世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)が、2010年の半導体市場の成長に関する予測を上方修正した。修正後の予測では、2010年の同市場の売上高は、前年比28.6%増となる2910億米ドルに達するとしている。
WSTSは、2011年の半導体市場の成長率は5.6%、2012年は4.2%と、2010年よりもかなり低い水準になると予測した。修正前の予測では、2010年と2011年の成長率をそれぞれ12.2%、9.3%としていた。WSTSは、世界トップレベルの半導体メーカーから売上高を集計した上で、半導体の世界売上高を算出している。
WSTSは修正後の予測で、2012年の半導体市場の売上高が3202億米ドルに達し、2009年から2012年の3年間は、平均で年間12.3%成長を続けるとした。
2009年の半導体市場の売上高は、世界的な経済不況のあおりを受けた結果、前年比9%減の2263億米ドルという結果に終わった。2010年に入り、企業や一般消費者からの需要が回復しているため、半導体業界も徐々に復活しつつあるとWSTSは分析する。
業界筋の中には、2010年の半導体市場の売上高が2009年比で30%以上も増加すると見る向きもあり、これに比べ、WSTSの予測は慎重すぎるといえる。その慎重さの背景には、WSTSの次のような見方がある。「半導体メーカーでは現在、新しい製造施設の建設計画を進めており、実際に建設中の施設もある。今後これらの施設で半導体の生産が始まっても、2011年〜2012年は公共事業が減って経済全般が低調に陥る可能性がある。半導体業界は半導体の供給過剰に悩まされるだろう」
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