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大きく変貌を遂げる「SEMICON Japan」 検査技術の新企画なども充実「ものづくり日本」の重要性を再認識する場に

半導体の製造技術から装置、材料、アプリケーションまでをカバーするエレクトロニクス製造の国際展示会「SEMICON Japan 2025」が2025年12月17〜19日、東京ビッグサイトで開催される。年々規模を拡大し、ことしは来場者数12万人を目指す。初開催のサミットや注目のセミナーなどについて、主催のSEMIジャパンで代表を務める浜島雅彦氏に聞いた。

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 半導体産業における製造技術や装置、材料からアプリケーションまでをカバーするエレクトロニクス製造の国際展示会「SEMICON Japan 2025」が2025年12月17〜19日、東京ビッグサイトで開催される。2024年は延べ来場者が10万人を超えるなど、年々規模を拡大しているSEMICON Japan。初開催のサミット「AI x Sustainability x Semiconductor Summit(AIS)」「Metrology & Inspection Summit(MIS)」や、最先端半導体やAI技術をテーマにした注目のセミナーなどについて、主催のSEMIジャパンで代表を務める浜島雅彦氏に聞いた。


AI/サイバーセキュリティが盛り上がった2025年

――SEMICON Japan 2024の盛り上がりはいかがでしたか。


浜島雅彦氏(以下、浜島氏) 2024年は延べ来場者数が10万人を超え、近年まれにみる大きな規模となった。多くの人が実際に集まって、実際の製品などを見ながら話せるのはリアルイベントならではのことで、産業界をさらに盛り上げられるイベントになったと感じている。

 半導体設計/検証をテーマに初開催した特別企画「Advanced Design Innovation Summit(ADIS)」や、半導体パッケージングや基板実装分野に焦点を当てた特別企画「Advanced Packaging and Chiplet Summit(APCS)」も好評だった。ことしも開催に向けて積極的に動いている。

――1年の終わりに開催されるSEMICON Japanですが、2025年は半導体業界にとってどんな1年でしたか。

浜島氏 とにかくAI/データセンター技術が盛り上がった1年だった。最先端の半導体であればあるほど、検査やパッケージングの重要性が高まってくるので、トレンドとしては前工程よりも後工程が脚光を浴びていると感じる。後工程ではどんどん新しいプロセスが開発され、実用化が進んでいる。

 加えて、サイバーセキュリティの重要性も際立った。サイバー攻撃で企業が業務を停止したニュースなどもあったが、半導体業界は工程が多く、サプライチェーンが長いので、中小企業に支えられる部分が大きい。大手企業だけが対策に取り組むのではなく、業界全体で危機感を持つ必要がある。SEMIジャパンでも、2025年7月から企業向けにサイバーセキュリティ対策の達成度を可視化する「サイバーセキュリティスコアリングサービス」を提供している。

検査/計測に焦点を当てたサミットを初開催

――SEMICON Japan 2025ではAIや検査工程に焦点を当てた初開催のサミットもあります。

浜島氏 AI Sustainability Semiconductor Summit(AIS)は、AIとサステナビリティに関わるプレイヤーが集まるスペシャルサミットだ。AIと半導体技術の革新による持続可能な未来の実現をテーマに、エネルギー効率向上や排出削減、サステナブルなサプライチェーンなど、業界の最先端課題への取り組みを議論する。「AI×サステナビリティ×半導体」は、SEMICON Japan 2025全体の開催テーマでもある。

 AI関連の企画は数年前から開催してきたが、ここまで盛り上がっている今、SEMICON Japanでも改めて注目すべくAISを立ち上げた。半導体業界、ひいては産業界全体が対応を問われているサステナビリティについても名前に掲げてフォーカスする。

 Metrology & Inspection Summit(MIS)には、検査や計測、測定分野のプレイヤーが集まって最新技術を展示する。加えて、デバイスメーカーや検査装置メーカーなどが最新の計測技術と今後の課題、進化の方向性などを語る講演セッションも予定している。

 かつては完成したチップを割って断面を解析するような破壊検査が行われていたが、今では非破壊で検査できるようになった。昨今は2nm世代などの最先端プロセスが注目を集めているが、それだけ微細なプロセスをつくるにはそれ以上に細かな測定技術が必要なので、検査/計測/測定は常に時代の先を行く分野だといえる。半導体の高性能化に貢献する大変重要な技術だが、直接的にデバイスを「つくる」技術ではないことから、重要度に対して認知度や注目度が高くない。半導体関連のイベントの中でも、この分野のプレイヤーが集結する企画はほとんどないのではないか。この企画を通して、こうした面白い世界があるということに注目してもらいたい。

 AIや先端半導体の材料動向を議論するカンファレンス「Strategic Materials Conference(SMC)」も、既に米国や韓国では開催してきたが、日本では初開催だ。

注目企業のエグゼクティブらが登壇する充実のセミナープログラムも

――注目のセミナープログラムについても教えてください。

浜島氏 開催初日の12月17日、西4ホール内の特設スペース「SuperTHEATER」にて、「グローバル半導体エグゼクティブサミット」を開催する。NVIDIAやimec、Micron Technology、Intelといった半導体のグローバルプレイヤーのエグゼクティブが一堂に会し、AIや半導体がどのように未来の社会と経済を形成していくか掘り下げる。

 同じく17日には「次世代半導体技術1〜デバイス編」と題したセミナーも開催する。メモリやロジック、AIチップといった最先端デバイスがテーマで、TSMCジャパン 3DIC研究開発センター センター長の江本裕氏らが登壇する。

 AI関連では開催2日目の18日、同じくSuperTHEATERにて、AIや生成AIの最先端技術に焦点を当てたセミナーを開催する。ここでは、OpenAIの元メンバーが立ち上げた注目のAIスタートアップ、Anthropicの日本法人社長である東條英俊氏、さくらインターネット 社長の田中邦裕氏らが登壇予定だ。

 最終日である19日のグランドフィナーレでは、「グリーン化」と「持続可能性」という大きなテーマを軸に、業界が直面する課題と新たな可能性を多角的に探る。Applied Materials CEOのGary Dickerson氏、東京エレクトロン 社長兼CEOの河合利樹氏らが登壇する。

――学生や若者向けの企画も充実していますね。

浜島氏 半導体業界の人材不足に向けた取り組みとして、毎年学生/若手社会人向けの企画には力を入れている。SEMICON Japanを通して正しい情報を得て、半導体業界に興味を持ってもらいたい。

 18日の16時からは「SEMI THURSDAY "WAKAMONO" NIGHT」と称して、学生や若手社会人を対象にした特別イベントを開催する。ここでは、業界のレジェンドや製造業系クリエイターのものづくり太郎氏を迎えた「SEMICON レジェンドトーク」、経済学者の成田悠輔氏による「成田悠輔の情熱ラボ」などの企画を用意している。

 学生限定のブースツアーも開催する。例年もブースツアーを行っているが、今回は夜の開催だ。昼間は学校があって来られない学生もいるほか、気になるブースがあっても商談をしているところに話を聞きに行くのは難しい場合もあるので、学生限定の時間を作った。出展企業からは若手社員が参加してくれるので、ぜひ交流してほしい。

重要性が増す「ものづくり」、日本はよいポジションに

――SEMIは世界各地で展示会を主催しているほか、日本国内でも多くの半導体関連展示会があります。その中でSEMICON Japanならではの特徴はどんなところですか。

浜島氏 他国の半導体業界と比べて、日本は装置や材料に強い。SEMICON Japanはそうした装置や材料からアプリケーションまで、サプライチェーンを全てカバーしているのが特徴だ。SEMICON Japan 2025に来てもらえば、半導体業界全体を見て感じてもらえるだろう。

 昨今はAIをはじめ、ソフトウェア技術にスピード感がある時代だが、ソフトウェアの開発が進むとハードウェア/ものづくりがまた重要になると思う。そうなると、日本はよいポジションを取れるのではないか。そこに貢献する展示会にしたい。

大きく変わったSEMICON Japan、「久しぶりの人にこそ来てほしい」

――来場者へのメッセージをお願いします。

浜島氏 いろいろな仕掛けを用意しているので、隅から隅まで見て楽しんでほしい。業界関係者と話していると「若いころはSEMICON Japanに行っていたが、最近は行っていない」という声も聞く。そうした人にとっては、単に装置や材料を展示しているというイメージがあるのだと思うが、アプリケーションやユースケースも含め、楽しめる展示やイベントが豊富だ。しばらく行っていないという人にこそ、大きく変わったSEMICON Japanをぜひ見に来てほしい。

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提供:有限会社セミ・ジャパン
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2025年12月16日

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