スマートフォン・メーカーに関する7つの予測、2010年は優勝劣敗が明確に:ビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)
米Apple社や米Motorola社、フィンランドNokia社、米Palm社、韓国Samsung Electronics社などのメーカーが、続々と新しいスマートフォンを発売している。これらの新製品の2010年の売れ行きはどうなるのだろうか。
最近、米Apple社や米Motorola社、フィンランドNokia社、米Palm社、韓国Samsung Electronics社などのメーカーが、続々と新しいスマートフォンを発売している。これらの新製品の売れ行きはどうだろうか。そして、スマートフォン市場において米Google社は何を狙っているのか。アナリストの見解と予測を見てみよう。
予測その1:iPhoneの勢いに急ブレーキ
米国の投資銀行Lazard Capital Markets社でアナリストを務めるDaniel Amir氏は、米Apple社のiPhoneについて「最新の調査によれば、2009年10月のiPhoneの出荷台数は、2009年9月比で80%増となる540万台にも上り、iPhone史上最高の販売台数を達成した。このうち110万台が『iPhone 3G』で、430万台は『iPhone 3GS』(図1)だった」という。しかし、同氏は「2009年11月のiPhoneの出荷台数予測は2009年10月と比べて40%減となり、12月はさらに14%減少するなど、季節変動に伴う減少が続く」とiPhoneの勢いが止まりつつある傾向を指摘した。
さらに同氏は、「2009年第4四半期のiPhoneの総出荷台数は、第3四半期比で40%増、2008年第4四半期比で160%増となる1100万台となる見込みだ。しかし、2009年第4四半期のiPhoneの実売台数は約750万台と見られる。中国China Unicom社は2009年10月にiPhoneの販売を開始したが、中国政府の規制によって無線LAN機能を無効にせざるを得なかった上、小売価格も高くなってしまったため、出荷前の期待ほどは売れなかった。このような事情から、総出荷台数に比べて実売台数が伸びなかったと見られる」と分析した。
iPhoneの中国での発売は失敗と言わざるを得ない。これまでのところ、同社が販売したiPhoneの大半は、販売奨励金を目当てとする従業員自らが購入したものだった。中国でのiPhoneの販売不振を受け、Apple社は今後、値下げに踏み切ると予想される。しかし、中国ではWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)ネットワークが十分に整っていない。さらに、China Unicom社は魅力的な料金プランを用意できていない。このような問題が、中国でのiPhoneの売上高向上に対する逆風になっている。
2010年第1四半期の総出荷台数について同氏は「2009年第4四半期比で35%減の720万台になりそうだ。もっとも、この数字は2009年第1四半期と比べれば90%増だ。1年の間に大きく成長したが、その勢いが止まりつつあるということだろう」と語った。
予測その2:WCDMA/CDMA2000両対応のiPhoneが登場する
今のところ、iPhoneにとって2010年はあまり良くない年になりそうだが、Apple社も無策でいるわけではないようだ。投資情報サービスを提供する米Northeast Securities社でアナリストを務めるAshok Kumar氏は、iPhoneについて次のように語っている。「Apple社のサプライチェーンを調べたところ、同社が2010年夏頃に米Verizon Wireless社からWCDMAとCDMA2000の両方の通信方式に対応するiPhoneを発売する兆候が見えた。Verizon Wireless社は通信方式としてCDMA2000を採用しているため、これまでiPhoneを販売するチャンスがなかった。このiPhoneは、米Qualcomm社が開発した携帯電話機向けチップを搭載し、世界中で使える」。同社は、これを契機に、さらに多くの携帯電話事業者と販売契約を結び、シェア拡大を図る方針と見られる。
予測その3:Motorolaの「Droid」は失敗
米Motorola社は2009年11月6日、Android 2.0を搭載したスマートフォン「Droid」をVerizon Wireless社から発売した。Kumar氏のDroidに対する見方は厳しい。「私たちは以前、Droidは模倣品のようなものであり、購入者は失望するだろうと述べた。当社の調査によれば、Verizon Wireless社が発売するDroidの売上は、発売直後と比べると明らかに下降している」。
同氏はまた「発売時の興奮が落ちつけばDroidは、続々と増えているAndroid搭載スマートフォンの中に埋もれていく。2010年にVerizon社がiPhoneを発売すれば、Motorola社の戦略は失敗に終わるだろう」と予測する。
予測その4:Nokia社の苦難は続く
携帯電話機の販売台数が急減し、2009年第3四半期には赤字に陥るなど、Nokia社は今、苦境にあえいでいる。Kumar氏は、Nokia社が直面する苦難について「低価格品種に注力するように方針を変えてしまったことに加え、スマートフォン市場でシェアを失い続けた結果、販売価格と収益のバランスが崩れてしまった。これが、Nokia社にとっての最も大きな逆風だ。さらに、資金不足で、携帯電話網基地局などを扱うネットワーク事業の建て直しも遅れるだろう」と説明した。そして、Nokia社の今後について「最終損益は1米ドルあたり5米セント未満になるだろう。当面の間、同社が黒字転換する可能性はない」と予想した。
同氏は、Nokia社のスマートフォンについて「Nokia社の最上位スマートフォンは、他社製品との違いをはっきりと打ち出せていない。アプリケーションソフトウェアの開発者にとって魅力あるものになっていないのだ。LinuxをベースにしたOS『Maemo』はSymbian OSよりも魅力があると考えているのかもしれないが、Androidや携帯機器向けLinuxを相手にして、それらを上回る数の開発者から支持を得られるとは思えない」と厳しい見方を示した。
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