開発進む不揮発メモリReRAM、新材料からチップ化まで技術がそろう:メモリ/ストレージ技術 ReRAM(1/2 ページ)
ReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化メモリ)は高速に書き換えでき、書き込み動作に必要な電圧もNAND型フラッシュ・メモリの1/10程度と低い。フラッシュ・メモリを置き換える可能性がある不揮発メモリとして期待を集めている。
高速で書き換え可能な大容量の不揮発メモリを求める声が機器設計者の間で高まっている。NAND型フラッシュメモリは大容量だが、高速に書き換えできないため、DRAMと組み合わせる必要がある。ReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化メモリ)は高速に書き換えでき、書き込み動作に必要な電圧もNAND型フラッシュメモリの1/10程度と低い。フラッシュメモリを置き換える可能性がある不揮発メモリとして期待を集めている。
ReRAMはメモリセル内にある抵抗に電圧を印加することで抵抗値が2段階以上に変わる。抵抗値の大小がデータの0、1を表す。ただし、現在は動作原理の一部が解明されただけであり、最適な材料までは分かっていない。つまり、大容量品が量産できる段階ではない。
安価な材料で超格子を形成
「ReRAMの商用化のカギを握るのは超格子だ」。こう語るのは、米Missouri University of Science and Technology(Missouri S&T)の研究チームを率いる同大教授のJay A. Switzer氏だ。同研究チームは、FeO・Fe2O3(酸化鉄)とZnxFe3-xO4(亜鉛フェライト)を用いて、エネルギ効率に優れ、高速に動作する、小型のReRAMを実現する2つの新しい材料を開発したと発表した(図1)。
図1 米Missouri University of Science and Technologyが試作したReRAM向けの酸化鉄材料 単結晶Auの(111)面上にめっきによって形成した。黄色い三角形の部分がFeO・Fe2O3(酸化鉄)。試作した素子はバイポーラ動作し、書き込み電圧は約2.5Vである。
超格子は、異なる材料の薄層を交互に積み重ねた格子状の結晶で、それぞれの層の厚さは原子数個分しかない。超格子は積層した2種類の材料を単独で使ったときとはまったく異なる半導体特性を示す。Jay Switzer氏が率いる研究チームは、研究を重ねた結果、2つの超格子材料の開発に成功した。1つはFeO・Fe2O3の組成を変えて積層したもので、もう1つはZnxFe3-xO4の組成を変えて積層したものだ。この2つの超格子材料はそれぞれ、抵抗の高低を切り替えることができ、次世代メモリとして期待されるReRAM向けの素子として使えるという。
Switzer氏は、超格子材料の研究について「もともとは、スピントロニクス素子の開発を目的としたものだったが、電圧を印加することで抵抗値を切り替えられることを偶然発見した。この発見をきっかけに、ReRAMを実現する有力な材料として超格子の研究を進めてきた」と説明する。
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