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積極投資を継続、Advantechが“IoTを体現する”アドバンテック 社長 マイク小池氏

産業用PCなど組み込み機器の世界的メーカーであるAdvantechは、今後、急速な成長が見込まれるIoT(モノのインターネット)市場に積極的な投資を行っている。さまざまなベンダーと協力関係を築き、ハード/ソフトだけにとどまらず、IoT全体を包括するソリューションの構築を加速させている。Advantechの日本法人であるアドバンテックで社長を務めるマイク小池氏が、IoT市場への取り組みを中心に今後の事業戦略について語った。

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中長期に成長が見込めるIoT

――2014年を振り返っていただけますか。

マイク小池氏 ひと言で言えば、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)市場に対して積極的な投資を行った1年だった。

 ご存じの通り、IoT市場は今後、数年にわたって年率10数%近い成長が予測されている市場だ。

 なかでも、トランスポーテーション、ファクトリーオートメーション、エネルギー/施設の3分野は、すぐにでもIoTの普及、成長が期待できる分野だ。この3分野を中心に、注力して投資を行ってきた。

さまざまなIoTを体現した施設を建設

――IoT市場に対する投資とはどのようなものですか

小池氏 1つは、パートナーシップの構築だ。

 IoTは複雑で導入が難しい側面がある。その課題に対して、Advantechは、パートナーと相互に協力することで、“すぐに使うことのできるトータルソリューション”の提供を目指している。既にインテル、AMD、フリースケール・セミコンダクタといったプロセッサメーカーをはじめ、無線モジュールなどを提供するリニアテクノロジー、テキサス・インスツルメンツ、ソフトウェアベンダーであるマイクロソフト、ウインドリバー、マカフィー、アクロニスとIoTに関するパートナーシップを結んだ。これにより、ハード、ソフトを統合したソリューションを提供できる体制が整った。直近では、2014年12月に、マイクロソフトとIoT向けを中心に新しいクラウドアプリケーションモデルの構築を目指し協同することで合意した。

 もう1つの投資として、IoTを体現するAdvantechとして、先端のIoTを導入した2つのインテリジェントキャンパスの建設が挙げられる。

 台湾・林口テクノロジーキャンパスと、中国・昆山の開発拠点「A+TC」の2拠点で、当社のIoT向け製品/ソリューションを導入し、さまざまなIoTを動かして公開している。BEMS(ビル内エネルギー管理システム)やスマートパーキングシステム、池の水質管理や芝生の土壌管理までのデモを見せている。 ここまで、動くIoTを体験できる施設は、他にないだろう。施設は、顧客向けに公開しており、2015年はより多くの日本国内顧客も招待し、Advantechの最新IoT向け製品/ソリューションを体感してもらいたいと考えている。

さまざまなIoTを体現したインテリジェントキャンパス

IoTを包括的にカバーするソリューションを展開へ

――IoT向け製品/ソリューションの開発状況はいかがですか。

小池氏 IoTは、機器/センサー端末、ゲートウェイからクラウドまでに及ぶ、さまざまなレイヤーで構成される規模の大きなものだが、AdvantechはIoTに対し包括的なソリューションを構築し、提供していく。

 例えば、機器/端末のレイヤーでは、これまでも提供してきた通信に対応した産業用PCや組み込みシステムだけでなく、センサー端末そのものの提供を2015年から本格的に行っていく。Bluetooth Low energy、6LowPAN、Wi-Fi、サブギガヘルツ帯無線、RFIDなどあらゆる通信規格に対応した製品を幅広く投入していく予定だ。

 ゲートウェイについても、機器/センサー端末から単にデータを吸い上げるだけでなく、データ解析などの処理が行えるインテリジェントIoTゲートウェイ「UTX-3115」などのハイエンド製品から、IoT用のセンサー端末など数多くのセンサーノードを接続できるIoTセンサーに特化したゲートウェイ製品などを投入していく。

――クラウドレイヤーに対する製品/ソリューションについてお教えください。

小池氏 このほど、Advantechは、IoTのクラウド向けに「WISE(Wireless IoT Solutions Embedded)-Cloud」と呼ぶ、全く新しいクラウドコンセプトを確立した。このWISE-Cloudは、機器/端末から情報収集を出発点に、最上位のクラウドでのデータ解析、さらには機器/端末に情報をフィードバックするために必要なハード/ソフトを包括的なプラットフォームソリューションとして提供しようというものだ。


AdvantechのIoT向け包括ソリューションのイメージ (クリックで拡大)

 IoT向けのセンサー端末も、WISE-Cloudのコンセプトを具現化するための1つの要素であり、先に話したように2015年から本格的に投入することになったわけだ。

 そして、WISE-Cloudの考えの下、IoTのクラウド環境で必要となるソフトウェア、アプリケーションもAdvantechとして提案できる体制を構築していく。

クラウドプラットフォームでマイクロソフトと協同

――2014年12月から始まったマイクロソフトとの協同も、WISE-Cloudの実現に向けた取り組みの一環ですね。

小池氏 はい。マイクロソフトとは、クラウドの土台となるプラットフォームをインターネット経由で提供するPaaS(Platform as a Service)分野での協同することになった。われわれはこのPaaSのレイヤーを「WISE-Cloud」と呼び、特に強化していく。

――マイクロソフトとの協同の内容をもう少し詳しく教えてください。

小池氏 Advantechは以前から、WISE-Cloudレイヤーに対して、「SUSIAccess」という無償提供ソフトを展開してきた。このソフトは遠隔からインターネット経由で動作状況を監視し、さまざまな制御が行えるというもの。パートナーの協力を得て実現したもので、高度なセキュリティ対策も施されている。2014年は、特に、組み込み製品の販売が好調だったのだが、これに加えて、メンテナンスの負担を軽減するこのSUSIAccessが好評だったことも一因だと分析している。

 協同は、このSUSIAccessと、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」を連携させることが中心になる。ユーザーは、Azureとスムーズに連動するSUSIAccessを使い機器やセンサー端末のリモート管理が手軽に行えるようになる。

 なお、WISE-Cloudは、マイクロソフトだけでなく、さまざまなパートナーとの連携や、自社での開発、外部企業への投資といったさまざまな手段で実現していく。

――Paas上で動作するアプリケーションレイヤーでもソリューションを提供されるのですか。

小池氏 アプリケーションレイヤー、いわゆるSaaS(Software as a Service)でもソリューションを用意する。ここでも自社単独だけでなく、サードパーティーとの連携、さらにはサードパーティー出資する形で、独自のソリューションを提供できる体制を整える。

広がるビジネス領域、変わるビジネスモデル

――IoT、WISE-Cloudへの取り組みでビジネス領域が大きく拡大しますね。

小池氏 WISE-Cloudが完全に機能するようになると、Advantechの組み込みソリューション販売モデルは、純粋なハードウェア販売志向モデルから、ハードウェア指向販売を推進するための付加価値ソフトウェアサービスモデルに変化することになる。

 2015年は、WISE-Cloudなど、IoTを包括的にカバーするソリューションの構築を進めていく。

 さらに、日本では2015年、DMS(Design Manufacturing Service)と呼ぶ受託設計製造ビジネスの受注拡大図り、一層のビジネス領域の拡大を目指したいと考えている。

受託設計製造の拡大を狙う

――DMSとはどのようなビジネスでしょうか。

小池氏 Advantechには、組み込み製品で提供しているカスタマイズサービスを通じ、短期間でハード/ソフトを設計開発、製造するノウハウを持っている。これを発展させて顧客の仕様を基に、Advantechが機器を設計製造するDMSを長年、提供し、日本でも多くの実績を積んできた。


さまざまなベース製品、技術を持つことで、短納期で高品質の受託設計サービスを実現している

 2014年にプレスリリースしたシャープへのディスプレイ一体型コントローラーを納入もその一例だ。この事例以外にも多数の大手メーカーからの受託実績もある。短期間でサンプルを出荷できるスピードの他、価格、信頼性、品質など全てにおいて日本の顧客の要求に応えられる受託設計製造サービスが提供できると自負している。

 2015年は、当社のDMSの認知を高め、IoTをはじめ、医療機器や車載情報機器、ゲーム機など幅広い分野からの受注獲得を目指していく。


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提供:アドバンテック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年2月12日

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