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パワーデバイス開発に「専用テストソケット」という選択肢! 過酷な条件でも安定した評価を実現自作治具や評価用基板の課題を解消

パワーデバイスの開発現場における特性評価では、評価用基板への実装や自作治具が多く用いられていて、コストや手間、測定の安定性、安全性などが課題となっている。SDKは、AC 4kV/DC 5.5kV、−20〜+200℃に対応する開発現場専用のテストソケット「パワーデバイス用高電圧ソケット」を開発した。過酷な条件下でも安定した評価を可能にし、デバイス本来の性能を正確に把握するための新たな選択肢を提案する。

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パワーデバイスの進化で開発段階の評価も重要に

 近年、AIサーバ向け電源や電気自動車(EV)など、大電流/高電圧を扱うアプリケーションが増加し、パワーデバイスの性能がシステム全体のパフォーマンスを左右する場面も増えている。そうした中でパワーデバイスにはより高い耐圧/耐熱性が求められるようになり、開発段階の評価条件は厳しくなっている。製品の信頼性を確保するには、過酷な条件下で性能や耐久性を正確に評価する必要がある中、従来の方法では十分に評価できないケースも増えてきた。

 半導体デバイスの電気的特性を測定する際、デバイスと検査装置を接続する専用治具がテストソケットだ。量産段階では、パッケージング後のデバイスをテストソケットに装着し、出荷前の品質検査を行う。デバイスと検査装置を安定して接続し、製品が規定の性能を満たしているかを確認することで、品質保証を支えている。

 半導体、モジュール部品用テストソケットを手掛けるSDKは、量産段階だけでなく、開発段階でも専用のテストソケットを活用することを提案している。実際の使用条件を上回る電圧や温度を加える試験を、安定した環境で安全性に配慮しながら実施するためだ。

安全性や安定性…… 従来の評価方法が抱える課題

SDK 技術部長 齋藤仁氏
SDK 技術部長 齋藤仁氏

 パワーデバイスの開発段階における特性評価で現在多く用いられているのが、デバイスを評価用基板にはんだ付けして実装する方法だ。実際の使用状態に近い条件で評価できることが利点だが、一度実装するとデバイスの取り外しや再利用は難しい。評価のたびに新たなデバイスや基板を用意して実装する必要があるので、コストや手間は大きくなる。また、実装状態では実動作の確認が中心となるので、実際の使用条件を上回る電圧や温度を加えてデバイスがどこまで耐えられるか、デバイスの性能限界が設計試算と合っているかなどデバイスの出来栄え確認をすることが難しい。

 量産工程用のテストソケットを流用する方法もある。量産用テストソケットは、デバイスをはめ込むだけでばねの力で両側から端子を押さえて接続できるなど、生産性を考慮し着脱しやすいものが多い。多数のデバイスを効率よく検査する量産工程には適しているが、開発段階での評価では、端子に一定の圧力を加え、接触抵抗を安定した状態で低く保つことが求められる。よって、量産用テストソケットではデバイス本来の性能を正確に評価しにくい場合がある。また、製品の定格を上回る電圧や温度を加える試験や、特殊な端子形状を持つデバイスの評価にも対応しにくい。

 さらに、量産用テストソケットを加工したり、デバイスの端子から配線を引き出して測定器に直接接続したりと、開発担当者が自作の治具を用いる場合もある。この方法は柔軟性が高く、特殊な条件にも対応しやすいが、測定の繰り返し安定性を阻害する不安定要素(人の作業に起因する取り付け方の違い/デバイス端子への加圧のばらつき)により、測定結果にばらつきが生じやすい。

 SDK 技術部長の齋藤仁氏は「10回、100回、1万回と測定しても同じ結果を得られることが、評価環境に求められる安定性だ。手作りの治具では接点の確実性を保つことが難しく、デバイスの限界まで評価できないことがある」と説明する。

 高電圧を印加する試験では、適切な評価環境を整えなければ、隣接する端子間で放電やスパークが発生し、デバイスの破損を招く可能性がある。また、接続状態が安定していなければ、測定値の変化がデバイス自体に起因するものなのか、手作り治具の接続状態によるものなのかを切り分けにくくなる。評価のやり直しが必要になれば、開発期間の長期化にもつながる。

高電圧/高温に対応 過酷な評価条件でも安定測定

 SDKが2026年7月に提供を開始した「パワーデバイス用高電圧ソケット」は、パワーデバイスの開発段階での使用を想定したカスタム製品だ。AC 4kV/DC 5.5kVの高電圧に対応するほか、使用温度範囲は−20〜+200℃と広く、接触抵抗は20mΩ以下だ。詳しい仕様や技術情報は、本ページ下部のリンクから確認できる。

パワーデバイス用高電圧ソケット
パワーデバイス用高電圧ソケット[クリックで拡大]
パワーデバイス用高電圧ソケットの特徴
パワーデバイス用高電圧ソケットの特徴[クリックで拡大]

 パワーデバイス用高電圧ソケットの開発に携わったSDK 技術部 課長の齋藤紀行氏は「一般的なテストソケットの耐圧は2〜3kV程度で、今回の製品は業界でもかなり高い水準の高耐圧を実現している」と説明する。隣接する端子間での放電やスパークによるデバイスの破損や測定不良を抑えるために、高電圧試験に対応した設計としている。

 使用温度範囲についても、従来のテストソケットは上限が+175℃程度の製品が一般的だったが、特に車載用途などで過酷な条件での評価の要求が高まっていることから、+200℃まで対応した。

SDK 技術部 課長 齋藤紀行氏
SDK 技術部 課長 齋藤紀行氏

 接触抵抗が小さいことも特徴だ。パワーデバイスの評価では、テストソケットの接触抵抗が大きいと電流の流れを妨げ、スイッチング特性の測定に影響を及ぼす可能性がある。齋藤仁氏は「デバイス本来の性能を評価するには、テストソケットが測定結果に与える影響をできる限り小さくしなければならない」と説明する。

 例えば、1200〜3300V級のSiC MOSFETやIGBTでは、数百アンペア級/数十ナノ秒の高速スイッチング評価が一般的であり、寄生インダクタンスが10nH増加するだけでも約100V(di/dt=10kA/μs時)のサージ電圧が発生する。このため、専用テストソケットによる低インダクタンス化と接触抵抗の安定化は、ダブルパルス試験(DPT)の再現性向上に大きく貢献できる。

 こうしたSiC MOSFETやIGBTの評価ではDPTが標準的な評価手法となっている。高速スイッチング時の波形品質やノイズ低減に加え、評価結果の再現性向上にも専用ソケットが有効になる。

 パワーデバイス用高電圧ソケット使用時のデバイスの固定は、ねじ止めをして端子に一定の圧力を加える方法で行う。量産用テストソケットと比べると着脱には時間がかかるが、接触状態がより安定する。

 こうした安定した接触状態は、信頼性評価にも有効だ。高温逆バイアス(HTRB)、高温ゲートバイアス(HTGB)、パワーサイクル、温度サイクルなどの信頼性試験においても、長時間にわたって安定した接触状態を維持でき、評価品質の向上につながる。開発段階の評価から信頼性評価まで幅広く利用できることもメリットになる。

 デバイスの形状や端子数、試験時の電圧、温度などは顧客ごとに異なるので、顧客へのヒアリングをもとに個別に設計する。3ピン品と4ピン品の双方を同じテストソケットで評価できる構造などにも対応する。

 さらに、デバイスを基板に実装する必要がないうえ、測定のやり直し削減、評価時間の短縮、試作品の有効活用、開発期間の短縮など、開発効率の向上にもつながる。

評価目的の達成まで伴走、納品後のフォロー体制も万全

 SDKは、納品後のフォローも重視している。開発段階の試験では、電圧を印加した瞬間に一時的な電圧上昇が発生したり、デバイスの発熱によって想定以上の温度になったりすることがある。当初の評価目的や使用条件が変わっていないにもかかわらず、正しく測定できない場合には、原因を調査し、顧客が目的を達成できるまで原則として無償で改善に取り組む。齋藤仁氏はその理由を「顧客の当初の目的が達成できなければ、テストソケットとしては不完全だと考えている」と語る。

 納品後のフォローで得られた要望や知見は、次の製品開発にも反映する。例えば、保証範囲を超える温度で使用した顧客から、より高い温度に対応したテストソケットが欲しいという相談を受ければ、新たな製品の検討につなげる。カスタム品の提供を通じて顧客の試験環境や課題を直接把握できることもSDKの強みだ。

今後はベアダイ評価への対応も

 SDKは今後、パッケージング前のベアダイを評価できるテストソケットの開発も進める計画だ。

 半導体デバイスの開発で一般的なのは、ウエハー上で検査を行った後、チップを個片化してパッケージングし、改めて詳細な評価を実施する方法だ。この場合、パッケージング後の評価で不良が判明すると、そのデバイスにかけたパッケージングの手間やコストが無駄になってしまう。ベアダイの段階で詳細な特性を確認できれば、不良をパッケージング前に発見でき、こうした無駄を抑えられる。

 一方、ベアダイ上の電極は微細で、正確に接触させながら高い電圧や電流を扱うことは容易ではない。SDKは、微細なピンでベアダイ上の電極に接触しながら電流を金属ブロックの広い面へ分散させるSDK独自技術などを応用する計画だ。

開発現場に新たな評価の選択肢を

 齋藤仁氏は「開発現場でテストソケットを使うという発想は、まだ十分に浸透していない」と語る。「基板への実装や治具の自作が当たり前になっていて、開発段階のパワーデバイスをテストソケットで評価できること自体に驚く顧客も多い」(同氏)。SDKは、テストソケットを使えば安定した環境下で性能を評価できることを広く訴求していく考えだ。

 「専用テストソケットは単なる接続治具ではなく、高精度な電気特性評価と信頼性評価を支え、評価精度の向上や開発期間の短縮、品質向上に貢献する開発ツールだということを、ぜひデバイス開発に携わる皆さんにお伝えしたい」(齋藤仁氏)

 半導体の性能が高まり、開発時に確認すべき条件も厳しくなる中、検査治具にもデバイスの進化に追従する性能が求められる。SDKのパワーデバイス用高電圧ソケットは、高耐圧/高温への対応、低接触抵抗とカスタム設計を組み合わせることで、実使用条件を上回る領域でのパワーデバイス評価を支え、評価精度の向上や開発期間の短縮に寄与する製品となりそうだ。

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提供:株式会社SDK
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月30日

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