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三洋電機がノート・パソコン向け2次電池セルを集積した大容量電池モジュールを開発エネルギー技術

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 三洋電機は、2009年11月13日、ノート・パソコンなどに用いる円筒型のリチウムイオン2次電池セルを多数用いて大容量化したモジュール2製品を発表した(図1図2)。2010年1月からサンプル出荷を開始し、2010年3月からOEMを中心とした量産出荷を始める。

 今回両製品に内蔵した円筒型セルは、外形寸法が直径18mm×高さ65mmであることから「18650」と呼ばれる。18650セルを用いた理由は、民生機器向け市場でこれまでに性能が十分確認できており、車載向けの専用電池としても利用できる安全性が確保されているためとした。同社は角形のセルも製造しているが、円筒形セルの方が容量当たりのコストを低く抑えられるという。

図1
図1 動力向けの「EVB-101」
サンプル価格は15万〜20万円。手前中央と右が放電用端子。手前左が充電機能と通信機能を一体化した専用端子。
図2
図2 蓄電向けの「DCB-101」
サンプル価格は40万〜50万円。手前両脇の銀色の部分が充放電用端子、中央に2基のイーサネット端子が見える。

 「EVB-101」は電動バイクなどの動力用に向けた製品である。ただし、乗用車などへの採用は想定していない。外形寸法は366mm×213mm×66mm。重量は約7kg。18650セルを14直列6並列で接続した。出力電圧は平均50.4V(42V〜57.4V)、出力ピーク電流は120A、最大連続電流は35A、電池容量は10.8Ahである。

 「DCB-101」は太陽電池システム用の蓄電やバックアップ電源に用いることを想定した製品。充電制御回路を内蔵しているため、既存の直流電源を用いて充電でき、鉛蓄電池の置き換えにも向くという。形状は438mm×386mm×80mmであり、サーバー向けの汎用19インチ・ラックに収まるとした。ラック上では2U分の高さを占める。重量は約19kg。18650セルを13直列24並列で接続した。出力電圧は平均48V(39V〜52V)、出力電流は最大30A、電池容量は33.6Ahである。

 両製品とも電池を利用する機器側との通信インターフェースを備えており、電池寿命(充放電回数)などの自己診断も可能であるとした。

 同社は18650サイズのリチウムイオン2次電池を5系列に分けて展開している(図3)。それぞれエネルギ密度(容量)とパワー密度(出力)が異なっており、用途に応じて選択する。

図3
図3 円筒型18650セルの品種展開
エネルギ密度とパワー密度に応じて5種類の品種に分かれる。今回採用したのはUR18650Y(緑)とUR18650E(紫)である。

 今回は、動力用のEVB-101には「UR18650E」を使った。「UR18650E」は極板面積などを改良することで内部抵抗を抑えた品種である。蓄電用のDCB-101には「UR18650Y」を利用した。「バックアップ電源用途としてはUR18650Uの方が性能が高いが、正極材料のCo(コバルト)の使用量が多いため、コスト高になる。このため、今回はUR18650Yを採用した」(三洋電機モバイルエネジーカンパニービジネス開発統括部HVSビジネス開発部BUビジネス開発課で課長を務める有澤謙二氏)。

 いずれも重量エネルギ密度は117Wh/kg、体積エネルギ密度は300Wh/lである。「重量エネルギ密度などは、ノート・パソコン用の品種(UR18650ZT)よりも低い。これは蓄電用では電池寿命を約2倍の700〜1000回に高めるためであり、動力用ではパワー密度が必要だったからである」(同氏)。

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