太陽光発電ロードマップが更新、変換効率目標を前倒し、グリッドパリティ達成は「2010年以降」:エネルギー技術 太陽電池
NEDOが発表した「PV2030+」は従来版の「PV2030」から、3点を修正した。2050年までの見通しを追加したこと、実用モジュールの変換効率の目標値達成年を従来より前倒ししたこと、グリッドパリティについて、従来よりも目標設定を曖昧にしたこと、である。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2050年までの太陽光発電に関するロードマップ「PV2030+」を公開した(図1)。
2004年に策定された従来のロードマップ「PV2030」との違いは主に3点ある。
まず、策定後の原油価格高騰や地球温暖化対策の進展を受け、これまで2030年までを対象としていたロードマップに、2050年までの見通しを追加したことだ。例えば、2050年時点では「超高効率モジュール」を使うことで太陽電池の変換効率を40%にまで高めることを目標とした。この時点で発電コストは7円/kWh以下にまで下がると想定し、日本国内の1次エネルギ需要の5〜10%を担う汎用電源として利用される見込みだとした。
次に、実用モジュールの変換効率の目標値達成年を従来より前倒ししている。PV2030では2020年時点の変換効率目標として、多結晶Si(シリコン)太陽電池を19%(セルの変換効率は25%)とした他、薄膜Si太陽電池は14%(18%)、CIS(銅インジウムセレン)太陽電池は18%(25%)、色素増感太陽電池は10%(15%)、超高効率太陽電池は25%(45%)としていた。
これを今回、3年前倒し、2017年に達成するとした。多結晶Si太陽電池については目標数値も高め、2017年に20%(25%)とした。この他新たに有機系太陽電池の目標を定め、10%(12%)としている。
最後に、家庭用電力並みの発電コストを達成するグリッドパリティについて、従来よりも曖昧な目標設定を定めた。PV2030ではグリッドパリティ達成に必要な23円/kWhという発電コストを2010年に達成するとし、2020年には14円/kWhに、2030年には7円/kWhまで下がるとしていた。今回のPV2030+では2020年と2030年の目標値は変えていないが、23円/kWhを達成する時期の表現を「2010年以降」に変更している。
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