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「450mmウエハーに移行すべき」、インテル社CEOが業界に再度働き掛けるビジネスニュース 業界動向

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 半導体業界の一部で450mmウエハーへの移行に対して若干の抵抗がある中、米Intel(インテル)社は450mmウエハー対応技術の開発に積極的に取り組んでいる。同社の社長兼CEO(最高経営責任者)であるPaul Otellini氏は、今後、半導体製造装置業界に対して、協調を呼び掛けていく意向を明らかにした。

 その一環として同社はすでに、早ければ2012年までに、450mmウエハーに移行するように、半導体業界に対して働き掛けている。すでに発表されている通り、Itel社の後押しを受けて、半導体製造技術関連のコンソーシアムであるInternational Sematechでは、450nmウエハーへの移行を円滑に進める計画を立案中だ。しかし、この発表が物議を醸し出しており、半導体製造装置業界と一部の半導体メーカーの関係に亀裂が生じ始めている。さらに、「一体誰が開発費を負担するのか」、「そもそも450nmウエハーへの移行は必要なのか」という議論が再燃している。

 しかし、2007年11月12日にIntel社が開催した45nmプロセッサ「Penryn」の記者発表会でインタビューに応じたOtellini氏は、半導体チップ製造のコスト・カーブを維持するために450mmウエハーへ移行することに対して、同社は依然として「高い関心がある」とコメントした。同氏は、「当社はまだ、450mmウエハーへの移行時期を決めていない」というが、対応する製造装置開発については「半導体製造装置業界と敵対するのではなく、共同して開発を進めたい」との意向を示した。Intel社が次世代ウエハーに移行することを決定すれば、同社に製造装置を供給するメーカーの多くは450mmウエハー対応装置の開発を余儀なくされるだろう。その中には、米Applied Materials社やオランダのASM International社、日立ハイテク、米KLA-Tencor社、ニコン、米Novellus社、米Varian社などが含まれる。

 こうなると、450mmウエハーに対応した半導体製造装置の開発費を誰が負担すのかが問題になってくる。半導体製造装置メーカーは、開発費の負担に対して懸念を示している。しかも、すべてのメーカーではないが、ほとんどのメーカーが投資回収の見込みはほとんどない、もしくはまったくないと考えている。しかし、半導体チップ・メーカーが研究開発費のほとんどを負担することになれば、話は別だ。半導体製造装置メーカーは450mmウエハー対応装置の開発に喜んで取り組むだろう。

 これまでIntel社は、製造装置開発に対して多額の出費を惜しまない企業として知られている。例えば、同社の技術製造部門でシニア・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネジャーを務めるWilliam Holt氏は「当社は、300mmウエハーに対応した製造装置の開発に巨額を投じた」と明言している。しかし、今回開催された記者発表会でのインタビューでは、450mmウエハー対応製造装置の開発費をすべて負担しないことを同氏は遠回しにほのめかした。同氏は「450mmウエハーは、半導体チップ業界にコスト効果をもたらすものだ」と述べ、そのためにも「450mmウエハーに移行すべきだ」と強調した。

 今回のIntel社の記者発表会では、45nmプロセッサ群が公開された。具体的には、漏れ(リーク)電流の低減に向けて高誘電率(High-k)材料を採用した45nmプロセス技術で製造したプロセッサ「Penrynファミリ」の第1弾となる16品種である。同社の最大のライバルである米Advanced Micro Devices(AMD)社をはじめとする競合他社が45nmプロセッサの量産を始めるのは、まだ数カ月も先になるとみられている。量産開始当初から、高誘電率材料を使用する半導体チップ・メーカーも多くはない。同社のOtellini氏は「45nmチップの製品化に成功したことで、現在当社が独走態勢にあることが明らかになった」と自信をのぞかせた。実際に同社は、新工場建設計画や投資効率改善計画を打ち出し、45nmチップへの大転換を図ろうとしている。

 Intel社は現在、45nmプロセス技術に対応した300mmウエハー処理工場を少なくとも4つ保有している。まずは、オレゴン州ヒルズボローにあるD1D工場で、45nmチップの量産に着手する予定である。2007年末には、アリゾナ州チャンドラーにあるFab 32工場でも、45nmチップの量産を開始する見込みだ。さらに、2008年後半には、イスラエルにあるFab 28工場と、ニューメキシコ州にあるFab 11x工場の2カ所でも45nmチップの製造が始まるとみられている。

(Mark LaPedus:EE Times)

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