東レ・ダウコーニングは、2011年1月から従来よりも大型の4インチSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハー(エピウエハー)の販売を開始すると発表した(図1)。米国のダウコーニングが同ウエハーの量産を開始することに合わせた動きである。
東レ・ダウコーニングは2010年1月に4インチSiCウエハーの発売を開始した。今回の発表は、SiCウエハーにあらかじめエピタキシャル層を形成したことに意味がある。
SiCパワー半導体をSiCウエハー上に形成するには、ウエハーを構成するSiC結晶の原子配列を受け継いだエピタキシャル層の形成が必要不可欠である。エピタキシャル層の品質がSiCパワー半導体の品質に直結するためだ。これまでダウコーニングのほか、米国のクリーや昭和電工がエピウエハーを販売してきた。現在の焦点はより大口径のエピウエハーを安定供給することと、低価格化を実現することである。
図1 東レ・ダウコーニングが製造したSiCウエハー
2010年1月から4インチSiCウエハーの量産出荷を開始済みである。2011年1月からSiCエピタキシャルウエハーの販売を開始するほか、2010年内には6インチSiCウエハーの開発に着手する計画だ。
なお、SiC結晶を成長させる際には、「マイクロパイプ」と呼ばれる特殊な欠陥が起こりやすい。マイクロパイプはSiの結晶成長では起こらない欠陥だ。ダウコーニングは、今回の4インチウエハーでのマイクロパイプ発生確率を低減できるマイクロパイプフリー種結晶を用いて製造するという。
なお、東レ・ダウコーニングは今回発表した4インチSiCエピウエハーなどのサンプル品を、2010年10月21日から同22日まで、つくば市で開催する「第19回SiC及び関連ワイドギャップ半導体研究会併設展示会」に展示する。
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