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【CEATEC2009】TDKが世界最高のHDD記録密度、次世代媒体を使い達成メモリ/ストレージ技術 HDD

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 TDKは、次世代ハード・ディスク装置(HDD)の記録媒体と見られる「ディスクリート・トラック・メディア」を使用し、世界最高となる927Gビット/インチ2を達成した。エレクトロニクスの総合展示会「シーテック ジャパン 2009(CEATEC)」(2009年10月6日〜10日に幕張メッセで開催)にメディアを展示して、来場者に技術の詳細を説明している(図1)。

 ディスクリート・トラック・メディアは、円周状の非磁性体領域を媒体上に形成し、隣り合う記録トラックをこの非磁性体で分離し、磁気の干渉を防ぐ。TDKは今回、垂直磁気記録媒体に非磁性体パターンを形成したテスト用媒体と、TMR(Tunneling Magneto Resistive)ヘッドを使い、3600rpmで媒体を回転させた状態で927Gビット/インチ2を達成した。

図1
図1 TDKが展示しているディスクリート・トラック・メディア
光を当てると特徴のある模様が浮かび上がる。

 同社テクノロジーグループSQ研究所副所長で、次世代ヘッド開発グループリーダーを務める野口潔氏は「ヘッドと媒体の組み合わせはまだ研究中であり、最適な組み合わせは分かっていない、さらなる記録密度向上の余地は十分にある」と語った。

 さらに、同社は熱アシスト記録方式を採用したヘッドを試作し、記録媒体への書き込みに成功している(図2)。熱アシスト記録では、半導体レーザーを媒体に照射して、記録面の温度を上げる必要があるが、同社はHead Gimbal Assembly(HGA:ヘッドとそれを保持するアームなどをセットにしたもの)にレーザー照射機構をすべて搭載した。

図2
図2 レーザー照射機構を統合したHGA
ヘッドから出るレーザーでメディアを熱する。

 野口氏は「他社の実験では、レーザー照射機構をHGAとは別に用意しているが、HGAにすべてを統合しなければ製品化は難しい」と述べ、同社の優位性をアピールした。媒体は垂直磁気記録方式に対応し、現在標準的なHDDで使われている媒体に比べて磁力を保つ力(保磁力)が3倍程度高いものを使用した。この媒体を7200rpmで回転させながら、記録に成功したという。

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