スイスSTMicroelectronics(STマイクロ)社は2010年3月26日、医療用電子機器を開発しているスイスSensimed社と協業して、緑内障診断用コンタクトレンズを開発した(図1)。このコンタクトレンズは、眼球のひずみを検知するセンサーと、測定データを無線送信する信号処理回路を内蔵する。
図1の金色の環状の部分がひずみセンサーで、四角い部分が信号処理回路である。STMicroelectronics社は、MEMS技術を活用してこの部分の開発、製造を担当する。センサーが送信したデータは、患者が首に装着する小さなデータ受信機器で受信する。レンズのセンサーは、データ受信機器からの電波をエネルギ源とし、その電力で動作するので、レンズに電源を接続する必要はない。
図1 スイスSTMicroelectronics社とスイスSensimed社が共同開発した緑内障診断用コンタクトレンズ
金色の環状の部分がひずみセンサーで、四角い部分が信号処理回路。装着者の視界を妨げることはないという。
緑内障は視神経が異常をきたし、視野が狭くなっていく病気。緑内障に罹患(りかん)すると眼圧が上がるため、眼科では「眼圧計」という機器で眼圧を測定し、診断をしている。しかし、眼圧は時間によって変化する。眼圧計では、計測する一瞬の眼圧しか分からないので、眼圧計による検査だけでは緑内障と診断できないことがある。
今回開発したコンタクトレンズは、内蔵するひずみセンサーで眼圧を検知する。患者がある程度の時間装着し続けることで(通常は24時間としている)、時間の経過に伴う眼圧の変化を読み取れ、正確な診断を下しやすくなるという。
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