3GHz以上でも高減衰の高周波フィルター 「XBAR」技術適用:Resonantと村田の技術を融合
村田製作所は、XBAR技術を用いた高周波フィルターの量産出荷を始めた。最新の通信規格で利用される3GHz以上の高周波数帯において、高い減衰量と低損失の信号検出を実現した。高周波数帯域を利用する移動通信システムや無線LAN対応機器などに向ける。
5GやWi-Fi 6Eおよび、それ以降の通信規格に用いられる高周波数帯に対応
村田製作所は2025年7月、XBAR技術を用いた高周波フィルターの量産出荷を始めた。最新の通信規格で利用される3GHz以上の高周波数帯において、高い減衰量と低損失の信号検出を実現した。高周波数帯域を利用する移動通信システムや無線LAN対応機器などに向ける。
5GやWi-Fi 6Eおよび、それ以降の通信規格では3GHz以上の周波数帯が用いられる。これまではLTCCフィルターやBAWフィルターを用いて、必要な周波数の信号を取り出すのが一般的であったという。ただ、この方式では減衰量が十分でなかったり、周辺周波数の不要な信号まで通過させたりするなど、課題もあった。
村田製作所は、XBAR技術を保有するResonantを2022年に買収した。XBAR技術とは、櫛形電極と圧電単結晶薄膜を活用してバルク波を励振させる独自のフィルター技術である。そこで今回、ResonantのXBAR技術と村田製作所のフィルター技術を融合して、新たな高周波フィルターを開発した。「XBAR技術を用いた高周波フィルターの商品化は世界初」(同社)という。
新製品の主な仕様は、通過帯域が5150〜7125MHz、挿入損失が2.2dB(代表値)である。減衰は4800〜5000MHzで11dB(代表値)、3300〜4800MHzで28dB(代表値)、7737〜8237MHzで27dB(代表値)、10300〜14250MHzで26dB(代表値)、反射損失は17dB(代表値)となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
村田製作所、マイクロ一次電池事業をマクセルに譲渡
村田製作所は2025年6月16日、同社とその子会社である東北村田製作所のマイクロ一次電池事業をマクセルに譲渡すると発表した。自律神経から「頑張りすぎ」を可視化、村田製作所
村田製作所は「JPCA Show 2025」に出展し、疲労/ストレス計「MF100」を紹介した。企業の健康経営や業務改善のほか、自動車開発の際は運転手の疲労の検証などにも利用できる。銀廃材の再活用に向け「水平リサイクル」を開始
村田製作所は、自社EMI製品の製造過程で発生した銀(Ag)廃材を再活用するための「水平リサイクル」を始めた。主要素材の循環モデル構築は同社として初めての試みとなる。ワイヤボンディング対応、パワー半導体用NTCサーミスター
村田製作所は、自動車のパワートレインで利用できるパワー半導体用NTCサーミスター「FTIシリーズ」を発表した。使用温度範囲は−55〜175℃を保証しており、パワー半導体の近くに設置して、上昇する温度をより正確に計測できる。金属製の細胞向けフィルター、村田製作所が量産
村田製作所は、金属製の細胞向けフィルター「CELLNETTA(セルネッタ)」の量産を始めた。細胞懸濁液の中から目的細胞を迅速かつ簡便に、高い精度で分画できるという。医療再生や細胞医療などにおける研究開発の用途に向ける。NTNとセルラーLPWA対応の小型通信モジュール
村田製作所は、非地上系ネットワーク(TNT)とセルラーLPWA(Low Power Wide Area)の両方で、Skylo Technologiesの認証を取得した小型通信モジュール「Type 1SC-NTN」を開発した。ウェアラブル機器やトラッキング機器などの用途に向ける。