米大手ディストリビューターのDigiKeyは、変化の大きい市場環境の中でも先行的な投資と体制整備を継続し、2025年も堅調な成長を遂げた。年間顧客数は過去最高水準に達し、売上高も着実に拡大している。地政学的リスクや関税といった不確実性が高まる中でも、同社はサプライチェーンとオペレーションの柔軟性を高め、顧客の負担を最小限に抑える体制を確立してきた。業界が成長サイクルへと回帰する局面においても、継続的な投資と戦略的な事業運営によって、2026年も継続的な成長を見込んでいる。DigiKey社長のDave Doherty氏に、2025年の取り組みと2026年に向けた事業戦略を聞いた。
――2025年の業績はどうでしたか?
Dave Doherty氏 2025年のDigiKeyは、過去数年にわたって進めてきた先行投資と継続的な改善が実を結び、安定的かつ持続的な成長を達成した。年間の顧客数は前年比で5万人以上増加し、過去最高を更新している。売上高も拡大基調を維持し、年間で2桁成長を達成した。特に第4四半期は前年同期比で25%以上の成長となり、需要回復の動きを確かなものとして捉える結果となった。
こうした成長は、特定の地域や事業に偏ることなく、全地域・全事業部門で26カ月以上にわたって継続している。
――2025年11月には、インドに「グローバルケイパビリティセンター(GCC)」を開設しました。GCCの戦略と目的について教えてください。
Doherty氏 インドのGCCは、ビジネスサービス、技術支援、エンジニアリング、イノベーションといった領域で、DigiKeyのグローバル戦略を支える拠点として設立した。人材の活用や業務プロセスの高度化を通じて、グローバル全体のオペレーション効率向上を支えていく。
同拠点は、単なる機能集約の場ではなく、グローバルな協業やイノベーションを生み出す基盤として位置付けている。将来的な雇用拡大や機能拡張を見据え、DigiKeyの中長期的な成長を支える重要な役割を担っていく。
――2025年に実施した主な事業戦略について教えてください。
Doherty氏 Web検索機能の高度化、在庫水準の向上、自社倉庫の自動化といった取り組みを継続し、顧客体験の向上を図ってきた。これらの取り組みは、顧客による製品検索から購入、受取りまでの一連のプロセスを容易かつ効率的にすることにも貢献している。同時に、既存および新規のサプライヤーとの連携を強化し、取り扱い製品の拡充も継続している。
――地政学的リスクが高まる中、DigiKeyはどのように顧客を支援していますか。
Doherty氏 地政学的リスクや関税の影響に対しては、頻繁に変動する関税の影響を顧客が受けないよう、サプライヤーおよび業界の関税専門家と積極的に連携し、先行的な対策を講じてきた。顧客が関税リスクを意識する環境下においても、安定した供給と製品価格競争力を維持できる体制を構築している。
日々変化する関税リスクに対し、DigiKeyが採用した戦略の一つが、出荷数ベースで米国最大規模となる自由貿易地域(FTZ)の活用だ。FTZを軸としたサプライチェーンにより、環境変化に柔軟に対応できる体制を確立した。
DigiKeyのFTZプログラムでは、DigiKeyが「登録輸入者(Importer of Record:IOR)」として書類作成、申告、関税管理まで一括して代行するため、顧客に対し、コストの低減および、より競争力のある価格設定を提供できる。FTZに保管された製品は、海外に出荷される場合、米国国内への輸入とみなされないことで関税が適用されない。
今後もこのFTZプログラムを活用して、関税の即時的な影響を軽減し、サプライヤーと連携しながら、競争力のある製品価格体系を維持していく方針だ。
――2026年の市場見通しについて教えてください。
Doherty氏 DigiKeyは2026年の市場に対して強気な見通しを持っている。産業オートメーション、ロボティクス、電気自動車(EV)、自律型システム、メイカー市場、航空宇宙および防衛分野において、引き続き成長が見込まれている。特に産業オートメーションがけん引役となる見込みで、当社はそれに合わせてリソースを投入し、システムのアップグレードやプラットフォームの強化を進めている。これによって顧客が製品検索、購入、受取りする際の利便性が一層向上する。
従来通り、既存および新規サプライヤーとの連携によって、取り扱い製品の拡充も継続していく。こうした積極的な取り組みが、2026年の継続的な成長につながると確認している。市場の各種指標も、われわれの楽観的な見方を裏付けている。顧客の注文動向、在庫の幅と深さへの継続的な投資、データに基づく意思決定を通じて、万全の体制を整えている。
――2026年の事業戦略について教えてください。
Doherty氏 電子部品業界はサイクル性が強いが、DigiKeyではそれを前提とした事業運営を行っている。市場は回復局面に入り、在庫水準も正常化した中で、次の成長段階に移行した。
同社では、社内の市場指標を継続的に分析し、需要動向を先取りすることで、在庫を戦略的に配置してきた。これにより、需要やリードタイムの変動が生じた場合でも、迅速に対応できる体制を維持している。
市場環境の変化に左右されず、顧客が必要な製品を必要なタイミングで調達できることが、DigiKeyの事業運営の基本となっている。
この先見的なアプローチが、2026年の成長に対する強い自信につながっている。需要のペースに不確実性がある状況下こそ、DigiKeyのリアルタイムな情報分析と柔軟なビジネスモデルが、真価を発揮する。
――2026年の売上予測および投資する分野について教えてください。
Doherty氏 DigiKeyは、AI、グローバル物流、ESGの透明性、Web体験、輸出コンプライアンス、自動化、在庫の厚みと幅、新製品展開、ローカライゼーション、価格競争力といった分野に投資を行ってきた。これらの取り組みは、顧客数とWebトラフィックの増加につながっている。
――日本市場についての見通しや、新たな戦略/取り組みがあれば教えてください。
Doherty氏 日本市場は、品質、情報の正確性、設計プロセスへの理解において要求水準が極めて高い。日本の設計現場では、部品の性能や価格だけでなく、設計の初期段階から、試作・量産までを見越した部品の入手性検証も重要となっている。DigiKeyは、こうした日本市場の特性を、事業運営を高度化するための重要な前提条件として位置付けてきた。
DigiKeyでは、日本のエンジニアが迅速かつ的確に意思決定できるよう、技術情報の提供方法やデジタル上での設計支援環境を継続的に進化させている。日本の設計現場から得られるフィードバックを起点に、設計段階から調達までを一貫して支える仕組みを強化してきた。これらの取り組みは、日本市場にとどまらず、グローバル全体の顧客体験向上にも反映されている。
また、日本市場の持続的な成長を支えるためには、将来の設計現場を担う人材の育成が不可欠だ。DigiKeyは、学生や若手エンジニアが実践的に学べる環境づくりを支援するとともに、業界トップクラスの登録者数を誇る日本公式YouTubeチャンネルや、設計現場に直結する技術情報を継続的に発信するTechForumを通じて、学習と課題解決が循環するエンジニアリングエコシステムの構築に取り組んでいる。
日本のエンジニアや学生から寄せられる高い要求に応え続けることが、DigiKeyの設計支援の質を磨き上げ、その成果が世界全体に還元されている。DigiKeyは今後も、日本市場をグローバル戦略の重要な参照点とし、優れたカスタマーサービス、幅広い製品群、迅速な配送を基盤に、設計現場に寄り添った価値提供を深化させていく考えだ。
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提供:DigiKey
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年2月13日