NOR型フラッシュ・メモリの大手メーカーである米Spansion(スパンション)社は、米国連邦倒産法第11章(チャプター11)の適用から脱却したことを明らかにした。
同社は2009年3月1日にチャプター11の適用を申請し、経営再建に取り組んできた。同社は2010年第1四半期中に同法の適用から脱却することを目指していたが、その実現は当初の予定よりも少し遅れた。
不思議なことに、同社はこの件について自社のサイトに掲載しただけで、大々的な発表は実施しなかった。
チャプター11による保護を申請した時点では、同社は15億米ドルを超える負債を抱えていたが、現在の負債額は4億8000万米ドルを下回るとみられる。現金残高は約2億3000万米ドルで、融資枠のうち6500万米ドルが未使用のままだ。また、約1億500万米ドルの株主割当の増資によって株主資本を強化したことで、資金繰りも改善した。
Spansion社は、組み込み機器向け製品と特定用途向けのワイヤレス機器向け製品に注力することで、経営再建を進めてきた。同社はこの方針の下、NAND型フラッシュ・メモリ技術をエルピーダメモリに売却したが、同社が「グリーン・メモリ」技術と謳う検索サーバ向けメモリ「EcoRAM」が期待通りの成果を挙げていないことから、この技術も売却するのではないかといううわさが数カ月間ささやかれていた。
同社は2009年にチャプター11による保護を申請し、2009年10月26日に最初の再建計画案を提出した。その後、同年12月22日に米国倒産裁判所が修正版開示説明書を承認、2010年4月16日に再建計画案を承認した。そして、同年5月10日にチャプター11による保護から脱却を果たした。
これにより、Spansion社の旧普通株は無効となり、売買は停止となる。倒産手続き開始前の請求権やそのほかの事務的な問題については、保留のまま解決を待つこととなる。
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