「日本に根差した外資系」オンセミ 豊富なセンサー群とSi/SiC/GaNをそろえたパワーデバイスでさらなる飛躍オンセミ 代表取締役社長 林孝浩氏

オンセミ(onsemi)は、シリコン(Si)/シリコンカーバイド(SiC)/窒化ガリウム(GaN)の3材料をそろえたパワーデバイスと、イメージセンサーや超音波センサーなどの幅広いセンシング技術で攻勢をかけている。「日本に製造拠点を持つ数少ない外資系半導体メーカーとして、オンセミは日本市場を非常に重視している」と語る日本法人社長の林孝浩氏に、2025年の振り返りと2026年の事業戦略を聞いた。

PR/EE Times Japan
» 2026年01月14日 10時00分 公開
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2025年は「安定化の兆し」 AIデータセンター向け売り上げが2倍に

――2025年を振り返っていかがですか。

林孝浩氏 2025年前半は米国の関税政策など不透明要素が多い状況だったが、後半にかけて業績に安定化の兆しが見えてきた。2025年第3四半期(7〜9月)のグローバルでの売上高は15億5090万米ドルで、そのうち車載向けが51%、産業向けが27%で、この2分野が大半を占めた。この1年間で大きく成長したのはAIデータセンター向けで、前年同期比で約2倍になった。AIデータセンターのパワーサプライユニット(PSU)に向けシリコンカーバイド(SiC)MOSFETやJFETといった電源向け製品の需要が大きかった。

 地域別に見ると、日本での売上高はグローバルの8%を占めた。これは日本への直接出荷のみで、日本企業の海外拠点は含んでいない。1つの国としては大きな割合で、日本はオンセミにとって重要な市場だ。

オンセミの2025年第3四半期の売上高 オンセミの2025年第3四半期の売上高 提供:オンセミ

2026年もSi/SiC/GaNをそろえたパワー技術と豊富なセンサーを展開

――2026年の市況はどのようになると分析されていますか。

林氏 不確定な要素が多いながら、今後も自動車の電動化、自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)の進化やAI需要の増加といった大きなトレンドは続いていくだろう。AIもより一層強い成長ドライバーになると見ている。

――それを踏まえた事業戦略をお聞かせください。

林氏 引き続き、オンセミが強みを持つパワーデバイスとセンサーを幅広い市場に提供していく。

 まず、パワーデバイスはシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)の3つそれぞれのテクノロジーを有している。この包括的ソリューションを生かして、「点」ではなく「面」で顧客のあらゆるご要望に対応し、貢献していきたい。

 そして、センシングについては、イメージセンサーや超音波センサー、誘導型センサーなど多様な製品群をそろえており、非常に多くの引き合いがあることが我々の強み。2026年はそれらをさらに伸ばしていくことが目標だ。

 個別のテクノロジーで見ると、2026年以降、特に注力していくのは「縦型GaN(vGaN)パワーデバイス」「Vcore電源技術」「SiC JFET」「アナログ/ミックスドシグナルプラットフォーム」の4つだ。

 2025年10月に発表したvGaNパワーデバイスは、GaN-on-GaN技術を用いた大変ユニークな製品で、日本の顧客からも大きな反響を得ている。近年、パワーデバイスは高耐圧、高効率、小型化のニーズがますます高まっており、AIデータセンターや電気自動車(EV)、航空宇宙や防衛向けなど顧客の課題解決の役に立てる技術だと考えている。

 vGaNのデバイス構造やプロセスに関する100以上の特許をオンセミは取得しており、米国ニューヨーク州シラキュースにはvGaNに特化した研究開発/製造拠点も構えている。先日発表した第1世代のテクノロジーに続いて、第2世代の技術開発にも取り組んでいるところだ。

オンセミの縦型GaNパワーデバイスの戦略 オンセミの縦型GaNパワーデバイスの戦略 提供:オンセミ

 2025年9月にAura Semiconductorから買収したVcore電源技術も、次世代製品に向けて活用を進める。2026年はサンプル出荷もどんどん増えてくる見込みだ。いろいろな製品に組み込める技術なので、数多くの製品をリリースできるだろう。将来的には65nm バイポーラCMOS-DMOS(BCD)プロセスを用いた開発も行う予定だ。65nmはアナログ・ミックスドシグナル向けとしては微細なプロセスなので、性能/コストともに競争力のある製品を打ち出していけると考えている。

 2025年に好調だったSiCテクノロジーもさらに強化していきたい。Qorvo社から技術買収をしたSiC JFETによりさらに包括的なソリューションを提供できるようになった。多数のお引き合いをすでに頂いているが2026年はさらなる飛躍の年となる見込みだ。

 65nm BCDプロセスを活用したアナログ/ミックスドシグナルプラットフォーム「Treoプラットフォーム」も引き続き展開していく。「通信」「パワーマネジメント」「センシング」「コンピュート」の4つのサブシステムからライブラリ化したIP(Intellectual Property)を組み合わせ、迅速にICを開発できるというものだ。顧客からの反応も良く、現在、グローバルで10億米ドル規模の案件が立ち上がっている。

「日本に根差した外資系」として社会課題にも対応

――日本での事業方針についてもお聞かせください。

林氏 日本では特に自動車向けの顧客が多い。日本の自動車メーカーは世界の中でも特に安全性や品質を重視していて、オンセミの技術を深く理解して採用してくれている。自動車メーカー、ティア1、ティア2など幅広いプレイヤーと、今後も長期的な信頼関係を築いていきたい。

 オンセミは福島県会津若松市に工場を構えている。いわゆる外資系として、日本に生産拠点を持つ数少ない半導体メーカーだ。会津工場はオンセミグローバルで見ても重要な基幹ファブの1つで、日本に根差した企業として日本のお客さまに貢献できるよう今後も会津工場をどんどん活用していきたい。

オンセミ会津工場の概要 オンセミ会津工場の概要 提供:オンセミ

 会津若松の工場では、前工程で使用するガスを無害なものに切り替えるほか、消費電力の削減などを通じた2040年までのネットゼロ達成を目指した取り組みも進めている。2026年も引き続き、テクノロジーで顧客の課題解決に貢献することはもちろん、こうした社会課題解決にも取り組んでいく考えだ。


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提供:オンセミ
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年1月22日

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