電源管理やクラウドまで提供 包括的なワイヤレスソリューションでさらなる高みを目指すNordic SemiconductorNordic Semiconductor CEO Vegard Wollen氏

Bluetooth Low Energyをはじめとする低消費電力ワイヤレスSoC(System on Chip)で世界トップレベルのシェアを誇るノルウェーのNordic Semiconductor。同社CEO(最高経営責任者)のVegard Wollen氏は「ワイヤレスSoCは、当社のソリューション全体の一部にすぎない」と言い切る。同社はワイヤレスSoCから電源管理IC、クラウド、ソフトウェア開発プラットフォームまで、あらゆるコンポーネントをそろえ、高性能かつ高信頼性のワイヤレス接続の実現に貢献したいと強調する。

PR/EE Times Japan
» 2025年01月16日 10時00分 公開
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AIにも継続投資、エッジデバイスでもリーダー的存在へ

――2025年は、日本市場のどの分野にビジネス機会があるとお考えですか。

Vegard Wollen氏 産業用IoT(モノのインターネット)部門が成長し続けていて、ビルオートメーションや資産追跡に大きなビジネス機会があるとみている。多くの業界は、自動化とコネクティビティがけん引するデジタル変革をまだ完全には受け入れていない。Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は、コネクティビティ技術を通じて、さまざまな業界のデジタルシフトをサポートしていく。

 エッジAIにも注目している。IoTデバイスへのAI搭載が進むにつれてインテリジェンスが強化され、大きな付加価値が追加される。これにより、さらにスマートなIoTソリューションの実現が加速されるだろう。NordicはAI技術に継続的に投資し、より高度なエッジデバイスの開発におけるリーダー的地位の確立を目指す。

ワイヤレスSoCからパワーマネジメント、クラウドまで提供

――競争の激しいIoTやBluetooth Low Energy(以下、Bluetooth LE)市場において、Nordicはどのような差別化戦略を進めていくのでしょうか。

Wollen氏 われわれは創業以来40年以上にわたり、超低電力ワイヤレス接続技術の開発に取り組んできた。今日、当社は可能な限り最高のバッテリー効率を実現する超低電力ワイヤレス接続ソリューションのプロバイダーとして確固たる地位を確立している。だが、Nordicのワイヤレス接続ソリューションは単に超低消費電力なだけではない。高性能なコンピューティング機能を統合し、それを競争力のある価格で提供していることが特徴だ。

 さらに、当社の成功に大きな役割を果たしているのがソフトウェアソリューションだ。ワイヤレスは、ソリューション全体の一部にすぎない。われわれは、バッテリーやセンサーからアンテナ、演算処理、パワーマネジメント、クラウドに至るまで、全ての重要な構成要素に責任を持っている。このエンド・ツー・エンドのアプローチにより、顧客はコンポーネントの管理や調達がしやすくなる。そのため、サードパーティーのサプライヤーの製品を組み合わせるよりも低いTCO(Total Cost of Ownership)で、自社のソリューションを最適化できるようになる。

 Nordicの製品は、パワーマネジメントからワイヤレス接続範囲、クラウド接続における重要な側面に対応する。当社の高度な電源管理IC(PMIC)は、バッテリー寿命の延長と効率的な放熱が必要なアプリケーションで、エネルギー効率を最適化するために不可欠だ。

 クラウドサービス「nRF Cloud」は、資産の場所に関するリアルタイムデータを必要とするIoTアプリケーションに適していて、顧客はさまざまな業界で効率的かつスケーラブルな追跡/位置情報サービスを簡単に展開できるようになる。

 ソフトウェア開発プラットフォーム「nRF Connect SDK」は、当社の製品ポートフォリオ全体に適用できるものだ。顧客は、技術の開発や維持、次世代品へのシームレスな移行を容易に実現できる。

フラグシップ「nRF54」を拡張、セルラーIoT用も強化

――2025年以降に投入予定の新製品について教えてください。

Wollen氏 画期的な新22nmプラットフォームをはじめ、エキサイティングな製品発表が続く。Bluetooth LE技術の新たなベンチマークになるであろうSoC(System on Chip)「nRF54」シリーズを含め、革新的な製品をリリースしていく予定だ。

 Nordicは、短距離通信、長距離通信、Wi-Fi、パワーマネジメントという4つの主要なビジネスユニットに焦点を当てていく。これにより、市場に対する俊敏性を高めることが狙いだ。顧客の要求に対して迅速に対応し、リソースの割り当てを最適化できる。

――注目してほしい新製品を具体的にお聞かせください。

Wollen氏 nRF54に関しては、2024年11月に「nRF54L」シリーズを発売した。これには、以前に発表した「nRF54L15」に加えて、新たに「nRF54L10」「nRF54L05」が含まれる。この先進的な製品シリーズでは、効率や処理能力が大幅に強化されているほか、さまざまな設計オプションを提供する。

 「nRF54H」シリーズ最初のマルチプロトコルSoCである「nRF54H20」は、高い処理性能と効率を両立し、従来製品では難しかった革新的なIoT機器を実現できるようになる。nRF54LとnRF54Hシリーズは、高精度な距離測定ができるBluetoothの新機能「チャネルサウンディング」をサポートしている。これにより、高度で安全かつ効率的なワイヤレス製品の開発に貢献するだろう。

Bluetooth LE SoC「nRF54」シリーズ 提供:Nordic Semiconductor

 セルラーIoT製品の「nRF91」シリーズは、低消費電力、統合された設計および、高性能を特徴とする。資産追跡や測定、スマート農業といったセルラーIoTアプリケーションに理想的な選択肢になるはずだ。

 「nRF9151」は、LTE-M/NB-IoTおよびDECT NR+をサポートし、米国の関税が適用されない完全に統合された事前認定SiP(Silicon in Package)であり、アプリケーショプロセッサかスタンドアロンモデム機能を備える。セルラーIoTは、規制要件の厳しさや広範なグローバルインフラとの互換性の必要性の観点でみると、Bluetoothよりも複雑な技術だ。nRF9151は「セルラーIoT技術の大幅な進歩を体現した製品」と言ってよいだろう。

 PMICの「nPM1300」は、組み込みBluetooth LE設計に必要な基本機能を小型の1パッケージに統合することでシステム設計を簡素化する。nPM1300は、nRF54シリーズや前世代の「nRF52/nRF53」シリーズを含め、ワイヤレスマルチプロトコルSoCに対し、極めて効率的な電力調整を提供する。nPM1300は、Nordic以外のホストデバイスでも使用できる。

セルラーIoT向けの「nRF9151」シリーズも強化する 提供:Nordic Semiconductor

――Nordicの強みをあらためて聞かせてください。

Wollen氏 私たちは、低電力ワイヤレス接続ソリューションのグローバルリーダー的な存在として「接続されたあらゆるモノを通じて、生活をシンプルにする」をミッションに掲げている。世界をリードするエレクトロニクス企業とも協業し、現在の市場の需要に適合するだけでなく、将来の新たなニーズを予測して対応する製品を一貫して提供することが当社の強みだ。


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提供:Nordic Semiconductor ASA
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年2月15日

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