半導体の緊急調達で存在感が急上昇、「3本柱」で次の成長を目指すリバウンドエレクトロニクス:リバウンドエレクトロニクス 代表取締役 塚原雅之氏
2019年に日本に進出した、英国の半導体・電子部品商社リバウンドエレクトロニクス。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックや深刻な半導体不足が日本の製造業に打撃を与える中、強みである調達力を生かし、この3年で大きな飛躍を遂げた。日本進出以来、培ってきた顧客基盤をベースに、同社は次の段階へと事業を進めている。日本法人の代表取締役を務める塚原雅之氏に話を聞いた。
緊急調達で大きく成長
――2022年を振り返っていかがですか。
塚原雅之氏 極めて順調な1年だった。日本法人では売上高が大幅に成長した他、人員も強化し、営業拠点も名古屋、京都、福岡の3カ所に新設した。日本進出からの約3年間で、しっかりと足場を固めることができた。
――成長要因をどのように分析していますか。
塚原氏 リバウンドエレクトロニクスは、ドバイの購買拠点で調達業務を一元管理することで、迅速な調達を実現している。その調達力が当社の最大の強みだが、その優位性はこの1年も維持できている。特に、深刻な半導体不足が続く中、当社の緊急調達の能力を最大限に発揮でき、それが顧客獲得へとつながった。調達力だけでなく、品質においても高い評価をいただいている。
売り上げ増の背景としては、当初想定していた以上の規模の顧客層を多数獲得できていることが大きい。こうした大手顧客が、これまで取引していた既存代理店からの調達が困難になり、われわれを頼ってくれる機会がこの1年で大幅に増えた。そうした要求に、当社の調達力で応え、着実に実績を積み上げていることが、今回の大幅な売り上げ増につながっている。
当社は、機器メーカーやティア1、ティア1サプライヤーとの間に入り、サプライチェーンの全体を見据えながら部品の調達をコーディネートする能力も有している。実は、これができる国内エレクトロニクス商社は少ない。
さらに、商談の際も、取引の話のみに終始せず、調達やサプライチェーンに関するグローバルの動向や分析などの情報も、時間をかけて丁寧にお伝えするなど、顧客との関係構築に努めてきた。こうした地道な営業活動が功を奏して、顧客からの信頼獲得につながっている。コロナ禍や半導体不足を背景としたサプライチェーンの課題が大きくなる中、当社の調達能力とコーディネート能力を生かせる最適なタイミングで、日本での事業拡大を図ることができた。
“ジェネリック半導体”を、売上成長の新たな軸に
――2023年の戦略についてお聞かせください。
塚原氏 これまで当社の成長をけん引してきた緊急調達に加え、代理店ブランド「Nuvonix(ヌーヴォニクス)」の展開と、余剰在庫販売という3本柱に注力する。
Nuvonixは、いわゆるセカンドソースの位置付けとなる。余剰在庫販売については、メーカーの余剰在庫と、ユーザーの需要をマッチングさせるシステムを当社が保有しているので、それを生かしたサービスとなる。
――新設した3つの拠点でも、同様の戦略でビジネスを拡大していく予定でしょうか。
塚原氏 TSMCの熊本進出などもあり、3拠点の中では特に福岡がキーになると考えている。この3年で積み重ねた実績を基に、九州エリアでは最初からプレゼンスを出していくという意気込みで臨む。
各拠点ともまだ小規模だが、営業担当の教育をしっかりと行えば、おのずと次のビジネスにつながると考えている。エレクトロニクス商社の基本は、やはり「人」だ。納期の改善やメーカーとの交渉など、人が介在することでうまくいくケースも多い。
――Nuvonixについて詳しく教えていただけますか。
塚原氏 Nuvonixでは、オリジナル製品と完全互換性のある同等仕様の製品をそろえている。ジェネリック医薬品のようなイメージだ。主に中国メーカーが製造していて、ダイオードやMOSFETなどのディスクリートから、コンバーターICやパワーマネジメントICなどの半導体、受動部品、リレーなどの機構部品をラインアップしている。
一般的に数十年使用する産業機器のメーカーにとって、設計変更の負担が増えないよう、同等仕様の製品が安定的に長期供給されることは極めて重要になる。一方で、半導体/部品メーカーは機能を改善した新製品の提供に切り替えていくので、旧世代の製品は入手しにくくなっていく。Nuvonixはこうしたギャップを埋め、レガシー製品の長期供給のニーズに応えるブランドだ。オリジナル製品と完全互換性があるので容易に置き換えられる上に、短いリードタイムで供給できることも利点だ。Nuvonixの製品は非常に評判がよく、「サンプルをすぐ送ってほしい」と言われることも多い。
緊急調達で獲得した顧客にNuvonixを提案し、双方のビジネス拡大につなげるという好循環もできている。
今後はNuvonixの製品ラインアップについても、拡充を図っていく予定だ。
次の成長に向けた準備期間
――2023年の半導体市況をどう見ていますか。
塚原氏 コロナ特需が終わり、2023年の市況は厳しいと見ている。当社の業績成長のスピードも、やや落ち着くだろう。一方で、データセンターや、5G/6G(第5/第6世代移動通信)向けインフラの増設が進むなど、消費者からは見えない部分での投資は右肩上がりに増えている。2024年以降は回復基調になるのではないか。
日本に進出してからの約3年で、当社は緊急調達を軸に、飛躍的な成長を遂げてきた。半導体商社として、通常であれば数十年かかることを、わずか3〜5年で達成するほどの勢いとスピード感で事業拡大を行っている。この1年は市況も考慮し、2024年以降のさらなる拡大に向けた準備に注力していく。
提供:リバウンドエレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年2月9日
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