レゾナック25年Q3決算は91%減益、半導体は過去最高益も:黒鉛電極の悪影響いまだ拭えず
レゾナックは2025年11月13日、2025年12月期第3四半期の決算を発表した。半導体・電子材料セグメントが増収増益するも、他4セグメントが減収減益だったことから、連結業績は減収増益になった。
レゾナックは2025年11月13日、2025年12月期第3四半期(7〜9月)の決算を発表した。第3四半期連結(1〜9月)累計の売上高は前年同期比で430億円減の9863億円、営業利益(国際会計基準[IFRS]ではコア営業利益)は同40億円増(6%増)の728億円、純利益は同588億円減(91%減)の60億円だった。半導体・電子材料セグメントは販売数量が増加し好調だったが、モビリティやケミカルなどの他セグメントの不振により、純利益は減少した。
半導体・電子材料は好調も他セグメントの不調で減収
セグメント別に見ると、半導体・電子材料の売上高は前年同期比372億円増の3657億円、コア営業利益は同212億円増の740億円だった。コア営業利益は四半期単位で過去最高益を達成したという。うち前工程材料はNANDフラッシュメモリ需要の回復ペースが緩やかな中、排ガス処理装置事業の譲渡の影響などで減収した。一方、後工程材料は主にAIなど先端半導体向けの販売数量増により増収。デバイスソリューションは、HDメディアがデータセンター向け需要の回復によって販売数量増しつつも、炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウエハーは、電気自動車(EV)の成長鈍化によって横ばいだった。
モビリティの売上高は前年同期比176億円減の1321億円、営業利益が同19億円減の20億円だった。2025年12月期第1四半期(1〜3月)の二次電池外装材・食品包装材などの事業譲渡や、一部国内顧客の需要減が影響したという。
イノベーション材料の売上高は前年同期比36億円減の679億円、営業利益は同7億円減の81億円だった。自動車市場の低迷などで、一部製品の需要が減少したことが影響したとする。
ケミカルの売上高は前年同期比249億円減の1259億円、営業損益は同92億円減で74億円の赤字となった。化学品は炭酸ガスの数量増、一部製品の値上げなどで増収増益したが、グラファイトが黒鉛電極の市況低迷の影響を受けて販売数量、価格ともに下落。在庫の評価損影響もあって、赤字が拡大した。
クラサスケミカル(石油化学事業)の売上高は前年同期比197億円減の2228億円、営業利益は同18億円減の33億円だった。ナフサ価格下落に伴う販売価格下落、在庫受払差の悪化によって減収減益したという。
2025年12月期の連結業績予想は、同年2月13日発表のものに対して順調に推移しているため、売上高1兆4220億円、営業利益980億円、純利益260億円のまま据え置いた。
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