スウェーデンEricsson Mobile Platforms社とスイスST-NXP Wireless社の合併によって誕生した、無線通信分野の巨大半導体企業が始動した。新社名は「ST-Ericsson」。本社はスイスのジュネーブに置く。スウェーデンEricsson社とスイスSTMicroelectronics社が50対50の比率で出資する。
この新社名は、Ericsson Mobile Platforms社とST-NXP Wireless社の合併が2009年2月初旬に完了したことを受けて発表された。ST-NXP Wireless社は、オランダNXP Semiconductors社とSTMicroelectronics(ST)社が無線通信チップ事業を統合した合弁企業で、2008年8月に、スウェーデンEricsson社の傘下で携帯電話機向けプラットフォームを手掛けるEricsson Mobile Platforms社と合併すると発表していた。
ST社は2008年8月の時点で、Ericsson Mobile Platforms社との合弁事業の展開に先立ち、NXP社が保有するST-NXP Wireless社の株式20%をNXP社からすべて買い取ると表明していた。このため今回発表された新社名には、予想通り「NXP」の名称は含まれなかった。
新会社であるST-Ericsson社は約8000人の従業員を擁し、世界の携帯電話機メーカー上位5社のうち4社の主要サプライヤとなる。主要な顧客企業として、フィンランドNokia社、韓国Samsung Electronics社、韓国LG Electronics社、シャープなどが名を連ねる。このほかにも多くのOEM企業やODM企業との契約、もしくはパートナシップ関係を構築している。半導体業界の無線通信分野において、強大な勢力となるだろう。
新会社は、2008年における2社の売上高の合計である約36億米ドルでスタートする。手元資金は約4億米ドル。ファブレス半導体企業として運営され、STMicroelectronics社やほかのサードパーティ・ファウンドリの半導体プロセスや組み立て、テスト、パッケージングといった製造設備を利用する予定である。
ST-Ericsson社でプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるAlain Ducheil(アラン・デュティ)氏は、声明の中で、「ST-Ericsson社には、これまでに蓄積した経験、独自のポートフォリオ、大手携帯電話機メーカーとの長年にわたる協力関係がある。そして、成功に不可欠な4つの基本要素を持っている。その4つの基本要素とは、革新へのコミットメントと無線通信ソリューションに向けた完全なポートフォリオ、信頼できるパートナ企業としての確固たる評価、そして業務遂行のための経験豊かな経営陣である」と述べた。さらに、「顧客企業の成功を後押しする技術に投資し、市場へと展開することができる能力を備えている」と強調した。
従業員のうち約85%はR&D(研究開発)に従事する予定で、今後もこれまでと同様にモバイル・マルチメディア向けIPやデバイス、そしてGSM、EDGE、W-CDMA、HSPA、TD-SCDMA、LTEなどのさまざまな通信方式に向けたリファレンス設計を含むプラットフォーム・ソリューションの開発を進めていくという。
同社のマルチメディア・プロセッサやアプリケーション・プロセッサの製品ラインアップは、いずれも主要OSに対応している。また無線接続機能やブロードキャスト機能としては、BluetoothやFM、GPS、無線LAN、NFC(Near Field Communications)、USBに対応している。
経営陣には、ST-NXP Wireless社でプレジデント兼CEOを務めていた前出のAlain Dutheil氏を筆頭に、エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CEO代理のRobert Puskaric氏、製品担当シニア・バイス・プレジデントのTommi Uhari氏、業務および品質管理担当バイス・プレジデントのAbhijit Bhattacharya氏、第2世代携帯電話機・無線接続機能担当バイス・プレジデントのMarc Cetto氏、ワイヤレス・マルチメディア担当バイス・プレジデントのMonica De Virgliis氏、モバイル・プラットフォーム担当バイス・プレジデント兼CTO(採鉱技術責任者)のJorgen Lantto氏、セールス担当バイス・プレジデントのPascal Langlois氏などが名を連ねている。
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