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ルネサスによるノキアの無線モデム事業買収、その狙いはどこにあるのか無線通信技術 LTE

フィンランドNokia(ノキア)社は2010年7月6日、無線モデム事業をルネサス エレクトロニクスに売却すると発表した。

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 フィンランドNokia(ノキア)社は2010年7月6日、無線モデム事業をルネサス エレクトロニクスに売却すると発表した。英Royal Bank of Scotlandの欧州技術調査部門のリーダーを務めるDidier Scemama氏は、このニュースに驚いたという。

 Nokia社がハードウエア設計から手を引こうとしていることを考えれば、今回の売却は驚くべきことではない。だが、「Nokia社は米Intel社と、チップセット事業の提携や携帯機器向けOS「MeeGo」の共同開発などで近年、密接な協力関係を築いている。こうした中、Nokia社の無線モデム事業の売却先としてルネサス エレクトロニクスの名前が挙がったことは驚きだった。そして、買収価格が2億米ドルと低いことにも驚いた」とScemama氏はクライアントにあてた手紙の中で語っている。

 同氏は、「わたしたちは、Nokia社の無線モデム事業の売却先は、当然Intel社だろうと考えていた。今回の売却契約によって、2つの筋書きが考えられるだろう。1つ目は、Intel社がNokia社とのチップセット事業の提携を中止する可能性だ。だが、現段階ではこの可能性は低いと見られる。もう1つは、Intel社が最先端のプロトコルスタック技術の獲得に向け、(Nokia社とは)別の企業を買収する計画だ。その候補として、最も可能性が高いのがドイツInfineon Technologies社だ。Infineon Technologies社の無線通信事業の買収契約をまだ結んでいないにもかからわず、Intel社が、Nokia社の無線モデム事業を手ごろな価格で買収できる機会を見送ったことは疑問だ」と述べている。

 Intel社は2010年5月末に、イスラエルComsys Mobile Communication社とイスラエルSignal Processing社を3000万米ドルで買収したとうわさになっている。しかし、Comsys社の専門技術は2GとWiMaxで、Intel社が同社を買収した目的は、イスラエルで優秀なエンジニアを確保することだったようだ。市場調査会社である米Forward Concepts社でプレジデントを務めるWill Strauss氏は、eメールによるニュースレターで「Comsys社の80人の従業員は、イスラエルのハイファ市とペタクチクヴァ市にあるIntel社の無線技術の研究開発センターに配属される予定だ」と伝えている。

 Scemama氏は、「Nokia社の無線モデム事業の買収によって、ルネサスは今後の成長を後押しされる形となったが、この買収は、Intel社やInfineon Technologies社、スイスSTMicroelectronics社、スイスST-Ericsson社、英Imagination Technologies Group社にとっても大きな意味がある」と語る。ルネサスは、日本では3Gチップセットの主要サプライヤとしての地位を確立しているが、海外市場では伸び悩んでいる。同社は、チップセットの供給で携帯電話機メーカー大手のNokia社と長きにわたって協力関係にあり、今回の買収によって海外市場での地位を確実に強化するとみられる。

 同氏は、「Nokia社の無線モデム事業の売却は、ルネサス エレクトロニクスと提携関係にあるImagination Technologies Group社にとっては朗報だ。一方、STMicroelectronics社や同社が出資するST-Ericsson社にとっては、ライバルの増加につながる芳しくないニュースだろう」と語っている。

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