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車載Ethernet化を後押し――少量から導入できるヒロセ電機の新コネクタ1000BASE-T1に対応

近年の自動運転技術の進展などによって、車載ネットワークにはこれまで以上に高速かつ大容量の通信が求められるようになり、Ethernetの採用が進んでいる。コネクタ大手のヒロセ電機は、中でも高速な1000BASE-T1に対応した新製品「GT37シリーズ」を開発した。GT37シリーズは高速通信や小型化のトレンドに対応するだけでなく、高額な設備投資不要で少量から導入できることも特徴だ。

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車載ネットワークのトレンドは「Ethernet」「小型化」

 近年、自動運転や電動化の進展、ソフトウェア定義型車両(SDV)への移行トレンドによって、自動車に搭載されるセンサーや電子制御ユニット(ECU)の数は急速に増加している。カメラやLiDAR、センサーなどが生成するデータ量は膨大で、車載ネットワークにはこれまで以上に高速かつ大容量の通信が求められるようになってきた。

 従来の車載通信では、CANやLINといった複数の通信規格が機器ごとに使い分けられてきた。しかし、規格が混在する構成では信号変換による遅延が発生するほか、配線の複雑化によってハーネス重量も増大する。このため現在は、高速通信が必要な領域を中心に、通信規格の統一やネットワーク構成の簡素化を目的として、車載Ethernetの採用が進んでいる。

 車載電子機器の設計構造自体も変化している。従来はパワートレイン/ボディーといった機能ごとにECUを分散配置するドメインアーキテクチャが採用されていたが、現在はフロント/リアといった車両内の位置(ゾーン)ごとにECUを配置するゾーンアーキテクチャへの移行が始まっている。ゾーンアーキテクチャではセンサーやアクチュエータを最寄りのECUに接続できるので、車内配線を削減でき、制御も効率化する。

 一方で、ゾーンアーキテクチャには特有の課題もある。1つのECUに多くの機能が集約されるので、ECU内部で高密度実装が必要になる点だ。センサーや電子部品の搭載数の増加も相まって、ECU周辺の実装スペース制約は年々厳しくなっている。

 このように、車載ネットワークでは現在、Ethernet化と小型化が重要なテーマになっているといえる。自動車にとっては新しい規格であるEthernetへの対応、ECUへの高密度実装やそれに伴うノイズ対策などには、頭を悩ませるエンジニアも少なくないだろう。

ヒロセ 初の1000BASE-T1対応コネクタ GT37シリーズ

 自動車向けを含む豊富なコネクタ製品群を展開するヒロセ電機は、こうした市場の変化を見据え、車載Ethernet向けコネクタ「GT37シリーズ」を開発した。

ヒロセ電機の1000BASE-T1対応コネクタ「GT37シリーズ」
ヒロセ電機の1000BASE-T1対応コネクタ「GT37シリーズ」[クリックで拡大] 提供:ヒロセ電機
GT37シリーズの製品構成
GT37シリーズの製品構成[クリックで拡大] 提供:ヒロセ電機

 GT37シリーズは、車載Ethernet規格の中でも高速な1000BASE-T1(伝送速度1Gbps)に対応したコネクタだ。用途としては、車載カメラやLiDAR、各種センサー、統合ECU、スマートアンテナなど、高速伝送が必要な領域が想定される。ヒロセ電機として、1000BASE-T1に対応したコネクタはGT37シリーズが初めてだ。

車載Ethernetの規格
車載Ethernetの規格[クリックで拡大] 提供:ヒロセ電機

 ヒロセ電機で自動車向けコネクタのマーケティングを担当する權世彬氏は「国内ではまだ車載Ethernetへの移行は始まったばかりで、100BASE-T1(伝送速度100Mbps)が主流である一方、1000BASE-T1への移行も進みつつある。より高速な1000BASE-T1への需要は今後高まっていくだろう。中国や欧州の市場では既に車載Ethernetの採用は活発だ。GT37シリーズは今後の需要を見据えた製品だ」と説明する。

ヒロセ電機 技術本部 自動車事業部 AMC技術部 AMC技術二課 江口広晃氏
ヒロセ電機 技術本部 自動車事業部 AMC技術部 AMC技術二課 江口広晃氏

 GT37シリーズは高速通信に対応するだけでなく、小型化も実現している。車載Ethernetコネクタは、使用するツイストペアケーブル径の制約などから小型化の余地が限られるが、その中でもヒロセ電機はレセプタクルとプラグ双方の小型化を追求した。外形寸法はレセプタクルが幅8.6×高さ10.6×奥行22.3mmで「競合製品よりも小型」(ヒロセ電機)だ。

 開発のベースとなったのは、ヒロセ電機の既存製品である小型車載コネクタ「GT32シリーズ」だ。当初はGT32シリーズの派生製品としての開発を検討していたが、既存品の改良では性能面に課題があり、最終的には新規設計へ発展したという。ヒロセ電機で自動車向けコネクタの開発を担当する江口広晃氏は「GT32シリーズや長年の車載コネクタ開発で蓄積したノウハウをGT37シリーズでも活用し、小型形状を実現した」と説明する。

GT37シリーズの寸法
GT37シリーズの寸法[クリックで拡大] 提供:ヒロセ電機

新開発の構造で耐ノイズ性も強化

 高速伝送/小型化に加えて、車載コネクタにはノイズ対策や堅牢性、実装のしやすさも重要になる。GT37シリーズはそうした要求も満たす製品だ。

 耐ノイズ性を高める構造として、レセプタクル側では、側面ばね接点と底面グラウンド(GND)端子の接点によってGND経路を短くした。さらにプラグ側では、レセプタクル側のばねを外筒端子とシールドカバーに接触させることで、シールド特性を向上させた。プラグ側の構造はGT37シリーズ向けに新規開発したもので、特許出願中だ。

耐ノイズ性を強化した構造
耐ノイズ性を強化した構造[クリックで拡大] 提供:ヒロセ電機

 堅牢性についても、半かん合状態で上下左右の4方向に100Nの荷重を加える試験を計10サイクル繰り返し、日系自動車メーカーの基準に対応した。

 さらに、シールド部はスルーホール実装に対応。実装工数削減に加え、基板剥離強度向上にも貢献する。また、両端支持ロック構造でかん合時には明確なクリック感があり、変形や破損も防止する。ロック引張強度は98N以上だ。

手動圧着に対応 初期投資を抑えて導入可能

ヒロセ電機 営業本部 グローバルマーケティング部 商品企画課 自動車係 スーパーバイザー 權世彬氏
ヒロセ電機 営業本部 グローバルマーケティング部 商品企画課 自動車係 スーパーバイザー 權世彬氏

 さらに、GT37シリーズの大きな特徴の1つが、少量生産段階でも導入しやすい点だ。

 差動伝送方式を採用している車載Ethernetでは、ツイストペアケーブルの形状維持が重要になる。ケーブルは被覆をむくとツイストがほどけ、伝送特性が悪化する。そのため、特性維持のためには被覆をむく長さ(ストリップ長)が短いほどよい。

 しかし、ストリップ長を短くすると今度はコネクタの圧着作業が難しくなり、自動化された専用設備が必要になるケースが多い。江口氏は「ハーネス加工において、量産立ち上げ段階で生産数量が少ない製品では、手動で圧着する場合も多い。しかし、高速Ethernet向けコネクタの中には、規定されたストリップ長が短く、初めから自動圧着設備を必要とするものが多い」と説明する。量産初期から高額な専用設備が必要になれば、導入障壁は高くなる。

 これに対しGT37シリーズはストリップ長を長めに設定して、標準的なアプリケーターを用いた手動圧着に対応しながら、高速伝送性能も両立した。これを可能にしているのが、ツイストペア形状を維持する専用シールドカバー(特許出願中)だ。被覆をむいた後の2本の信号線をまとめてばらばらになるのを防ぎ、インピーダンス特性の悪化を抑制する。これなら自動圧着設備を必要としないので少量生産や立ち上げ初期でも導入しやすく、初期投資を抑えながら1000BASE-T1に対応できる。

 加えて、使用するケーブルを選ばないこともGT37シリーズの利点だ。1000BASE-T1の規格には、ケーブル内部にシースを持つ「STP Class1」と、シースを持たない「STP Class2」が存在する。Class1はコネクタ側を簡易シールド構造にできる一方、Class2は完全シールド構造が必要になる。それぞれコストや取り回し特性に違いがあり、自動車メーカーや用途によって使い分けられている。GT37シリーズは、このClass1/Class2の両方に対応している。

 權氏は、顧客のコネクタ選定について「部門によって重視するポイントは異なる。設計部門では小型化や耐ノイズ性への関心が高いが、調達部門ではコストや導入性を重視する」と説明する。GT37シリーズは、こうした複数の要求を同時に満たすことを目指して設計したものだ。

車載Ethernet導入を後押しするGT37シリーズ

 自動運転技術の進展や電動車(xEV)の増加、SDVへの移行トレンドなどによって、1000BASE-T1を含む車載Ethernetの導入は今後さらに拡大していくだろう。とはいえ、これらはまだ普及の途上にある技術だ。こうした段階では導入のハードルは高く、少量からの試作や評価の行いやすさも重要になる。

 ヒロセ電機の豊富なノウハウを結集させたGT37シリーズは高速伝送、小型といったニーズに応えるのみならず、新しい技術ならではの導入性のニーズにも応えた製品だ。次世代車載ネットワークの開発を力強く後押ししてくれるだろう。

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提供:ヒロセ電機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年7月9日

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