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iPad向けを目下開発中、村田が電界結合方式のワイヤレス給電を事業化(前編)ワイヤレス給電技術

村田製作所は、電界結合方式を使ったワイヤレス給電システム「LXWSシリーズ」を開発した。「電界結合方式を採用したワイヤレス給電システムに関して、研究開発段階の事例はあったものの、実際に市場に投入するのは当社が業界初だ」(同社)。

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 村田製作所は、電界結合方式を使ったワイヤレス給電システム「LXWSシリーズ」を開発した。「電界結合方式を採用したワイヤレス給電システムに関して、研究開発段階の事例はあったものの、実際に市場に投入するのは当社が業界初だ」(同社の技術・事業開発本部の事業企画部の商品技術第2課に所属する郷間真治氏)という。

 まず、送電電力が3Wのタイプを2010年秋に製品化する。「2010年のクリスマスには、このワイヤレス給電システムを使った玩具が発売される見込み」(同氏)。この3Wタイプの送電側モジュールの外形寸法は50mm×25mm×10mm、受電側モジュールの外形寸法は10mm×10mm×1.5mm程度である。

ALTALT 電界結合方式のワイヤレス給電システムの特長を説明する郷間真治氏(写真左)。村田製作所の技術・事業開発本部の事業企画部の商品技術第2課に所属している。写真右は、村田製作所の西村昌雄氏。同社の執行役員兼技術・事業開発本部 新規事業推進統括部の統括部長である。

 伝送距離が数mmのときの結合部の伝送効率は90%を越える。送電部の電源回路や受電部の整流回路も含めた伝送効率(総合効率)は、「機器の設計に依存するものの、携帯型機器を想定したとき70〜80%」(同氏)。電力を送るのに使う周波数は、数百kHzだという。送電側/受電側それぞれ、月産1万台で量産を開始する予定である。量産時の価格は、月産10万個購入時に送電側と受電側合わせて980円程度を想定している。

図1
図1 iPhone/iPad向けワイヤレス給電システムの試作機 iPhoneを充電している様子である。送電側電極には、透明電極を使った。iPhoneの充電に使ったのと同じ試作機でiPadを充電するデモも見せた。

 同社の執行役員兼技術・事業開発本部 新規事業推進統括部の統括部長である西村昌雄氏は、「当社は現在、新規事業の育成に力を入れており、特に注目しているのがエネルギー分野だ。今回発表したワイヤレス給電システムは、当社が強みとしてきたワイヤレス通信技術と、エネルギー分野の技術を結びつけたという位置づけである。今後、大きく伸びる製品分野だと期待している」と述べた。

図2
図2 開発ロードマップ 伝送電力を高める取り組みを今後進める。2014年には、50Wモデルを量産することを目標にした。

 3Wタイプを製品化した後、送電電力を高める取り組みを進める。現在、伝送電力が10Wのタイプを開発中で、2011年度に量産を開始することを目指している。「近い将来には、iPhoneやiPadに向けたワイヤレス給電クレードルも登場するのでは」(郷間氏)と述べ、実際にiPhoneやiPadをはじめとした携帯側電子機器に向けて開発を進めている試作機を披露した(図1)。伝送電力が50Wに達する送電/受電モジュールの開発もロードマップに含めた(図2)。

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