現場のヒューマノイド本格導入は28年に20社未満、課題は:過剰な投資にアナリストが警告(1/3 ページ)
Gartnerの予測によると、2028年までに製造やサプライチェーンでヒューマノイドロボットを大規模に活用する企業は世界で20社に満たないという。同調査は、ヒューマノイドロボット技術は有望ではあるものの、過酷な物流作業をこなす能力に対して期待や興奮が先行していることを示している。
「ヒューマノイドロボットと人間が工場で共に働く」という構想は、現実世界での課題に直面している。Teslaやロボット開発企業のFigure AIが自社ロボットを披露し、多くの投資を集めているにもかかわらず、サプライチェーンにおけるヒューマノイドロボットの普及には予想以上に時間がかかりそうだ。
米国の市場調査会社Gartnerの新たな予測によると、2028年までに製造やサプライチェーンでヒューマノイドロボットを大規模に活用する企業は世界で20社に満たないという。同調査は、ヒューマノイドロボット技術は有望ではあるものの、過酷な物流作業をこなす能力に対して期待や興奮が先行していることを示している。
テスト導入の先に進めない企業
サプライチェーンの意思決定層は、労働力不足や賃金上昇への対処としてロボティクスに注目してきた。それでもGartnerは、2028年までにヒューマノイドロボット導入プロジェクトのテスト段階から先に進める企業は100社にも満たないと予想している。
問題は「工場でやりたいこと」と「今の技術でできること」を混同している点にある。Gartnerのシニアプリンシパルアナリストを務めるAbdil Tunca氏は「この技術はまだ準備が整っていない」と主張する。同氏は「ヒューマノイドロボットの将来性は魅力的だが、今は技術が未熟で、汎用性や費用対効果に対する期待に応えるには程遠い」と述べ、「意思決定層が、準備の整っていないソリューションに過剰な投資をしてしまう可能性がある」と警告している。
導入の課題はソフトウェアだけでなく、ハードウェアにもある。米国のエンジニアリング企業であるSimplexity Product Developmentによると、ほとんどのヒューマノイドロボットは1回の充電で90〜120分間しか動作できず、工場のシフトに必要な8時間から20時間には遠く及ばないという。
人間と同じくらい器用なロボットを作るには大きなコストがかかる。ロボットハンドだけで9500米ドルものコストがかかるモデルもあるが、こうした高額なロボットであっても複雑な物体を扱う際の成功率は30%程度だという。
ヒト型よりも生産性優先 多機能型ロボットに注目
実利的なメーカーは「多機能型」ロボットに目を向けている。これらのマシンは、安定性と速度のために車輪を利用したり、複数の場所にセンサーを配置したりしたもので、ヒト型であることよりも生産性を優先している。
Gartnerのアナリストによると、特定の作業にはこうした非ヒューマノイドロボットの方が適しているという。Gartnerのシニアディレクターアナリストを務めるCaleb Thomson氏は「投資額あたりの効果を最大化する必要がある大多数の企業にとって、多機能ロボットが優れたソリューションになると予想される」と述べている。
他の調査もこの見解を裏付けている。ドイツの研究機関Fraunhofer-Gesellschaft(フラウンホーファー研究機構)の調査によると、生産ラインの自動化に人間のような手と脚が必要だと考える業界関係者は約40%にすぎないという。大半は、脚付きロボットよりも安定性が高く、エネルギー消費量も少ない移動式プラットフォームやモジュール式グリッパーを好む傾向にある。
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