バッテリー無しで半永久的に作動するセンサー、大阪大ら:50m先の構造物を無線で常時監視
大阪大学はダイセルと共同で、高感度のひずみセンサーおよび、ガスセンサーを開発した。これらのセンサーは、50m以上の距離を無線でつなぎ、バッテリー無しで半永久的に作動するという。
構造物の振動としては100Hz程度の振動まで計測可能
大阪大学大学院工学研究科の濱名基行氏(博士後期課程)や荻博次教授らによる研究グループは2026年8月、ダイセルと共同で高感度のひずみセンサーおよび、ガスセンサーを開発したと発表した。これらのセンサーは、50m以上の距離を無線でつなぎ、バッテリー無しで半永久的に作動するという。
高速道路や鉄道の橋梁といった社会インフラは、経年劣化で亀裂や腐食などが生じ、構造体の剛性が低下する。このため、構造体の劣化状態を常に監視しておく必要がある。現状では定期的な目視検査や打音検査などで設備の状態を管理している。しかし、損傷状況を正確かつ迅速に把握するためには、長期間の常時監視が不可欠といわれている。
そこで今回、水晶マイクロベルの共振振動を用いたひずみセンサーとガスセンサーを開発した。板状の水晶マイクロベルを用いたセンサーの原理はこうだ。外力が加わったり、ガスが吸着したりするとベルが変形し音色が変わる。この影響で変化した共振周波数を測れば構造物のひずみやガス濃度を検出できるという。
水晶に振動電場を与えるには、水晶板に設けた電極間に交流電圧を印加する手法と、電磁波を送る方法がある。電磁波には電場成分が含まれていて、水晶マイクロベルの共振周波数と電磁波の周波数を一致させることで、離れた場所からでも水晶マイクロベルを共振させられるという。
電磁波による励振を停止しても、1000分の1秒程度は水晶マイクロベルが鳴り続け、この間にも水晶から電磁波が放射される。この周波数を測れば水晶マイクロベルの共振周波数を、離れた場所から計測できる。
研究グループは今回、独自開発の無線計測装置とMEMS水晶マイクロベルセンサーを用い、50mを超える距離を無線でつなぎ、バッテリーなどで給電しなくとも、水晶マイクロベルの共振周波数を、0.0001%以下の精度で計測することに成功した。
開発した測定法を用いると、毎秒500回程度の頻度で共振周波数を計測できる。構造物の振動としては100Hz程度の振動まで計測できるという。開発したセンサーに内蔵された水晶マイクロベルは厚みが約10μmと薄いため、柔軟性にも優れている。
水晶マイクロベルの上面にパラジウム合金を成膜し、水素ガスを検出する実験も行った。この方法で、数十m先の水素ガス濃度をバッテリーなしで計測することに成功した。
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