顧客の設計を止めない――EOL品の長期継続供給を支えるRochesterの新プログラム:Rochester Electronics EVP Colin Strother氏/日本オフィス代表 藤川博之氏
Rochester Electronics(ロチェスターエレクトロニクス)は、ミッションクリティカルな半導体製品に向けた新しいライフサイクルアシュアランスプログラム「TLS(Through Life Support)360」を発表した。EOL(End of Life)後も、業界標準に基づいたライフサイクル管理を行うことで、半導体製品の長期的な継続供給を実現する。Rochester Electronics エグゼクティブバイスプレジデントのColin Strother氏と日本オフィス代表の藤川博之氏に、TLS360の詳細を聞いた。
EOL市場は加速傾向に
――直近のEOL(End of Life)市場の状況はいかがでしょうか。
Colin Strother氏 半導体メーカーにおける製品ライフサイクルの終了ペースが加速している。半導体市場全般を見ると、AIやデータセンター分野は著しく成長している一方で、自動車や産業機器の分野ではここ数年、市況低迷が続いている。これに伴うメーカーの生産能力の縮小や、半導体業界におけるM&Aにより、EOL化の動きが進んでいる。これは、顧客にとって大きな課題だ。われわれの中核ターゲットである産業機器市場では、半導体デバイスは、数十年にわたる継続供給が求められるコンポーネントだからだ。より多くのEOL製品を、より迅速に継続供給することが、当社に強く求められるようになっている。
「TLS360」のプログラムを開始
――そうした中、Rochester Electronicsは「TLS(Through Life Support)360」というプログラムを発表しました。これはどのようなプログラムなのでしょうか。
Strother氏 ミッションクリティカルな半導体製品ファミリーを対象にした、ライフサイクルアシュアランスプログラムだ。オリジナル半導体メーカーから提供される製品がEOLのマイルストーンに到達した後も、Rochester Electronicsが、JEDECの業界標準に基づいたライフサイクル管理を適用し、継続供給を行う。具体的にはステータスをJEDEC準拠の「Active(定義されたライフサイクル管理の下で受注可能)」に維持したまま供給する。これにより顧客は、設計の変更や代替部品の調達に追われることなく、より長期間にわたって製品の生産を継続できるようになる。
――TLS360のプログラムを開発した背景をお聞かせください。
Strother氏 最大の目的は、サプライチェーンのどの段階においても、顧客(設計者)が正規の供給元からコンポーネントを入手できるようにすることだ。
Rochester Electronicsは、オリジナルメーカーのライフサイクルではEOLとなった製品を、メーカー認定の下で供給継続/再生産してきた。例えばIntelの軍事/防衛向け半導体の一部の製品は、1990年代にEOLとなった後も30年間以上、当社の工場で生産され正規品として供給されている。設計者が最も重視するのは、自身が使用しているデバイスがEOLとなった後も、正規品として長期にわたり安定供給されるかどうかだ。顧客の要求を聞きながら、長い時間をかけてTLS360の構想を練り上げ、プログラムとして形にしていった。
藤川博之氏 日本でも、EOL品について、より分かりやすい形での継続供給を保証するツールやソリューションが欲しいという声は以前から多く寄せられていた。顧客側でも、中長期的な視点で部品調達の戦略を立てる必要性が、従来以上に高まっているからだ。
TLS360では、顧客にとって理解しやすく、透明性と信頼性の高いライフサイクルソリューションとして提供するために、当社独自の定義ではなく、JEDEC準拠のライフサイクル定義/ステータスを採用した。
これまでは、EOL品が正規品として継続供給されるかどうかを顧客側で把握しづらく、問い合わせも多かった。TLS360でステータスが「Active」と表示されていれば、顧客はそのデバイスが今後も安定的に供給され、かつ業界標準に基づいた形でライフサイクル管理が適用されることをすぐに判断できる。
まずは置き換えが難しい10製品が対象に
――TLS360の対象となっている製品例を教えてください。
Strother氏 Analog DevicesのRF/高周波製品や、Texas InstrumentsのDSP「TMS320」、Infineon Technologiesの8ビットおよび16ビットマイコン、NXP Semiconductorsのプロセッサ「QorIQ Pシリーズ」など10製品ファミリーが対象になっている。いずれも他製品への置き換えが難しいミッションクリティカルなデバイスだ。各製品にはMicro(1〜3年)、Mid(4〜6年)、Max(7年以上)という3つのライフサイクル期間*)が割り当てられている。対象製品ファミリーは、今後必要に応じて増やしていく。
*)Micro(1〜3年):正規在庫を中心とした、短期的な計画に基づく供給
Mid(4〜6年):戦略的な在庫および、再生産ソリューションも含む計画(メーカーに認定されている場合)
Max(7年以上):再生産ソリューションを含む、長期的な継続性の確保(メーカーに認定されている場合)
――ライフサイクル期間の割り当ては、どのようにして行われるのでしょうか。途中で変更される可能性もありますか?
Strother氏 当社が割り当てを行う。サプライヤーのデータや過去のライフサイクル傾向、在庫状況、製造状況、メーカーのPCN(Product Change Notification:製品変更通知)情報など、膨大なデータをエージェント型AIで分析し、そこから得られたインサイトも活用しながら、ライフサイクル期間を判断している。ライフサイクル期間については、明確な管理プロセスを通じて定期的に見直しを行う予定だ。
――TLS360は有償プログラムでしょうか。
Strother氏 有償プログラムではない。顧客には、自身が使用しているデバイスがTLS360の対象製品かどうかを確認し、情報通知の登録などを行う必要はあるが、TLS360そのものを有償化することは考えていない。
顧客の製品設計/製造を止めない
――Rochester ElectronicsがTLS360を提供する意義をお聞かせください。
Strother氏 TLS360の最大の目的は、顧客の設計/製造を止めないことにある。ミッションクリティカルなコンポーネントが必要になった際、われわれが確実に供給できる仕組みを構築する。顧客にとって、新たな半導体を使って製品を再設計することは大きな負担だ。TLS360の登場によって、顧客は再設計に時間や労力を費やすことなく、エンジニアリング面でも調達面でも、本来注力すべきイノベーション創出に集中できるようになる。1981年の創立以来、EOL品の継続供給を専門に手掛けてきたわれわれだからこそ、提供できるプログラムだと確信している。
提供:Rochester Electronics, Ltd.
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2026年9月17日
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