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Linux搭載の腕時計型コンピュータ「WatchPad」(1/2 ページ)

日本IBMとシチズン時計が、Linuxを搭載した腕時計型コンピュータ「WatchPad 1.5」を開発した。OSにLinuxを採用している点や、Bluetoothによる通信機能、本人認証を行う指紋センサーなどが特徴となっている。

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 日本IBMとシチズン時計は2001年10月11日、Linuxを搭載した腕時計型のコンピュータの試作機「WatchPad 1.5」を開発したと発表した。IBMの研究開発部門であるIBMリサーチと、シチズン時計の技術開発部門の協業によるもの。OSにLinuxを採用している点や、Bluetoothによる通信機能、本人認証を行う指紋センサーなどが特徴となっている。

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腕時計型のコンピュータ「WatchPad」

 IBMリサーチは、昨年10月のLinuxWorld(2000年10月31日の記事参照)や、今年3月のCeBIT(2001年3月24日の記事参照)などで、Linux搭載の腕時計型コンピュータを参考出展している。

 実は、この時のモデルが第1世代のWatchPadでバージョン“1”に当たるのだが、当時はWatchPadの名称は使われず「Linuxウオッチ」と呼ばれていた。理由は「この時の試作機はハンドメイドによるもので、世界に2つしかなかった」(日本IBM)ため。つまり、本当にプロトタイプだったので、あえてWatchPadの名称を使わなかったのだという。

 今回発表したWatchPadはバージョン“1.5”。第2世代ではないが、“1”よりは製品版に近いものに仕上がっている。

 ボディは直線を生かしたいわゆる“IBMっぽい”デザインとなっている。近未来的なイメージだが、少々無骨さが感じられるのも否めない。実はシチズン時計がデザインした別バージョンもあるということ。腕時計の専業メーカーが作るWatchPadもぜひ見てみたいものだ。シチズンデザインのモデルも、近日中に公開される予定だという。

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直線を生かしたIBM風デザイン。大きさも含めて、女性が装着すると無骨感は否めない

 ボディサイズは、46(幅)×65(奥行き)×16(高さ)ミリで、重さは43グラム。「試作機なので決して触れないで下さい」と念を押されたので、実際に装着することはできなかったが、スペックで見ると、普通の腕時計と比べるとやや大きいものの、重さは腕時計としては軽い部類だ。メタル製の腕時計が150グラム前後であることを考えると、装着していて重さで疲れるということはなさそうだ。

 通信機能としてBluetoothモジュールを内蔵するほか、IrDAやRS-232C(クレードル経由)もサポートする。通信モジュールは本体上部とバンド部に埋め込まれている。Bluetoothのバージョンは1.1で、音声通信に対応している。

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WatchPadの上部に各種通信モジュールを内蔵している

 これら通信機能を使って、プレゼンテーションのリモコン操作に使ったり、PCに近づくとイベントが始まるといった応用が可能となる。会場ではWatchPadでサーバを操作し、英文が翻訳サーバを経由して日本語に翻訳され、Bluetoothを介して腕時計にまで届けられるというデモンストレーションが行われた。

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発表会のプレゼン操作は、WatchPadの通信機能を使って行われた

 WatchPad 1.5は、Linuxの最新カーネルとなるバージョン2.4を採用している。Linuxベースによる開発のメリットは「ライセンスフリーなのでローコストで搭載できる。また、世界中のトッププログラマがLinuxに携わっているので、最も信頼性が高くセキュアなOSだといえる」(日本IBM)。

 会場では、Linuxのブート画面を表示するデモが行われたが、ブート時の8×8ピクセルの文字になるとWatchPadの画面では小さすぎて判読が難しい。「実際の操作画面では、MicrowindowsによるGUIを使うのでもっと見やすくなる」(同社)。

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Linuxのブート画面。8×8ピクセルの文字は、さすがに読めない

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