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日本ガイシ、NAS電池を用いた電力調整事業に参加エネルギー技術 二次電池

NAS電池は5000回近い充放電が可能で、寿命が15年程度と長い。重量エネルギ密度が110Wh/kgとリチウムイオン二次電池と同等の性能を期待できる。300℃程度で動作するため、設置型電池として大出力用途に向いている。

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 日本ガイシは、明電舎、日本風力開発、英EDF Energy社と共同で、イギリスにおける電力需給調整サービス(アンシラリ・サービス:ancillary service)を提供することに合意した。EDF Energy社はイギリス全体の電力の1/5を供給する大手電力事業者である。

 日本ガイシは、融解したNa(ナトリウム)とやはり融解したS(イオウ)を用いる二次電池の一種である大容量NAS電池を提供する(図1)。

 NAS電池は5000回近い充放電が可能で、寿命が15年程度と長い。重量エネルギ密度が110Wh/kgとリチウムイオン二次電池と同等の性能を期待できる。大出力用途に向いており、例えば、2009年5月にはフランス電力公社(EDF)と共同で大規模太陽光発電と風力発電の出力安定化に向けて、5年間で150MWのNAS電池システムを納入する契約を結んでいる。

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図1 NAS電池セルの構造 溶融Na(ナトリウム)に負極を接続し、固体電解質であるベータ・アルミナ管をはさんで正極に接続した溶融S(イオウ)を置く。固体電解質はNaのみを通す。充電時にはNa2Sx→2Na+xSという反応が起きる。出典:日本ガイシ

 EUでは、CO2削減のために、石炭などの化石燃料を用いた発電を制限しており、太陽光や風力などの再生可能エネルギの比率を高めている。しかし、再生可能エネルギは天候や時間帯によって出力が変動する。

 加えて、イギリスでは発電と高い電圧での送電、低い電圧での配電を担う事業者が分かれてしまっている。市場での電力売買によって電力の需給バランスを調整する試みが進んでいるが、市場に任せるだけでは電力系統が不安定になる。

 そこで、電力系統の管理者は、系統を安定させるために発電事業者から需給調整サービスを受けている。

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