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日本回帰&グローバル戦略強化で高成長を継続するフェローテックフェローテックホールディングス 社長兼グループCEO 賀賢漢氏

日本回帰そして、グローバル展開を強化へ――。真空シールなど半導体等装置関連事業と、サーモモジュールなど電子デバイス事業を展開するフェローテックホールディングスは近年、積極的な増産投資により旺盛な需要に応え業績を急拡大させてきた。2022年からは投資先をこれまでの中国中心から、日本国内回帰、グローバル展開へと方針を変更。石川工場の拡張や熊本、マレーシアなどへの新工場建設を相次いで決め、積極投資をさらに加速させている。「事業成長を徹底追求する」というフェローテックホールディングス代表取締役社長兼グループCEO(最高経営責任者)の賀賢漢氏に事業戦略を聞いた。

» 2023年01月12日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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過去最高業績を更新へ

――2022年の市況、直近の業績はいかがでしたか。

賀賢漢氏 半導体市況は、2022年は8月までは大変好調だったが、2022年9〜10月あたりからは、米中貿易摩擦などの影響が生じメモリなど一部で市況悪化がみられた。ただ、当社の業績にはあまり影響はなく、2023年3月期中間業績は、売上高975億円(前年同期比63%増)、営業利益171億円(同60%増)と大きく成長し、過去最高値を更新した。

 事業別にみても、真空シールや石英、セラミックス、シリコンパーツなどを手掛ける半導体等装置関連事業、サーモモジュール、パワー半導体用基板などで構成する電子デバイス事業のいずれも過去最高売上高を更新し好調だった。

 2023年通期業績についても期初計画を上方修正し、売上高2000億円、営業利益340億円を見込んでいる。

――2023年の市況はどのように見られていますか。

賀氏 半導体デバイス/半導体製造装置市場ともに、マイナス成長が予想されており、2023年前半は調整局面が続き、2023年後半から回復していくとみている。

 米中貿易摩擦による市場の動向は注視していく必要はあるが、現時点で当社の事業には大きな影響は生じていない。来期2024年3月期を最終年度とする中期経営計画で掲げている売上高2300億円、営業利益400億円という数値目標は現状、変更しておらず、達成を目指していく。

2022年から「日本回帰」を打ち出し、国内への投資を積極展開

――米国による中国への規制強化が強まっています。

賀氏 2022年年初の段階で大きく事業方針を変更し、「日本回帰」「グローバル戦略強化」へとかじを切った。これまで増産投資は中国を中心に進めてきたが、これを改め、再び日本国内での生産増強を進めるとともに、グローバルでの生産体制を構築、強化することを決めた。

 既に日本国内では、セラミックス製品を製造する石川工場の第2工場が2022年秋に完成し、2023年夏ごろには第3工場の建設に着手する予定だ。また、シリコンアイランドと呼ばれ新たな半導体デバイス工場の建設が決まっている九州に、半導体製造装置向け部材製造/各種サービスを提供する拠点として熊本工場を新設することを決め、2023年には着工する。加えて、CVD-SiCを生産する岡山工場でも増産投資を行う他、これまで中国で実施してきた金属/メタル加工受託ビジネスを実施できる拠点を日本国内にも設ける方向で検討を進めている。

国内における主な増産投資の概要[クリックで拡大] 出所:フェローテックホールディングス

――グローバルでの投資計画はいかがですか。

賀氏 マレーシアで新工場を建設中で、2023年11月に竣工する予定になっている。マレーシア工場では、石英、セラミックスといった半導体製造用部材を生産し、東南アジアや日本、米国の半導体デバイスメーカー、半導体装置メーカーに供給していく計画だ。また金属加工受託ビジネスなどもマレーシア工場で提供できるようにしていく。

――中国への投資については、どのようにお考えですか。

賀氏 中国国内に大きな需要はあり投資は継続していく。石英や金属加工、サーモモジュールを手掛ける常山工場は22年に第2期拡張工事が完成し、23年には第3期拡張工事が完了する見込み。第3期の拡張が終われば新たにセラミックスやシリコンパーツ、CVD-SiCといった半導体装置向け部材を生産できるようになる。他にも、CVD-SiCの増産やパーツ洗浄サービス強化などに向けた投資を中国で実施している。

品質強化、人材強化、事業ポートフォリオ拡張に挑む2023年

――2023年に重点を置く事業テーマは何になりますか。

賀氏 1つは日本回帰を含めた「グローバル戦略強化」を継続して実施していく。グローバル戦略強化としては増産投資だけでなく、品質強化、効率化に向けて「デジタル化、自動化、見える化」の水平展開を進めていく。

 中国の生産拠点では、ERP(統合基幹業務システム)やMES(製造実行システム)をはじめとしたさまざまなシステム導入を進め、生産の見える化、効率化、品質の向上を図り、大きな成果を生み出してきた。こうした取り組みを日本やマレーシア新工場へと水平展開するとともに、自動搬送システムや自動倉庫システムなど自動化の投資も積極的に行い、生産性、品質向上を実現したいと考えている。

品質強化、生産効率向上に向けた取り組み[クリックで拡大] 出所:フェローテックホールディングス

 他にも人材育成や、電子デバイス事業などの拡大による事業ポートフォリオ強化などが2023年の主な事業テーマになる。

――事業ポートフォリオ強化に向けた施策を教えてください。

賀氏 電子デバイス事業では、採用用途の拡大が続いているサーモモジュール、世界的な省エネトレンドで需要が伸びるパワー半導体絶縁基板という2つの主力ビジネスを継続して伸ばしていく。サーモモジュールは、家電や光通信モジュール、医療機器と採用が広がり、今後は自動車向けでの採用拡大が見込まれる。すでに温調シート座席や加熱冷却機能付きカップホルダーなどで自動車への搭載が始まり、今後は各種センサやバッテリーなどの冷却用途での採用拡大を進めていく。パワー半導体基板についても自動車向けのAMB基板に期待している。

 さらに、電子デバイス事業では、2022年に株式の51%を取得し連結子会社化した大泉製作所のサーミスタ素子/温度センサの拡販を進めていく。温度センサについては自動車や空調機器向けで、サーミスタ素子については光通信分野での拡販を進めていく。サーモモジュールの販路も生かせる商材であり、連結子会社化による相乗効果を発揮したい。

主な事業ポートフォリオ強化策[クリックで拡大] 出所:フェローテックホールディングス

――2022年には東洋刃物を完全子会社化されました。

賀氏 事業ポートフォリオ強化の一環として完全子会社化した。東洋刃物は、スマートフォン用部品や自動車、段ボールなどさまざまな製造現場で使用される工業用刃物を手掛けてきた。完全子会社化に伴い、日本国内や中国での市場開拓を強化していく方針。大泉製作所、東洋刃物ともに今後、生産能力拡大や生産自動化に向けた投資を推進し、フェローテックグループとしてのシナジーを最大化させていく。

――今後の目標をお聞かせください。

賀氏 日本回帰、グローバル戦略強化を進めながら生産能力増強に向けた積極投資を継続し、需要拡大に応えていく。長期業績目標として掲げる2030年度(2031年3月期)売上高5000億円、当期純利益500億円に向けて、事業成長を徹底的に追求していく。

フェローテックホールディングス IR事業紹介動画 2022

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提供:株式会社フェローテックホールディングス
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2023年2月9日


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