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LucidPort社と富士通マイクロエレがUSB3.0対応LSIを発売高速シリアルインタフェース技術 USB3.0

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 USBインターフェースの次世代規格「USB3.0」に準拠したLSIが次々に発表されている。USB3.0は高速な相互接続が可能であり、民生用大容量記憶装置に向けた規格である。

 2009年7月、米LucidPort Technology社(図1)と富士通マイクロエレクトロニクスはそれぞれ、ハードディスク装置(HDD)やフラッシュ・ドライブに向けて、USB3.0とシリアルATA(SATA)間の相互接続を確保するブリッジLSIを発表した。両社はいずれも、高速なデータ伝送を可能とする「Super Speed」モードを備えたUSB3.0規格が、外付けドライブや民生用大容量記憶装置の新クラスに最適だと考えているようだ。2010年初頭には搭載機の出荷開始が予定されている。

図1
図1 米LucidPort Technology社の「USB300」
出典:米LucidPort Technology社

 両社がそれぞれ発表したブリッジLSIは、1.5Gビット/秒と3.0Gビット/秒のSATAインターフェースに広く対応しするため、さまざまな種類の機器と接続できる。さらに、AES(Advanced Encryption Standard)に則ったデータの暗号化も可能だ(図2)。現段階では、少なくとも2社、米Faraday Electronics社と米PLX Technologies社が、同様のブリッジLSIを製造するとみられている。

 両社のLSIは、USB3.0規格に対応する半導体製品の第一弾とも言える。2009年前半だけで少なくとも3社のベンダーが、USB3.0に準拠した物理層(PHY)コントローラを発表している。

図2
図2 富士通マイクロエレクトロニクスの「MB86C30A」の機能

 2010年初頭には、USB3.0インターフェースを搭載し、理論上は最大5Gビット/秒のデータ伝送速度を実現するパソコンの出荷も見込まれている。従来のUSB2.0規格で達成可能な最大480Mビット/秒の伝送速度と比べると桁違いの速さだ。

 富士通マイクロエレクトロニクスはすでにさまざまな展示会で、USB3.0の動作デモを行っている。デモでは、ホスト側のパソコンに米Fresco Logic社のホスト・コントローラ、機器側には富士通マイクロエレクトロニクスが設計したFPGAを使用して、200Mバイト/秒のスループットを実証した。同社はこのLSIを利用して、最終的にはアプリケーション層で最大300Mバイト/秒のスループットを目指すという。

 一方、LucidPort社が2009年7月23日に発表した「USB300」チップは、標準的なWindows用マスストレージ・ドライバ(デバイス・ドライバ・ソフトウエア)を使用した場合、最大210Mバイト/秒のスループットに対応する。「USB Attached SCSI」クラスに向けたドライバを使用すれば、データ伝送速度をさらに高速化できるという。

 米Fujitsu Microelectronics of America社でbusiness development for embedded systemsのディレクタを務めるDavy Yoshida氏は、「65nmプロセス技術で開発した当社のブリッジLSI『MB86C30A』は、USB3.0用とUSB2.0用に異なるシリコン・ブロックを搭載する。その理由としては製品開発時間の短縮が挙げられるが、それだけではない」と話す。

 「当社のUSB2.0 PHYマクロはすでに試験済みかつ実証済みであるため、確実に動作することが保証されている。しかも、PHYマクロを2つ使用しても、チップ・サイズはほとんど変わらない。将来的には、この2つのPHYマクロを統合する可能性も考えられるが、現時点では、当社に限らず競合他社も、統合すべきではない、と考えている」と同氏は続けた。

 富士通マイクロエレクトロニクスは、2009年9月までに同LSIの量産出荷を予定している。現在サンプル出荷であり、単価は10米ドルだ。同社は、USB3.0インターフェースが今後、デジタル・カメラや携帯電話機にも採用されると見込んでいるようだが、これらの機器に向けたLSIの製品化計画についてはコメントを避けた。

 2009年末に向けてUSB3.0関連の各種の半導体製品が登場するだろう。それに続いて、USB3.0を利用した機器が2010年上期に販売を開始する見込みだ。現在、USBを採用した機器は26億台も存在する。市場調査会社によれば、このうち、5億台が2012年までにUSB3.0に置き換わるという。

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