「数百社採用の実力」――自動車の電動化と知能化を支えるNOVOSENSEの車載製品群:「人とくるまのテクノロジー展」デモの見どころ
アナログ&ミックスドシグナル半導体メーカーであるNOVOSENSE Microelectronics。車載用半導体でも、センサーから電源IC、リアルタイム制御マイコンまで豊富なポートフォリオを持ち、グローバルの新エネルギー車パワートレイン市場では既に数百社に上る採用実績がある。日本市場でも事業を強化する同社は「人とくるまのテクノロジー展」にも出展し、自動車の電動化と知能化を支える製品群とデモを披露する。
パワートレイン分野で数百社に採用、豊富な製品群を持つNOVOSENSE
NOVOSENSE Microelectronics(以下、NOVOSENSE)が日本での車載半導体事業を強化している。同社は2013年に設立された、ファブレスのアナログ&ミックスドシグナル半導体メーカーである。車載半導体製品に取り組み始めたのは、中国が電気自動車(EV)の普及加速へと大きく舵を切った2015年ごろからで、わずか1年後の2016年には、第1弾となる車載半導体製品をリリースした。以降、順調に製品群を拡充し、車載半導体の出荷数は2025年だけで7.5億個、累計では14億個に上る。パワートレイン分野において、既に数百社のメーカーに採用され、中国市場において確固たる地位を築いている。
NOVOSENSEの車載半導体製品の特徴の一つが、豊富な品ぞろえだ。センサー、シグナルチェーン、電源管理IC、リアルタイム制御マイコンなど、自動車の電動化やインテリジェンス化に必要な機能を、包括的にそろえている。Japan Novosense MicroelectronicsでFAEマネージャーを務める糟谷武氏は「無線通信やRF関連以外のアナログ製品は、NOVOSENSEだけでほぼ網羅している」と語る。「創業後、わずか13年間でここまで製品ポートフォリオを充実できたことは、NOVOSENSEの大きな強みといえるだろう。それを支えているのが研究開発部門だ。当社の従業員約1300人のうち半数が研究開発に携わり、直近3年間では売上高の約28%を研究開発に投入している。継続的な投資によって、アナログ半導体技術に対する深い知見を蓄積してきた」
2023年には、日本市場に本格進出を果たした。日本では当初から自動車をメインターゲットとし、2024年には「人とくるまのテクノロジー展」に初出展。2025年に続き、ことしも「人とくるまのテクノロジー展 YOKOHAMA」(2026年5月27〜20日/パシフィコ横浜)および「人とくるまのテクノロジー展 NAGOYA」(同年6月17〜19日/Aichi Sky Expo)に出展する。本稿では、2026年5月に開催される人とくるまのテクノロジー展 YOKOHAMAに出展するNOVOSENSEの製品群を紹介しよう。
来場者も驚くほど「小型」 パワートレイン向けシステムソリューション
人とくるまのテクノロジー展 YOKOHAMAでは、車載の電動化と知能化(インテリジェンス化)を支えるソリューションを中心に多数の製品やデモを展示する。
「電動化」では、パワートレイン分野向けの製品を用意する。トラクションインバーターやオンボードチャージャー(OBC)、バッテリ管理システム(BMS)といったアプリケーション向けに、センサー、ゲートドライバーICやインタフェースICを含めたシグナルチェーン、電源IC、リアルタイム制御マイコンがそろう。
特に注目したいのが、OBCモジュールやDC-DCコンバーターモジュールなどのシステムソリューションだ。「NOVOSENSEの半導体でこれらのシステムを構成できることに加え、小型化できることが最大の特徴だ。過去の展示会では、来場者に『ここまで小型にできるのか』と驚かれたこともある」(糟谷氏)
「今回も、電流センサーやゲートドライバーIC、マイコンなど当社の製品でリファレンスボードを作り、実際に動作検証をして、高効率を実現している。システムを十分に理解している当社だからこそ、顧客のニーズに最適なソリューションを提供できるという点をしっかりとアピールしたい」
中国主導のオープンSerDes規格「HSMT」対応チップセット
自動車の知能化については、先進運転支援システム(ADAS)の進化を支える、特徴的な2つの製品を展示する。SerDes(シリアライザ/デシリアライザ)チップセットと超音波レーザーソリューションだ。
SerDesチップセットは、センサーとECU間をつなぐインタフェース向けの製品である。ADASを進化させるには、より高い精度で歩行者検知や物体検知を行うことが必要になる。カメラやLiDARで取得するセンサーデータは増加の一途をたどっており、センサーとECU間のデータ伝送にも高速・大容量化が求められている。そのため、車載ネットワークではイーサネットやSerDesの採用に関心が高まっている。
車載ネットワークとしてSerDesが注目されている理由の一つが、ハーネスの軽量化と細径化だ。SerDesであればツイストペアや同軸ケーブル1本でデータ通信ができるので、配線の削減に大きく貢献する。車載インタフェース用のSerDes規格としては、Texas Instruments(TI)の「FPD-Link」、Analog Devicesの「GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)」、ソニーの「GVIF」など、既に独自のプロトコルが存在する。一方で、中国主導で策定が進んでいるのが、オープンなSerDes規格「HSMT(High Speed Media Transmission)」だ。
「自動車メーカーやティア1メーカーからは、オープン規格を望む声も根強くある。選択肢が増え、健全な競争による性能向上も期待できるからだ。日本でもオープンなプロトコルが求められている」(糟谷氏)
HSMTにはNOVOSENSE、中国の大手自動車メーカーBYDといった中国メーカーの他、TIやInfineon Technologiesといった中国以外の半導体メーカーも参画している。「中国メーカーが主導して策定している規格なので、グローバルな規格にはまだなっていないものの、既存の独自SerDesプロトコルに比べ、データ性能や帯域幅において見劣りしない仕様になっている。ノイズ耐性が高く、誤り訂正技術も優れている」
NOVOSENSEは、HSMTに対応した同社初のSerDesチップセットとして、シングルチャンネルのシリアライザ「NLS911x」および、4チャンネルのデシリアライザ「NLS924x」を開発した。両チップともAEC-Q100 Grade 2に準拠し、機能安全規格ISO 26262のASIL Bをサポートする。データ伝送速度は最大6.4ギガビット/秒なので、800万画素カメラで取得した映像データも低遅延で伝送できる。「SerDesは、自動車のコックピットでもディスプレイやカーナビゲーションシステムの接続に用いられている。ADASに加え、こうしたアプリケーション向けにもチップセットの展開に力をいれている」
人とくるまのテクノロジー展ではSerDesチップセットのデモを見ることができる。4台のカメラから入力した映像をSerDesチップセットで処理し、4台のディスプレイに映すというもので「非常に低遅延で解像度の高い映像を通信している様子を、ぜひ見ていただきたい」と糟谷氏は述べる。
10cm以内の障害物を検知、超音波レーザーソリューション
超音波レーザーソリューションとしては、超音波センサー「NSUC1800」に注目したい。NSUC1800は、最大6〜7mの検知距離を実現する一方で、近距離では10cm以内の障害物も検出できることが特徴だ。
「市場主流製品の超音波レーザーモジュールの検出距離は15cmから5.5mほどなので、NSUC1800はより広い範囲で検知できる。NOVOSENSEは、高精度なA-Dコンバータをはじめ、低ノイズのシグナルチェーンを持っているので、NSUC1800のような広範囲かつ高精度に測距できる超音波センサーを実現できる」
NSUC1800とECU間を接続するインタフェース「NSUC1802」もそろえている。これら2種類のデバイスに加え、評価キット、リファレンスソフトウェア、キャリブレーションツールも併せて、包括的な超音波レーザーソリューションとして提供する。「同ソリューションを使用すれば、すぐにNSUC1800を評価できる。短期間で導入できるキットをそろえているのもNOVOSENSEの強みだ」。展示ブースでは、実際に手を近づけて、センサーの感度や精度を実感できるデモを用意する。
日本進出3年で着実な実績
電動化や知能化以外の車載向け周辺技術として、アンビエント照明用のLEDドライバー「MCU+」(MCUとアナログ半導体を組み合わせたシリーズ)や、車のエアコン送風口などを動かすモーター制御用ICである「NovoGeniusシリーズMCU+ドライバー」ファミリ(NSUC1610/NSUC1602/NSUC1612)などの製品とそれらのデモも展示する。「車のウォーターポンプやシート換気、エアコン、冷却ファンなど、車両の熱管理には多数のモーター制御が必要になる。NOVOSENSEはこうした熱管理向けのモータードライバチップも、低出力用から高出力用まで一通りそろえている他、SDK(ソフトウェア開発キット)も提供する」(糟谷氏)
NOVOSENSEはアナログ半導体だけでなく、デジタルとアナログが混在したミックスドシグナルチップの開発も手掛けている。さらに、ASSPのような標準品に加え、電流の増加や機能の追加といったカスタマイズの要望にも柔軟に対応できることが特徴だ。共同開発もできる。「実際に、Continental Automotive Technologiesと車載グレードの速度センサーを共同開発した例もある」(糟谷氏)
中国の自動車市場では既に高いシェアを獲得し、確固たる地位を築いているNOVOSENSE。3回目となる人とくるまのテクノロジー展 YOKOHAMAへの出展について糟谷氏は「年々、来場者は順調に増えている」と語る。「日本の自動車市場に後発として参入するのは、ハードルが高いことは確かだ。だが、市場実績を重視する日本の顧客に対し、当社が持つ中国での実績をしっかりと伝えていきたい。日本に本格参入して約3年だが、日本のインダストリー分野でも実績が出始めている。車載半導体の強みも積極的にアピールしていく」
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提供:Japan Novosense Microelectronics株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年6月19日






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