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業界随一の車載半導体製品群と知見で、自動車の新たな時代を切り拓くNXP Semiconductors大転換期を迎えた自動車開発

自動運転、電動化、コネクティビティといったメガトレンドの実現に向け、自動車のシステム構造が大きく変わろうとしている。自動車のエレクトロニクスを機能ごとにまとめシステム構造でとらえることで、開発効率、フレキシビリティ、さらにセキュリティを高めることが可能になる「ドメイン・アーキテクチャ」への移行が始まりつつある。このドメイン・アーキテクチャのコンセプトに沿った積極的な製品ソリューションの開発を行っている半導体メーカーがある。ドメイン・アーキテクチャ、そして、次世代自動車開発に向けたNXP Semiconductorsの取り組みを紹介する。

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 「自動運転」、「電動化」、「コネクティビティ(接続性)」というメガトレンドの下、自動車は“100年に一度”とも形容されるほどの大きな変革期を迎えている。自動車の在り方が変わりつつある中で、自動車のシステム構造も大きく変わろうとしている。

 これまでのカーエレクトロニクスの設計では新たな機能の追加や拡張を行う場合は、個別のECU(電子制御ユニット)を必要な箇所に既存のインターフェースに追加する形で実現してきた。高級車では1台当たりのECU搭載数は100個にも及び、それらを複雑に接続するワイヤハーネスの本数は増加の一途をたどってその重量は、車体/シャシーに次ぐ重さになっている。ECUの機能やデータの種類・量により、最適なトポロジとインターフェースに配置するドメイン・アーキテクチャの導入が必須となってきている。これによりワイヤハーネスなどの削減につながり、燃費や電気自動車の走行距離の向上が期待できる。

 一方、自動車に搭載されるソフトウェアのコード量は大型旅客機の搭載ソフトウェア量をもしのぐ規模になっている。ECUごとにソフトウェアを開発、改変する現状のスタイルは、ソフトウェア開発現場に大きな負担を強いている。また、自動運転やコネクテッドカーの普及に向けてより重要となってくるセキュリティの導入に対しても従来の複雑なアーキテクチャは大きな問題となってくる。新しい時代の自動車の開発にはソフトウェアも含めて開発効率、機能拡張に対するフレキシビリティ、そして確実にセキュリティと統合化された製品ソリューションが必須となっている。

新たな自動車システム構造「ドメイン・アーキテクチャ」

 メガトレンドの実現に向かう自動車業界は、これまでの構造に別れを告げ、開発/設計効率を高めることのできる新たな自動車システム構造の適用を模索しており、有力視されているのが「ドメイン・アーキテクチャ」だ。


これまでの自動車システム構造(左)と、ドメイン・アーキテクチャに基づく自動車システム構造(右)のイメージ

 ECUが果たす機能ごとに分類し、「ドメイン」と呼ぶ類似機能グループに整理し、各ドメインを分離する考え方である。似た機能を果たすドメイン内のECU間で、機能、処理を最適化できるようになる。ECUの追加、削除の影響範囲もドメイン内に限定されるなど、スケーラビリティが増し、ソフトウェアの再利用性も高まる。さらに、ECUの接続も体系化され、ワイヤハーネスの削減も見込める。

 さらに、各ドメインの共通要件に応じた適切なレベルの安全/セキュリティ機能を容易に設計できるといったメリットも生じる。それゆえ、自動車業界では、これからの自動車システム構造として「ドメイン・アーキテクチャ」が注目されているのだ。

 そうした中で、自動車業界のドメイン・アーキテクチャへの移行をリードしようとしている半導体メーカーがある。車載半導体世界シェア首位*1)のNXP Semiconductorsだ。

ドメイン・アーキテクチャの次世代自動車開発をトータル支援

 NXPは、2015年末にフリースケール・セミコンダクタと統合して一躍、車載半導体世界シェア首位に立った。NXPの日本法人で自動車事業を統括する三木務氏(=車載営業・マーケティング本部長)は「互いに車載半導体事業を主力にする半導体メーカー同士の統合だったが、くしくも競合する製品がほとんどなく、補完し合う関係であり、豊富で、強力な車載半導体製品ラインアップが整った」と語る。


NXPジャパン 車載営業・マーケティング本部長 三木務氏

 そして、「自動車に必要なほぼ全ての半導体をカバーするポートフォリオが整ったことで、自動車メーカー(OEM)やTier1企業との会話が、半導体単体だけではなく、アプリケーション・レベル、システム・レベルへと広がり、ソフトウェアを含めたソリューション提供が当たり前になった。新たな自動車の機能をPoC(Proof of Concept/概念検証)キットとして提供する機会も増え、“デバイス+α”の価値を提供できるようになった。豊富なラインアップを持つメーカーこその強みが養われてきた」と付け加える。

 このように、世界中の自動車開発に深く関わってきたNXPは、これからの自動車システム設計の形として最も効率的なアプローチが「ドメイン・アーキテクチャ」であると明確に定義。ドメイン・アーキテクチャを実現するための半導体ソリューションの構築に、いち早くかじを切っている。

 OEMやTier1企業とのコミュニケーションを通じてNXPは、“5つのドメイン”による自動車アーキテクチャを提唱している。5つのドメインとは、「コネクティビティ」「ドライバー・リプレイスメント」「パワートレイン/ビークル・ダイナミクス」「ボディ/快適性」「ユーザー・エクスペリエンス」の5つだ。三木氏は、「後者3つは、これまでの自動車にも存在した要素を集約したドメインであり、前者2つは、自動運転時代に必要とされる新しい要素」と説明する。


NXPが描く「5ドメイン・アーキテクチャ」

 5つのドメインそれぞれにおいても、「SENSE(検知・検出)」、「THINK(判断)」「ACT(作動・駆動)」の3つの領域を定義。各ドメインは、THINKを担う「ドメイン・コントローラ」を頂点にして、SENSE、ACTを担うECUが配置されるという構図を描く。ドメイン間の通信は、各ドメイン・コントローラと接続されるゲートウェイを介して行う。三木氏は「NXPは、5つのドメインのSENSE、THINK、ACTの領域全てにわたって、最先端のデバイス、ソリューションを提供する」と言い切る。


5つのドメインをくまなくカバーするNXP Semiconductorsの製品/ソリューション・ラインアップ

ドメイン・アーキテクチャを可能にする先端ソリューション

 ドメイン・アーキテクチャによる自動車開発の実現に向けて、2017年10月に新マイクロプロセッサ/マイクロコントローラ製品群「S32車載プロセッシング・プラットフォーム」を発表している。S32ファミリはドメイン・アーキテクチャで必要なMPU/MCUの全てを、1つの共通ハードウェア・アーキテクチャをベースに開発する。またドメインごとの共通ハードウェア・アーキテクチャも適用し、ドメイン内でのMPU/MCUではソフトウェアの90%を再利用できるようになるとし大きな注目を集めている。S32ファミリの具体的な製品として第一弾の「S32Sマイクロプロセッサ」を2018年6月に発表している。

 コネクティビティを備えるこれからの自動車では、セキュリティの重要性がさらに増す。三木氏は、「NXPは、車載半導体同様、セキュアIC分野でも世界トップシェア*2)を持つ。キャッシュカードや旅券などの領域で実績ある技術を応用し、自動車の各ドメインに適したセキュリティ・ソリューションを提供できる」と語る。

ドメイン間、ECU間を結ぶ車載ネットワークにも先端技術を提供

 また、各ドメインを結ぶゲートウェイや、ECU間を結ぶネットワークについても「もちろん最先端のデバイス・ソリューションを提供する」とあくまで、車載半導体の全てで、先端ソリューションを提供するという姿勢を強調する。

 「車載ネットワークとしては、これまでCAN、LIN、FlexRayといった通信プロトコルが一般的で、NXPは、これらの通信に向けたトランシーバICでも市場をリードしている。これからの車載ネットワークは、バス型トポロジのCANやLINなどに代わり、より高速、広帯域でトポロジも柔軟に構成できる車載Ethernetが主流になるだろう。車載Ethernetでもリーディング・メーカーの地位を目指して取り組みを活発化させている」(三木氏)

 NXPは、BMWなどとともに車載Ethernet規格の標準化団体「OPEN Alliance SIG」の共同創設メンバーを務め標準化を主導しながら、2015年から車載Ethernet用PHY(物理層)チップ、スイッチの提供を開始している。最近では、車載カメラやレーダーなどのインターフェースとしての普及が期待されている時間同期型Ethernet「IEEE TSN」(Time-Sensitive Networking)対応デバイスの提供を開始している。

CANのセキュリティを、より手軽に高めるテクノロジー

 一方で三木氏は「車載Ethernetが車載ネットワークの主流になるが、LINやCANも使用されるだろうし、カメラなどのインターフェースとしてSerDesが利用される可能性もある」と指摘する。その上で、「そうした車載ネットワークに対しても、先端のソリューションの提供を行う。例えば、CANに対するセキュリティ・ソリューションがある」という。

 「CANは、20年以上も前に策定された通信プロトコルであり、自動車が車外と接続されることを前提にしていない。そのため、セキュリティ面で弱さがある。一般的には、MCUの暗号化機能を使ってセキュリティを担保する手法が用いられるが、帯域が不足気味のCANバスに負荷を与える他、消費電力の増大も招く。またMCUはDoS攻撃などによる暴走を防げないという技術的課題も抱える。そこで、セキュアなCAN通信を実現する先端ソリューションとして、セキュアCANトランシーバの提供を開始した」。


セキュアCANトランシーバの概要

 セキュアCANトランシーバは、暗号化を用いずにCAN通信の安全性を担保する技術。トランシーバ内に、送信すべき「CANメッセージID」のリスト(ホワイトリスト)を保持し、リストにないIDで送信される場合、送信側ECUが乗っ取られたと判断し、CANバスへの送信を拒否する。また、受信側に対しても、IDのブラックリストを保持してフィルタリングする機能を持ち、送信側に割り振られたIDを、別のECUがなりすまして使用することを防ぐといったことが行える。

 さらに、DoS攻撃に対しては、Leaky Bucket方式を使うことにより、フレームの量を正確に測定、過剰な量を検知した送信側ECUを一時的にネットワークから切り離すことで、バスの占有を防いでいる。「CANバスに負荷をかけることなく、高価なセキュア・マイコンや専用デバイスを使用することもなく、CANトランシーバだけで、セキュアなCAN通信を担保できるソリューションとして、多くの引き合いがある」(三木氏)という。


【出典】
*1)Strategy Analytics「Automotive Semiconductor Vendor 2017 Market Shares(2018 Apr)」
*2)ABI Research「Secure Smart Card & Embedded Security IC Technologies(2018 1Q)」

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提供:NXPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月31日

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