を委託しているロームは「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく。その一環として、将来的な(2027年以降の)開発/生産体制については、さまざまな可能性を協議、検討していく予定だ」と述べている。
TSMCはEE Times Japanの取材に対し、今後2年間かけてGaN事業から段階的に撤退することを決定したと明かした。同社はこの決定について「市場ダイナミクスに基づくもので、当社の長期事業戦略に沿ったものだ」と説明している。なお、この期間中も顧客と緊密に協力し、ニーズに対応するとしていて「私たちの焦点は引き続き、パートナーと市場に持続的な価値を提供することだ」とも述べている。
この決定を受けて、TSMCに製造を委託しているNavitas Semiconductorは、今後段階的にTSMCからPSMCへと製造を移行する計画を発表している。
日本メーカーでは、近年GaNパワーデバイス事業の展開を強化しているロームも、TSMCと提携し、650V GaN HEMTプロセスを採用し650V品をTSMCで製造。2024年12月にはTSMCと車載GaNパワーデバイス開発と量産に関する戦略的パートナーシップ締結を発表するなど連携を強化してきた。
ロームはTSMCと共同でスイッチング損失低減にかかわる出力電荷量Qossの改善に取り組んでいて、現行品からQossを大幅に削減する650V耐圧GaN HEMTの第3世代を2025年内に量産開始予定であることなども公表している。
今回ロームはEE Times Japanの取材に対し、まず「現時点で大きな影響は無い」としたうえで、「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく」とコメント。その一環として「将来的な(2027年以降の)開発/生産体制については、さまざまな可能性を協議、検討していく予定」だと説明した。
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