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運転、環境、IoTの3領域に注力、STは「顧客が最大のリターンを得られる“最善の選択肢”になる」STマイクロエレクトロニクス 日本法人代表取締役社長 マルコ・カッシス氏

STマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、世界的なトレンドであるSmart Driving(スマートな運転)、Smart Environments(スマートな環境)、Smart Things(スマートなモノ)の3つを成長領域に掲げ、センサーから、マイコン、パワーまでを包括する先端製品によるシステム提案を加速させる。「より良い製品とともに、充実したエコシステム作りを進める」と語るSTマイクロエレクトロニクス 日本法人社長のマルコ・カッシス氏に2016年の戦略を聞いた。

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試作開発を迅速にする開発エコシステムを強化し成果

――2015年のビジネスを振り返ってください。

マルコ・カッシス氏  2015年は、ユーザーに対し、迅速かつ短期間に試作開発を行ってもらえるよう、STの持つ幅広い製品群を生かした開発エコシステムの拡充を特に力を入れて、実施してきた1年だった。

 具体的には、STM32マイコン開発ボード「Nucleo」に、センサーや通信用IC、NFCタグ、モータードライバなどの機能を簡単に追加できる各種拡張ボード「X-Nucleo」、さらにそれらに付随するソフトウェア「STM32Cube」の充実化を図ってきた。

 そうした結果、直近(2015年7〜9月)の汎用マイコンの売上高は過去最高を記録するなど好調だ。汎用マイコンでは、ARMの最新CPUプロセッサ「Cortex-M7」を世界で初めて搭載した「STM32F7」や、低消費電力性能と高い処理性能を両立した「STM32L4」の量産を開始しており、今後も期待できる状況にある。

――汎用マイコン以外のビジネスはいかがですか。

カッシス氏 X-Nucleoにも搭載しているMEMSセンサー、MEMSマイクといったデバイスも好調で、MEMSモーションセンサーの累積出荷数は2015年に50億個を突破した。MEMSマイクについては、2012年の世界シェアは2%未満だったが、2014年には10%に達し、さらにシェアが伸びる勢いだ。MEMS応用デバイスとしては、このほど、インテル(Intel)の3Dセンシングシステム「RealSense」にMEMSミラーがコントローラICとともに採用され、MEMSマイク同様にシェア拡大を図っていく。

 車載向けについても、マイコン、ADAS(先進運転支援システム)向け製品などが堅調だった。2016年以降は、ARMプロセッサ搭載の車載マイコンやイスラエルのAutotalks社と共同開発した車車間・路車間通信用チップセットを開発、投入する予定でさらに売り上げ規模を増やしていきたい。パワーデバイスについても好調を維持し、今後はSiCパワーMOSFETやIoT機器向けの薄膜バッテリーの拡販に取り組んでいく。

半導体普及の余地は「まだまだ多い」

――半導体市況は、2015年後半から少し需要が低迷してきているようです。

カッシス氏 欧米に関しては、回復基調を維持したが、インドを除く新興国市場、特に中国の景気後退が影響し市況はスローダウンしてきている。PC市場の在庫調整も一因といえるかもしれない。こうした市況のスローダウンは一時的なもので、2016年は回復することを願っている。

 少なくとも、半導体に関しては、使われる用途が拡大し、まだまだ普及していく余地は多くあり、成長が期待できる状況にあることは間違いない。

社会的トレンドから浮かび上がる3つの成長領域

――半導体の用途拡大先としては、どのような市場に注目されているのですか。

カッシス氏 社会的なトレンドを見て、注力市場、注力分野を決めるようにし、2015年から全社的に“3つの成長領域”に対し、注力していくことに決めた。


STが注力する“3つの成長領域”

 ご存じの通り、世界人口は今後も増え続ける。とりわけ、都市部の人口増加は顕著で、世界的にさらなる“都市化”が進むだろう。他にも高齢化は、世界共通の課題になる。一方で、インターネットにつながるモノの数は、爆発的に増大することも間違いない。人口増、IoT(モノのインターネット)化などに従い、エネルギー消費も増大する。こうした社会トレンドを分析した結果、STは、「Smart Driving」(スマートな運転)「Smart Environments」(スマートな環境)「Smart Things」(スマートなモノ)が次なる成長領域だと判断し、注力する。

 当社が従来、掲げてきた「暮らしのあるゆるシーンで活躍する製品の提供を通じて人々の生活を豊かにする」というビジョンにも合致する判断だ。

――3つの成長領域でSTにとってどのような優位性がありますか。

カッシス氏 こうした3つの領域は、単一マーケットというよりも、異なったマーケットやアプリケーションを複合的に組み合わせているため、幅広い製品群をそろえていくことが必要だ。その点、STには、「MEMS & センサー」「スマートパワー」「車載用製品」「マイクロコントローラ」「デジタル製品」の5つの分野にわたり、幅広い製品がそろっており、リーダーシップを発揮できると考えている。

 さらに3つの注力領域は、大企業だけではなく、中小企業まで多くの企業が携わる。その点、当社の顧客層も戦略的関係を結ぶ大企業から中小企業まで広くカバーしており、フィットする領域だと考えている。

成長3領域を明確化、より効率的投資を実施

――これまでも、自動車、環境、IoTといった分野でビジネスを展開されてきました。今回新たに、3つの注力領域を設定されることで、ビジネスにどのような変化が生じるのでしょうか。

カッシス氏 これまでも注力してきたことは、事実であり、劇的に、大きくビジネスが変化することはないだろう。

 しかし、今回、社会トレンドをしっかり分析、理解した上で、注力する方向性、開発投資の方向性をあらためて明確にした。従来以上に、効率的、集中的なビジネス展開が可能になる。

 例えば、Smart Drivingで言えば、「運転支援」「グリーンドライブ」「コネクテッド」の3つの要素が必要とみており、それぞれで幅広い製品ポートフォリオを生かしたソリューションを用意する。STの半導体製品は、世界の全自動車に1台当たり30個搭載されている計算で普及し、ADASに使用される画像処理CPUは世界80%のシェアを、パワーデバイスも中国で50%以上、衛星ラジオ向けチューナーも世界トップシェアを有するなど圧倒的に強い製品がある。それらの製品を軸にソリューションを開発、展開することで、Smart Drivingを幅広くカバーし、成長を果たすことが可能になる。

インテリジェンスの提供

――Smart Environmentsとしては、どのような取り組みを予定されていますか。

カッシス氏 1つはスマートシティの分野だ。例えば照明ひとつをとってみても、全世界の電力の約20%を消費しており、この部分を省エネ化することには大変意味がある。照明のLED化は進展し、われわれはその次のインテリジェンスのある照明を狙う。照明用プログラマブルコントローラ「STLux」とセンサー、インタフェースICで、周囲の明るさを検知し照度、消費電力を最適化するスマート照明を提案している。


マイコン用開発ボード「Nucleo」と各種拡張ボード「X-Nucleo」を使ったスマートオフィスのデモシステム。X-Nucleoの測距センサーで人の有無を検知し、照明のオン/オフ制御も可能にしている

 2つ目は、スマートエネルギーマネジメント、スマートグリッドの分野だ。この分野もさらなるインテリジェンスが求められ、これまで供給側から需要側へ一方通行だった通信が双方向になり、必要な分だけ供給するという効率的なシステム構築が進む。当社としては、マイコン、パワーデバイスなどはもとより、通信でつながる際に不可欠なセキュリティを担保する技術を有しており、エネルギーマネジメント分野でも貢献していきたい。

 そしてもう1つが、インダストリー4.0とも呼ばれるスマートインダストリー分野だ。ここでもマイコン、センサーの組み合わせが必要であり、さらに当社としては、ガルバニック絶縁内蔵のパワーデバイスなど、独自のソリューションを提案できる用意がある。

――Smart Things、IoT領域は、幅広い応用分野があります。

カッシス氏 モノがネットワークにつながるという流れは、まずはスマホ/タブレットから始まり、近年は、ウェアラブル機器へと広がった。これまでSTは、スマホ/タブレットに対し、プロセッサこそ提供してこなかったが、MEMSモーションセンサーを筆頭に、MEMSマイク、タッチコントローラ、測距センサーなど数多くの周辺部品を提供し、いずれも良いポジションを築いてきた。ウェアラブル機器に対しても、スマホ/タブレットで培った小型、低消費電力技術により、センサーなどに加えて、Bluetooth Low Energyやサブギガヘルツ帯無線などのICを展開しシェアを獲得しつつある状況だ。

 今後は、ウェアラブル以外にもあらゆるモノがネットワークにつながる時代になる。しかし、ニーズはこれまで同様、小型、低消費電力技術であり、STの技術/製品群が広範に生かせるだろう。マイコン1つとっても当社は、ARM Cortex-M0からM7までをフルサポートでき、センサー、パワーデバイスもある。これらを1つのパッケージに収めるSiP(システムインパッケージ)技術もあり、あらゆるIoTのニーズに対応できると考えている。

さらなるエコシステムの強化

――3つの注力領域でビジネス成長を狙う上で、2016年に取り組まれることはありますか。

カッシス氏 まずは、より良いデバイスを提供すること。その上で、ソフトウェアも含めたシステムが構築できるエコシステムを強化する。顧客との関係強化ももちろん必要で、特に大手顧客限らず、あらゆる顧客に対するサポート力を向上させたいと考えている。

 サポート強化策としては、販売代理店網の強化と並行し、2015年から積極的に強化しているマイコン用開発ボード「Nucleo」を軸にした開発環境の拡充を継続したい。

 顧客が投資できる原資は、有限。その中で、STの技術/製品を購入することが、顧客にとって最大のリターンを得られる“最善の選択肢”になるようにすることが、2016年の目標だ。



提供:STマイクロエレクトロニクス
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年2月11日

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