富士通セミコンダクターは、スイッチング周波数が6MHzと高い昇降圧型DC-DCコンバータICを開発し、「TECHNO-FRONTIER 2010」(2010年7月21日〜23日)で展示した(図1、図2)。これまで同社が製品化していたDC-DCコンバータICのうち、スイッチング周波数が最も高い品種のスイッチング周波数は3.2MHzだった。スイッチング周波数を約2倍も高めたことになる。
同社ブースの説明員は、スイッチング周波数を高めたことによるメリットを2つ挙げた。1つは、負荷応答特性が高められること。その結果、出力電圧に含まれるリップル電圧幅を小さくできると説明した。もう1つは、外付けインダクタを小型化できることである。例えば、2MHz動作のDC-DCコンバータICでは2.2μHのインダクタを採用する必要があったが、6MHz動作になれば0.47μHのものに置き換えられるという。インダクタンス値が小さければ寸法も小型になるため、DC-DCコンバータ機能を実現する回路全体の実装面積を減らせる。
図1 6MHz動作の昇降圧DC-DCコンバータICの評価基板
スイッチング周波数が高いため、インダクタンス値の小さいインダクタが使える。スイッチング周波数を高めながらも、電力付加効率を高く維持することに苦心したようだ。「U1」という文字の部分に実装してあるのがDC-DCコンバータICである。
対象とする用途は、携帯電話機やスマートフォンなどのパワーアンプ(PA)ICへの電力供給である。これらの機器では、RFパワーアンプICの動作をひんぱんにオン/オフさせることで消費電力を抑制している。「今後、より短いタイムスロットでRFパワーアンプICをオン/オフ動作させることになるだろう。これを実現するために、DC-DCコンバータの高速負荷応答特性が強く求められている」(同説明員)。
このほか、昇降圧動作に対応したことで、リチウムイオン2次電池の出力電圧が下がった領域でもRFパワーアンプICを動作させられることも特長に挙げた。入力電圧は2.3V〜4.8V、出力電圧は0.4V〜5.1V。変換効率は、条件によって異なるものの、「目安は90%弱」(同説明員)。2011年春に量産を開始する予定である。
<訂正あり>記事初出時に、『電力付与効率(PAE)は、条件によって異なるものの、「目安は90%弱」(同説明員)。』と記載していましたが、正しくは『変換効率は、条件によって異なるものの、「目安は90%弱」(同説明員)。』です。すでに修正済みです。
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